今、求められている能力とは【2006年 第4回】

【2006年 第4回】今、求められている能力とは  新社会人

山下 修一 (ヤマシタ シュウイチ) ⇒ プロフィール

新社会人の4月~5月は職場に早く慣れて、仕事の内容を覚えていくのに必死な時期ではないかと思います。
だから、先輩から「自己啓発は必要です」と言われても、なかなか実行に移すことができないですね。
時間もそうですが、お金の掛け方についても新生活が安定するまでは身の回りのものやお付き合いのほうを優先してしまい、自分自身を高めるものへは後回しになっていることでしょう。

夏以降は勉強を実行に移す段階

しかし、夏場を過ぎると仕事の内容や職場の雰囲気にも慣れてきて、少しずつですが時間もお金も余裕を持つことができるはずです。
そうなると「そろそろ、仕事につながる勉強をしようかな?」と実行を移す段階がやってきます。

OJTとOFJT

企業が新入社員に行っている、仕事に現場における教育はOJT(On_The_ Job_ Traning)といわれていました。
しかし、多様な知識や実務能力が要求される現代、仕事の現場を離れた教育OFJT(Off_The_Job_Traning)も重要視されるといわれています。

OJTは企業が行うものである一方で、OFJTは能力を高めるために、自ら進んで知識を取得することを指します。本来の自己啓発を意味します。
ただし、時代とともに、新入社員の自己啓発への取り組み方も変わってきました。
あくまでも私の所感ですが、昔のバブル時代を思い出しますと、特に目標を持たなくても、会社の価値が上がる=自分の価値も上がるという錯覚をしてしまい、お金や時間を費やして能力を高める行動はあまり見られなかったと思います。
企業全体での推進もあまりなかったと思います。
ただ、職場にいる皆が受けているという流れで資格試験に取り組んでいる、そんな状況がありました。

能力開発の関心

一方、景気回復基調が鮮明といわれている今、まさに成熟社会においては、社会人にはどのような取り組みが求められているのでしょうか?
その答えは「平成16年度能力開発基本調査結果(厚生労働省の調査および解説)」から浮かびあがってきます。

①従業員教育(OJTおよびOFJT)の実施状況
平成15年度に従業員(正社員)に対して、Off-JT又は計画的OJTを実施した企業は68.2%であり、昨年度調査(59.5%)より増加したが、平成12年度(70.4%)と比較すると2.2ポイント減少し、長期的には減少傾向にある。

②従業員に対する企業の支援状況
従業員の自己啓発支援として、「受講料等の金銭的援助」(59.6%)とする企業が多く、次いで「社外の研修コース、通信教育コース、図書等に関する情報提供」(47.0%)などであった。

③企業の教育訓練に対する方針について
能力開発の責任の主体について、「これまで」は、「従業員個人の責任」(11)(29.3%)よりも「企業責任」(12)と回答した企業が6割強(64.9%)を占めている。しかし、「今後」についての回答では「企業責任」(62.1%)が若干低くなり、「従業員個人の責任」(32.5%)が高くなっている。なお、3年前の調査結果と比べると、「これまで」を「従業員個人の責任」と考える企業は20.1%から29.3%へと増加している。

新入社員側と企業側のギャップ

さらにもう1つのデータを見てみましょう。
(コンテンツ移行の際に初回掲載時の表が再現できなかったため、非掲載となっております。ご了承ください。)
株式会社ウィル・シードによる「2004年度新入社員意識調査」結果(一部)を見ると、新入社員側と企業側で随分とギャップがあるようです。
企業側は思ったほど語学力の比率が高くありません。
社員に求める内容は、語学力やパソコンなどの基礎知識を装備するよりも、コミュニケーション能力や問題解決能力に比重を置いています。
もはや、英語が話せる、パソコンは使えるという能力は特別とは捉えられていないようで、むしろ、出来て当たり前という見方に変わっていると思います。

やはり、実務を遂行する上でどのようなビジネスセンスが発揮できるのかが重要であり、それゆえに、自身で積極的に仕事を組み立てるためのコミュニケーションやマネジメント能力が重視されているのでしょう。
つまり、企業は末端で発揮できる能力より、先頭に立って課題を解決できる能力に高い評価をしているようです。
いかがでしたでしょうか。

新社会人の皆さんは、まずは就職先でお仕事をしっかりマスターするのが最優先ですが、ご自身の価値を高める努力は少しずつでも続けていくことが大切です。
実はもう入社前から始まっているとも言われます。
今回のデータを参考に、今、求められている能力は何か、客観的な評価はどうか、常にアンテナを張りながら自己啓発に取り組んでみてください。

【2006年03月31日00時00分】

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