単利と複利(2) リスク資産の複利効果  複利は必ずしも有利とは限らない【2015年 第6回】

【2015年 第6回 単利と複利(2) リスク資産の複利効果  複利は必ずしも有利とは限らない】投資の基本

有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール

前回のまとめは、 1)金利、収益率が高いほど複利の効果は高い。 2)しかし、高い収益率を目指せばリスクは避けられない。 と言うことになります。

 

 

複利の効果

前回は5%と言う利回りで複利と単利を比較してみました。しかし現在ではリスクなしに5%で運用することは不可能です。それでは、リスクがある場合の複利の効果はどのようになるのでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフは5%の金利での単利と複利、それに1年おきに金利が20%と-10%に変動した場合の複利の30年間の元利金のグラフを付け加えたものです。プラス20%とマイナス10%ですから平均すると5%となります。

このグラフを見る限り、変動すなわちリスクのある場合、金利の変化が無い、リスクの無い場合よりも30年後の元利金は少なくなっています。

この結果から、複利の効果は、金利の変化が無い場合最も高くなります。金利の変動がある場合はその効果は割り引いて考える必要が有るでしょう。

 

ここで、複利の公式をもう一度復習しましょう。

 

 

これは利率rが変動しない場合です。

利率が変動する場合は次のようになります。

 

 

上の式をみれば、一つでも r=-1 すなわち金利(収益率)がマイナス100%になる年が有れば、そこの部分はゼロとなります。掛け算で一つでもゼロが有ればその結果はゼロとなります。他の年の収益率がどんなに高くとも元利金はゼロに変わりが有りません。

つまり、証券が紙屑になればほかの年がどうであれ、その時点で運用はストップされ資産はゼロとなります。 

これが毎年の利息を受け取る単利であれば、例えば分配金を受け取る投資信託において、少なくとももらった分配金を別途安全資産で運用しておけば、その部分は守られます。

このように、複利だからと、必ずしも有利とは限りません。リスクのある資産を複利で運用するためには、少なくとも、資産全体が紙屑にならないように、効果的に分散することが必要です。

 

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