リスクとリターン(3)リスクとリターンの関係 【2015年 第3回】

【2015年 第3回 リスクとリターン(3) リスクとリターンの関係】投資の基本

有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール

前回は株式と債券のリスクとリターンを比較してみました。株式に比べて債券の方がリスクが低くて、リターンも低い、ということでした。

そこでリスクとリターンの関係を考えると、リスクが低ければリターンも低い、ということになります。

 

リスクとリターン

例として、皆さんがお金を借りる場合を考えてみましょう。

もし住宅ローンを借りるとなれば、変動金利か固定金利かは別として金利は出来るだけ低いほうが良いですね。銀行から低金利の住宅ローンを借りることが出来るのに、わざわざ消費者金融の高金利のローンを借りるということは考えられません。

銀行預金も同様です。銀行にとり預金は借金です。預金利率は低いにこしたことは有りません。

会社で社債を発行する場合も、会社にとり社債の利率も低いほうが良い訳です。

 

そこで、利率の高い社債を発行するのはどのような会社なのでしょうか?

会社の財務内容が芳しくなく、将来元金を返してもらえなくなる恐れがある。そのような会社は、社債を引き受けてもらうためには金利を高くしなければなりません。国債でもギリシャの国債の利回りが高いのはこのような事情です。

同じ住宅ローンでも、頭金の有無、個別の信用状態により金利や保証料が変わる場合があります。

 

株式でも、いわゆる危ない会社の株式は、期待される収益率が高くないと、買い手が付きません。仮に将来の業績が回復することが考えられていたとしも不可実性は残ります。業績回復後の株価がいくらぐらいになるか?それが予想されていたとしても、抱えるリスクに対応する高い収益性が必要です。収益率を高くするためには投資額を小さくする、すなわち株価が値下がりすることが必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラフはリスクとリターンの関係をとらえたものです。リターンが高くなるほどリスクが高くなる右上がりの直線、イメージとしてはこんなところです。

リスクが低くて、リターンも高い金融商品、このような商品が運用する側としてはありがたい訳ですが、残念ながらそのような商品はあり得ません。「高利回り元本保証」は詐欺的金融商品の代名詞です。

資金を調達する方から見た場合、リスクが低いと必ずリターン(支払利息等)を低くする。これを運用する側から見ると、リターンが高ければ必ずリスクも高くなります

リスクが高いと必ずリターンも高いのか?

一方、リスクが高いと必ずリターンも高いのか?

私は、そうとも言えないと思います。一部のデリバティブ商品の中には、リスクが高いにもかかわらず、リターンが低い商品もあり得ます。

たとえば、同じ商品を対象とした、同じ限月、同じ金額のオプション取引の売りと買いを同時に行ったとします。意味のない結果になりますが、手数料等を考えなければリスクがゼロですがリターンもゼロです。オプション取引はかなりのリスクが高いですが、リターンは、売りと買いの取引、少なくとも一方のリターンがゼロ以下にならなければこのような結果となりません。ということはリスクが高いにもかかわらず、リターンが低い商品が存在することが考えられます。

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