「お金の殖やし方、守り方(1) 金融 商品の3つの特性」【2012年 第5回】

【2012年 第5回】「お金の殖やし方、守り方(1) 金融
商品の3つの特性」- お受験ママのこどものためのマネー講座

樗木 裕伸⇒プロフィール

 

お金の殖やし方、守り方を子供に教えていきましょう。まずは、お母さん自身がしっかり理解しないと始まりません。こどもに説明するのは、ほんとに大変ですよね。

 

どうすればお金を殖やせるの?


お金の殖やし方には、
(a)人に使わせて、使用料をもらって殖やす(お金や不動産など)。
(b)値上がりして殖やす(安い時に買って、高くなった時に売る)。
があります。

お金を人に使わせる(貸す)手法(a)として、「預金」「債券」「株式」があります。また、お金ではなく、土地や建物といった不動産を人に使わせて使用料(家賃)をとる手法もあります。
いずれも資産運用の手法としては、代表的なものですが、今回は、具体的な個別の手法を説明する前に、まず、金融商品を特徴づける3つの性質についてお話したいと思います。

金融商品の3つの特性


まず、1つ目の大切なポイントは、使わせているお金の使用料を確実に払ってもらうこと、そして使わせているお金がきちんと返ってくることです。そうなってはじめて、お金が殖えたと言えるからです。
これを金融の世界では「安全性」と呼んでいたます。

次のポイントは、どうすれば使用料を高くとれるか、ということです。これを「収益性」といいます。
お金を使わせてもらう側の立場にたって考えれば、答えはそう難しくありません。借り手にとってそのお金が使いやすければ、使用料をたくさん払ってもらえるはずです。
では借り手にとって使いやすさとはなんでしょう(使用料そのものが安い、つまり金利が低い、というのは、貸す側にとって使用料が高くならないので、ここでは回答からはずします)?
借り手がお金を借りる理由は、お金を使って使用料以上に儲けるためです。
ですから借り手にとっては、儲かったら使用料をそれなりに多く払ってもらうけど、儲からないときには、使用料は安くてもいいよ、という条件が使いやすいでしょう。
これは、一般に「投資」というお金の使わせ方です。一方、借り手の儲け具合に関係なく、決まった使用料を払わせるのが、「融資」というお金の使わせ方です。
ですからお金の借り手は、「投資」の方が使用料を高く払うという条件でも受け入れやすいということがわかりますよね。

また、借り手にとって使いやすいのは、使っているお金を安定的に使える状態、つまり長い期間使えることです。
通常、長い期間相手に使わせることで、使用料は高くとれるようになります(「長期融資」)。借り手は、すぐにお金を返す必要がないので、十分な時間をかけて結果を出すことができます。半年や1年で結果を求められると思いきった使い方はなかなかしにくいものです。

以上から、金融において高い「収益性」を求めるには、貸し手側にとって我慢が必要になります。「投資」は、収益性に関して「リスク」(不確実性)をとることになりますし、「長期融資」は、なかなか貸し手にお金が返済されないわけですから、その間自分自身がお金を使えなくなります。このようにす
ぐに何にでもつかえる「現金」に戻せるかどうかを「流動性」といいますが、「流動性」も制約を受けることになります。

以上、みてきましたように、金融資産は、「安全性」、「収益性」、「流動性」という3つの条件により、規定されています。

詐欺商品にだまされるな!

安全性が高くて、いつでも換金でき、それでいて収益性も高い、という商品は金融の世界にはない、ということがお分かりいただけたでしょうか?
でも世の中には、安全で高利回りをうたった投資商品(特にファンド)が散見されます。
もし、本当にそんな商品があったとしたら、貸し手(お金の運用者)にとってはうれしいでしょう。でも借り手にとっては、貸し手に対しそんな好条件を提示しなくても、他にもっと有利な調達手段はあるはずです(貸し手にとって旨味のない商品が他にあるということは借り手にとって有利なはずだから)。そのことに気づけば、あえてそのような好条件を提示してでもお金を集めたい本当の理由は何なのかを見極めなければ、お金を貸す気にはなれないですよね。

だまされた話というとすぐに高齢者が引き合いに出されますが、年齢的に判断力が衰えてきているからというだけなく、高齢者の中に、高度経済成長の日本を謳歌してきて、お金に対してシビアに考えなくても困らなかった方が多かったからではないでしょうか。ただ、日本の経済の雲行きが怪しくなってきた私たちの時代、そして子供たちの時代は、そうはいきません。

私たちが、お金についてしっかりと理解して、子供たちに伝え、おじいちゃん、おばあちゃんの時代に築き上げた財産を無駄に失うことなく、しっかり守っていけるようにしたいものですね。

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