[年末調整]年末調整のポイント~年の途中で転職した場合、もしくは開業した場合、年末調整はどうなるの?【2005年 第1回】

【2005年  第1回 】[年末調整]年末調整のポイント~年の途中で転職した場合、もしくは開業した場合、年末調整はどうなるの?

日向 雅之 (ヒナタ マサユキ)

1年中、同じ勤務先でお仕事をするといったことは、一昔前までは当たり前のように思われていましたが、最近は、雇用の流動化により、転職される方が急増しています。
また、(独立)開業される方も急増しています。その場合、年末調整はどうなるのでしょうか?

年の途中で転職した場合

最初に、年の途中で転職した場合の年末調整ですが、原則として、年末までお勤めされている場合、年末調整を行うことができます。
まず、その会社に就職する前に、その年中に別の会社などからお給料の支払いを受けたことがあったかどうかを調べてください。
そして、別の会社など「扶養控除等申告書」を提出して支払いを受けたお給料がある場合、その別の会社から支払いを受けたお給料を含めて年末調整をする必要があります。
さらに、この場合、別の会社から支払いを受けたお給料の金額やそのお給料から徴収された所得税額等を確認する必要があります。
また、この確認は別の会社から渡される「給与所得の源泉徴収票」などで行いますが、この確認ができない場合、残念ながら年末調整を行うことはできません。
なお、その年のうち、数ヵ月間しか働いていない場合でも、所得税額を計算する際に控除される所得控除は、所得のあった月数などに応じて計算するのではなく、その控除全額が認められます。

年の途中で退職した後に開業した場合

次に、年の途中で会社を退職し、その後(独立)開業した場合の年末調整ですが、個人事業として開業した場合、残念ですが、原則として、年末調整を行うことはできません。
それは、「年末調整の対象となる人」に該当しないからです。
したがって、原則として、その年の開業した以降の所得(事業所得)とともに、確定申告をする必要があります。

<年末調整の対象となる人>
年末調整の対象となる人は次のいずれかに該当する人です。
1.1年を通じて勤務している人。
2.年の途中で就職し、年末まで勤務している人。
3.年の途中で退職した人のうち、次のいずれかに該当する人。
・ 死亡により退職した人。
・著しい心身の障害のため退職した人で、その退職時期からみて、本年中に再就職ができないと見込まれる人。
・ 12月中に支給期の到来する給与の支払いを受けた後に退職した人。
・ いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払いを受けると見込まれる人を除きます)。
・年の途中で海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者となった人
(非居住者とは、国内に住所も1年以上の居所も有しない人をいいます)。

年の途中で退職した後に法人形態として開業した場合

そして、法人形態(株式会社、有限会社など)として開業した場合、税法上の考えでは、冒頭でお話しました年の途中で転職した場合と考え方は同じになりますので、原則として、年末調整を行うことができます。

なお、個人事業、法人形態のどちらの場合でも、その際に、退職した会社から渡される「給与所得の源泉徴収票」が必要となります。
また、この「給与所得の源泉徴収票」は前の会社の事業主側に作成義務がありますので、必ず貰ってください。
詳細に関しましては、お手数でも専門家または最寄りの税務署にお問い合わせください。

【2005年11月30日00時00分】

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