60歳以降の働き方と年金・雇用保険【2017年 第1回】

【2017年 第1回】60歳以降の働き方と年金・雇用保険 一番やさしい年金のはなし

菅野 美和子 ⇒プロフィール

老齢厚生年金の支給開始年齢は生年月日によってだんだんと遅れていきます。65歳前に年金がもらえない、あるいは65歳前に年金がもらえる人も年金だけでは生活できないということで、働き続ける人はさらに増えていくでしょう。そこで60歳以降の働き方と年金や雇用保険についてお話しします。

◆悩み多い?「年金減額」

まずは年金の悩みから。

最初に、年金の支給開始年齢をねんきん定期便で確認しましょう。50歳以上の人に送られる定期便には「老齢年金の種類と見込額」の欄に、「受給開始年齢」が書いてありますので、確認してください。

昭和36年(女性は41年、以下同じ)4月2日以降に生まれた人は、老後の年金は、国民年金も厚生年金も65歳からです。昭和36年4月1日までに生まれた人で、厚生年金の加入期間が1年以上あれば、65歳前から特別支給の老齢厚生年金をもらえます。なお、国民年金だけに加入した人は、生年月日にかかわらず、支給開始は原則として65歳からです。

60歳代前半の人に多い「働いたら年金が減額される」という悩みは、だんだんと過去のものになっていきます。もともと年金がもらえないのなら、60歳の定年を迎えたあと、同じように働き続けて何の問題もないのです。60歳定年で給料も下がらない方がいいのです。

60歳で退職し、年金の支給開始年齢になるまで収入がなければ、預貯金を取り崩す生活になります。働くことで家計を支えていけます。

60歳以降の働き方を考えるとき、年金の仕組みから考えると、せめて65歳まではしっかり働いたほうが家計には貢献できます。

65歳以降も働き続ける人は増えてきました。「働いたら年金が減額される」という悩みは引き続きありますが、減額の対象になるのは老齢厚生年金だけ。国民年金からの老齢基礎年金は全額もらえます。

おおよその目安として、年収の12分の1と1月あたりの老齢厚生年金を合算した額が46万円(平成29年3月までは47万円)までは年金は減額されません。年金の減額を心配しなくてもよい人の方が多いかもしれません。

◆65歳問題とは?

次は、雇用保険との関係から「65歳問題」についてお話しましょう。

退職し次の仕事を探す間、雇用保険から失業中の生活を支える給付金として基本手当が受け取れます。ただし、60歳~65歳になるまでの間、特別支給の老齢厚生年金と基本手当は両方もらえません。原則として多い方を受け取ればよいのですが、65歳前後での退職は要注意です。

特別支給の老齢厚生年金と基本手当が両方受け取れないのは、65歳までのこと。65歳の少し前に退職し、基本手当を65歳以降に受け取ると、基本手当と年金は両方もらえます。

また、65歳で変化するのは、失業給付の内容。65歳前に退職したときの失業給付は基本手当となり、最大150日分もらえますが、65歳以降に退職すれば、雇用保険からの給付は高年齢求職者給付金という一時金となって最大で50日分です。

この仕組みから考えると、65歳直前に退職すると、年金と雇用保険からの給付を両方受け取れて、雇用保険の受取金額が大きくなるので、全体としての受取額は一番お得になります。

ただし、65歳以降も仕事を続けたいと希望し、働き続けることができるのなら、雇用保険の給付で損得を考えなくてもよいのでは?

長く働いて収入を得たほうが家計にはプラスになります。

なお、雇用保険の失業給付は、「働く意思」のある人が対象となっています。もともと働く気のない人は対象外ですので、ご注意ください。

◆定年度の再就職は有利になる?

平成29年1月1日から雇用保険法が改正され、これまで雇用保険に加入することのできなかった、65歳以降に新たに雇用される人が、雇用保険に加入できるようになりました。

 

65歳前に退職し、年金と雇用保険の失業給付を受け取って、その後、再就職。雇用保険に加入できる条件(週に20時間以上働くことなど)で半年働けば、次に退職した後、30日分(1年以上働けば50日分)の一時金(高年齢求職者給付金)がもらえます。さらに、その後再就職し退職したときは、同じように一時金が受け取れます。年金が減額されることもありません。

65歳以降に再就職する人にとっては、有利な制度に改正されています。

 

さて、何が自分にとってお得になるか、その答は、どのような人生を送りたいのかにあると思います。

何をしたいのか、働き続けたいのか、働きたくないのか、希望する生き方ができればそれが一番の「お得」だと思います。その上で、社会保険制度を上手に活用してください。

 

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