医療費に関わる制度の活用術【2008年 第9回】

【2008年 第9回 医療費に関わる制度の活用術】地域コラム 甲信越・北陸

田中 美紀子(タナカ ミキコ)

 

 

 

 

 

 

この夏、わが家では夫の入院・手術という初めての経験をしました。医師から手術の危険性はないと説明を受けても、全身麻酔の手術のため一抹の不安が残ります。
手術当日、病室には夫の高齢の両親の姿が・・・心配のあまり、大阪から駆け付けたとのこと。
いくつになっても子を思う親のありがたさが心に沁みました。

手術は無事に終わって術後の経過も良く、8日間で退院の運びとなりました。
お世話になった病院の方々、折鶴を持ってお見舞いに来てくれた方々、無事を祈ってくれた親族への感謝の気持ちとともに、ふだんは当たり前すぎて気がつかないでいるところに一番の幸せがあるのだということを感じています。

さて、何しろ初めての入院なので、その費用は一体いくらかかるのか、退院時にいくら準備しておいたらいいのか見当もつきません。しかしそんな心配は無用でした。

「高額療養費」という制度があって、病院で高額な一部負担金(3才~70才未満は3割)を支払った場合(同一人、同月内、同じ医療機関)、「自己負担限度額」を超えた金額が戻ってきます。

さらに、平成19年4月より「限度額適用認定証」の交付を勤務先の健康保険組合(国民健康保険の場合は社会保険事務所)に申請して、病院の窓口で提示すれば「自己負担限度額」のみを支払えばいいようになりました。

●高額療養費の自己負担限度額(月額)
注)上位所得者は、標準報酬月額(税込み給与月額)53万円以上
  一つの世帯で過去12か月で3回以上高額療養費の支給があったら4回目以降は限度額が小さくなる

 

上記の表にあてはめると、実際の医療費が63万円だった場合(同月内、保険適用、個室代除く)の自己負担限度額は

 一般  80,100円+(630,000円-267,000円)×1%=83,730円

窓口で「限度額適用認定証」を提示してこの金額を支払えばいいことになります。提示しなければ、3割負担の189,000円を支払って後で高額療養費105,270円が戻ってきます。(でも、支払う分は少ない方がいいですよね。)

入院が2か月にまたがる場合は、月毎の計算になるので医療費が同じ63万円であっても支払う金額は増えることになります。

医療費で忘れてはならないのが、「医療費控除」です。
同一家計で年間(1/1~12/31)の医療費の支払いが10万円(総所得金額が200万円未満なら総所得金額の5%)を超えると、超過分を「所得控除」できるというものです。

「医療費控除」は、生命保険料控除などのように年末調整で所得税が戻ってくるのではなく、確定申告をする必要があります。確定申告といっても難しいものではありませんので、医療費の多いご家庭ではやってみる価値は十分あると思います。

次に「医療費控除」のポイントをまとめてみます。

① 対象となる医療費は、医師の治療支払・入院費用だけでなく通院費(マイカー除く)、あんまマッサージ・はり・きゅうなどの施術、カゼ薬・胃薬などの医薬品も含まれます。

② 金額の計算方法
実際に支払った医療費合計 -
生命保険の入院給付金支給された高額医療費など - 10万円
(総所得金額が200万円未満なら総所得金額の5%)

③ 支払の領収書・レシートは必ず残しておく。
領収書をクリップでまとめて、追加するたびに合計金額をメモしておくと今現在医療費がいくらかかっているかすぐわかって便利です。

④ 確定申告
確定申告書を記入して、領収書と源泉徴収票を添付して税務署へ提出します。1月から受け付けてもらえます。

⑤ 還付額
医療費支払いが25万円、生命保険の入院給付金が3万円の場合、

 医療費控除額は、25万円-3万円-10万円=12万円

所得税の税率が10%なら(源泉徴収票で確認できます)、
 12万円×10%=12,000円
が還付されます。

「医療費控除」は所得税の還付だけではなく、住民税の計算にも反映されます。平成19年度より住民税は一律10%になっていますので、上記の例では次年度の住民税が
 12万円×10%=12,000円
少なくなります。

「医療費控除」を申告したことがない方は、年初から医療費の領収書を残しておいてぜひ挑戦してみてください。物価がどんどん上がっていく昨今、医療費に関わる制度を上手に使って少しでも家計に貢献したいものです。

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