「頭の痛い滞納問題」【2008年 第6回】

【2008年 第6回 「頭の痛い滞納問題」】マンション管理コラム

佐藤 益弘(サトウ ヨシヒロ)⇒ プロフィール

 

 

 

 

 

 

今回の「滞納問題」は、相談事でも多く、なかなか解決には根気のいるケースです。

ハウジングアンドコミュニティ財団(東京都)が行ったマンション調査(平成14年)によると、51.5%のマンションでは少なくとも管理費・修繕積立金の滞納者が存在するという結果が出ています。
こうした滞納者の取扱いはどこの管理組合でも頭の痛い問題ですが、管理費等の支払は区分所有者の義務であるだけに対策が欠かせません。
そこで管理組合としてはどうすればいいのか考えてみたいと思います。

うっかり入金するのを忘れた場合の滞納は翌月に2か月分まとめて振り込んでもらうことで解決します。
3ヶ月連続で滞納が続く区分所有者が現れたら注意が必要です。
最初は管理員を通して電話や手紙で催促することから始めましょう。
効果がなければ直接アポイントをとり、まずは家庭の事情を教えてもらいましょう。
そして「いつになれば払えるのか」「いくらなら払えるのか」を話し合うといいでしょう。

賃貸だったり、不在が多いなど、直接会えない場合は配達記録付き内容証明郵便で督促を行います。
滞納督促の意思表示を公的に通知する効果があり、訴訟となった場合の証拠としても役立ちます。
しかし法的拘束力はないので、あくまで威圧効果と割り切ることが必要です。

回収・解決可能なケースではこの段階で大方問題は解決しています。
それでも回収できない場合は裁判沙汰とならざるを得ません。

具体的には少額訴訟・支払督促、そして訴訟などがあります。
少額訴訟とは請求金額が60万円以下の場合に簡易裁判所に対して定型訴状用紙を利用して訴えを提起することで原則として1回の審理で即日判決が出される制度です。
よほど長期間に渡る管理費等の滞納でないかぎり60万円を超えることは考えにくいので利用範囲は広いと言えます。
しかし、内容が複雑だったり、立退きなど金銭以外の要素が絡む問題は利用できないことがあります。
支払督促は簡易裁判所へ申し立てを行い、滞納者からの異議申し立てがない場合に訴訟が確定し強制執行できる制度です。
請求金額に制限はなく裁判所への出頭も必要ありません。

その他、先取特権を実行して滞納者の区分所有権の競売申し立てを行い、その売却代金をもって未払管理費等を回収する方法もあります。
しかし抵当権などが設定され売却代金を上回る場合には配当請求は難しいかも知れません。
また競落人(特定承継人)へ請求することも一考です。

以上、いくつかの対策を挙げてみましたが、法的対応は出来るだけ避け、話し合いで解決することが理想であることは間違いありません。
場合によっては、管理人業務などをお手伝いいただくことで問題解決をしているケースもあります。
先延ばしにせず、滞納額が膨らまないうちに早めの行動を起こすことが一番の解決策といえるでしょう。

このコラムは、熊本日日新聞(2003年10月20日)に掲載された「快適マンション考」を加筆修正したモノです。

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