マンション購入での住宅資金計画【2014年 第3回】

2014年 第3回 マンション購入での住宅資金計画– 住宅資金・FP相談の現場から

山下 修一(ヤマシタ シュウイチ)プロフィール

住宅資金はどんな物件を購入するかにより資金計画が変わってきます。

購入前後、および、入居後に掛かる項目を想定したお金をライフプランに組み込んで展望してみることが大切です。物件の種類は「マンション」と「一戸建て」に大きく分かれますが、今回はマンションを購入される方向けに資金計画のポイントや注意しておくべき点をお伝えしたいと思います。

 

マンション特有で掛かるお金

ひとくちにマンションといっても価格や立地・新築か中古など条件はさまざまなのですが、マンション特有で掛かるお金が入居後に月々支払う「管理費」と「修繕積立金」です。

まず「管理費」とは、マンション一棟での日々の管理業務にかかる費用を入居者が負担するものです。具体的にはエントランスや廊下・ゴミ置き場などの共用部分の掃除や植裁の手入れ、エレベーターや貯水槽などの設備点検などの人件費や諸費用になります。入居者一律でなく居住スペースの広さに応じて変わってきます。

一方「修繕積立金」は計画的な修繕や不測の事態での修繕に備えて入居者が積み立てておくものです。具体的には建物の外装の塗り直し、給排水管の交換など、将来行われる計画的修繕や故障や破損など不測の事態の修繕に備えるお金です。いわば入居者共有の貯蓄のようなものになります。こちらも居住スペースで負担が変わってきます。ここで注意することは築年数の経過とともに金額が上がるケースが多いので「長期修繕計画」がどうなっているかをチェックしてみてください。車を所有されている世帯には駐車場代が掛ってくること、平面式か機械式かで月額が変わります。いずれも長期的に影響を及ぼします。

新築か中古か

最近では新築マンションの供給不足により、物件価格が高止まりしている傾向があります。そういう意味で中古マンションにも注目されています。実際の相談現場でも新築をいろいろ検討してみたものの、中古も視野に入れる方が増えてきたように思います。

お客様には新築と中古のそれぞれの利点を以下のように整理してお伝えしています。

【新築】

□  室内・共有部分とも設備が最新である

□  これまで誰も使用していない

□  購入時の諸費用は中古よりも少ないケースが多い

□  敷地内駐車場の確保が比較的確保できやすい

□  同じような世代・家族構成の住人が集まりやすい(コミュニティ形成)

【中古】

□  価格という点では新築より割安

□  新築に比べて物件が豊富である。条件にこだわって探しやすい。

□  建物や住人の状況、管理組合の様子をチェックできる

□  売却する場合での値下がり幅が小さい

いずれも一概に言えることでは無いですが、判断にあたっての参考にしていただけるかと思います。

住宅ローンと火災保険での有利な点

マンション購入での住宅ローンは比較的取り組みやすいと言えます。金融機関によって戸建物件の融資を慎重にしているところがあるからです。新築の場合は販売会社がいくつか金融機関と提携した住宅ローンを用意している場合が多いです。そのため一般に提示している住宅ローン金利よりもさらに低く提示されるケースを見てきました。されに複数の金融機関に当たって比較検討することにより金利等で競争原理が働いた事例もあります。一方、火災保険(建物・家財)においても、ほとんどの建物が非耐火構造で水災リスクが少ないために、保険料は低く設定されています。一般的に住宅ローンの返済期間以上で加入するのですが、諸費用のうち火災保険料の負担割合は戸建ほど多くはありません。

その他・注意点(相談現場から)

マンション購入の資金計画は建物仕様がほぼ決まっていることから考えやすいように思えますが、ライフプランと世の移り変わりを重ね合わせると注意しておいたほうが良い点があります。

□  新築では1~2年後に完成というケースは少なくありません。よって、住宅ローンの実行金利が現状水準とは限らないため、少し高めに設定した返済計画で確認してみましょう。

□  修繕積立金を払っているから、修繕費はもう掛からないということではありません。あくまでも共有部分についての積立です。専有部分(部屋内)の修繕費は別で積み立てておきましょう。 

□  転勤や転職があっても賃貸に出せるという理由がありますが、簡単には考えないほうが良いでしょう。経済情勢や周辺環境の変化により入居率や賃料動向が変わります。また金融機関から住宅ローンの返済条件を変更されることがあります。それらをリスク要因として見ておいてください。 

以上、資金計画で大きく影響するところを挙げてみました。

その他では1人暮らしの女性がマンションを購入されるケースが最近また増えてきたように感じます。女性の社会進出がさらに進み住宅ローンを利用しやすくなっています。以前は転職や休職があってもマイナスで見られましたが、事情をしっかり伝えると逆にプラスで見ていただき有利な条件で組めることもあります。このようにマンションで掛かるお金を整理して、ご自身に合った購入計画を練っていただきたいと思います。

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