季節の便りも馬鹿にならない【2011年 第10回】

【2011年 第10回】 季節の便りも馬鹿にならない ~ウチの家計簿、武士の家計簿~

西谷 由美子(ニシタニ ユミコ)⇒ プロフィール

昔の人は筆まめなはずですが、郵便は明治から。じゃ、江戸時代のお手紙はどうだったんでしょう?

 

 

 

 

 

 

突然の連絡

新調した草刈り機やチェーンソーのお手入れに余念のない私の携帯が鳴りました。出るとめったに会わない、メールのやり取りをしていなかった友人が
「あんた今どこにいるのよ!」
「へっ???」
「久しぶりにあんたんとこ行ったら、知らない人がドアから顔を出してびっくりしたじゃない!」

そうです。私はメールではない、転居通知のハ・ガ・キ、まだ出してなかったのです。電話やメールが主流になってしまったので、めったに会うこともない、年賀状や暑中お見舞い程度しかやり取りしていない遠方の友人には、転送手続きを郵便局でしていた安心感もあり、ご挨拶を延ばし延ばしにしていたんですね。ああ、おのれの筆不精を反省。これじゃ娘の筆不精を叱れやしない。

江戸時代の手紙

で、メールも電話もない江戸の頃、皆さん達筆でお手紙のやり取りをしていたことが思い出されます。昔の人の文章って、達筆すぎると現代人は、っていうか私は、読めませんけど。

そういえば坂本龍馬さんの筆まめぶりも、大河ドラマになる前から有名でしたね。「日本を今一度せんたくいたし申し候」とか、お姉さんに「お龍がおればこそ龍馬の命は助かりたり」とか伝えているとか・・・(写真見たことありますが、やはり読めません。解説で内容を知っている程度です。)

なんでも現存するお手紙139通。イラスト入りの解説書的なお手紙などもあり、すごいものです。でも、一番多いのが乙女姉さん宛の14通、有名な奥様のお龍さん宛ては2通しか残ってないって、書いてないのか、ただ残ってないだけなのか、どっちでしょうね。

馬から飛脚

とはいえよく書いたものだし、また出したものですね。今の時代は¥80の切手を貼れば日本全国どこにでもほぼ確実に届きます。この郵便制度は明治の時代からのもの。それ以前は飛脚さんが走って運んでたはずですよね。かなりの金額になるのでは?

で、調べてみました。飛脚さんの始まりは一説によれば鎌倉時代。京都(朝廷)と鎌倉(武士)の連絡のために家臣が一生懸命に馬を走らせていたとか。江戸時代になると、幕府が京都に連絡のために人を走らせるように変化。それって馬はえさ代や休憩場所、世話する人の人件費、と費用がかかるけれど、人間が運べば馬の分の費用をカットできるから・・・すごいストレートな理由ですね。

また、大名も江戸と本国の間で飛脚を走らせ・・・でも、これはあくまでも公用。普通の人はこれとは別に、「町飛脚」を利用したそうです。まず商人が地元の本店と江戸支店間で連絡を取る必要が生じ、専門の業者が生まれ、それを一般の人も利用するようになったのだとか。

 飛脚の料金

毎月3度、定められた日に大阪を出発した普通便が「三度飛脚(さんどびきゃく)」と呼ばれ、のちに頻度を増して「常飛脚(じょうびきゃく」に。江戸から京都までを旅すると2週間くらい、でもプロの飛脚は6日間で届けたそうです。料金は、荷物一貫匁(3.75キロ)につき、江戸-大阪間で約9匁(3万6千円)、書類はその2/3程度だそうで2万円ほど。さすがにお高いものですね。とはいえ、自分で持って行け、と言われたら困る訳で。

 緊急用に、大坂から江戸まで3、4日で届く速達便もあったそうですが、こちらはとんでもなくお高く4両2分、135万円にもなります。

ただし、江戸市中だけであればもっとお手頃らしく、神田にあった近江屋という近場専門の飛脚さん、蔵前までは24文、浅草までは34文、千住まで50文、という料金の記録が残っているそうです。それぞれ1,142円、1,618円、2,380円ですね。

う~ん、龍馬さんのご実家は裕福な商家であったそうで、江戸遊学費用も余裕で出してもらってたらしいから、お姉さまへのお手紙、もしかして着払いで出してたんでしょうかねぇ。あ、急がなければ江戸詰藩士の場合、藩の飛脚にちゃっかり便乗して配達してもらう、という裏技も存在したそうですが。

それはともかく、JR同様、海外に比べると安全確実に全国均一料金でお手紙が届くわが日本。電話、FAX,メールの普及ではがきや封書の取り扱いが減っているそうですが、このクオリティは保持していて欲しいものですね。って、配達のクオリティは高くても、書く人のクオリティはどうなんでしょうね、ちゃんと転居の挨拶しろよな@ワタシ(笑)

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