住宅ローンプラン実践編⑦【固定金利から固定金利への借換え】【2012年 第11回】

【2012年 第11回】住宅ローンプラン実践編⑦【固定金利から固定金利への借換え】
– ケース別コラム – 住宅ローン

奥田 知典(オクダ トモノリ)⇒ プロフィール

 

一般論もいいけど、やっぱり個別の事例が知りたい!そんなご要望にお応えして、これまで私が実際に相談を受け、対策をとった、『リアルなケーススタディ』をご紹介していきたいと思います。

 

 

□ご相談内容

倉敷市内でいまから4年前に一戸建て住宅を新築したお客様。そのとき、フラット35を利用し、全期間固定金利で借入を実施し、満足していたものの、史上最低水準金利と話を聞いたので、借換えの是非について相談したい。あわせて、この機会に繰上げ返済の計画も立てたい。

□ご相談の背景

このお客様は、夫42歳、妻41歳、長男4歳という3人家族。いまから約4年前、岡山県倉敷市内で一戸建て住宅を新築。そのさい住宅金融支援機構の全期間固定金利ローン、『フラット35』を利用し、満足していたものの、ふとしたきっかけで住宅ローン金利が史上最低水準であることを知り、借換えの是非について相談にお見えになったものです。

このお客様は、借入当初より全期間固定金利、すなわち返済額が最後まで変わらない安心を求めており、年2.98%という金利水準にも満足されているため、諸費用を考えれば借換えは得策ではないとのお考えでした。ただ、住宅ローンが史上最低金利であるという話を耳にしたことに加え、自分達が思ったほど手元の貯蓄が増えていなく、そのため目標としていた、『借入3年以内に100万円繰上げ返済』が達成できなかったことから、自分達の判断が正しいかどうかを確認するため、相談にお見えになったのでした。

□優先順位の確認と、ライフプラン実施による収支チェック

そこでまず、その方の優先順位が借入当初と変わっていないか、再確認するところからコンサルティングを開始しました。じっくりと考えをお聞きしたところ、「4年前と変わらず、全期間固定金利が望ましい。ただ、手元資金が思ったほど増えず、繰上げ返済が実現できないため、借換えしたほうがよいのであれば、そうしたい」というニーズであることが判明しました。

そこで、ライフプランを実施し、そのまま借換えせずに返済を進めた場合と、変動金利へ借換えした場合、または固定金利から固定金利へ借換えした場合の、収支のバランスチェック及び金利負担の違いを検証。結果をふまえ方向性を決めることとしました。

ライフプランを実施した結果、ご夫婦が考えているよりも多くの支出があり、4年前と変わらず収入が安定しているにも関わらず、貯蓄が増えていないことが判明しました。すなわち、貯蓄が増えないのは、住宅ローン以前の、毎月の支出額の問題であったことがわかったのです。

「え、そんな単純なこと?」とお思いの方もおられるでしょう。しかし、現実にはその単純なことに気づかないケースが非常に多いのです。特に、夫婦共働きで、ともに正社員でバリバリ稼ぐ家庭においては、お財布も別々であることが多く、そのためつい無駄遣いをしてしまうことも少なくありません。ライフプランは、そんな毎月の家計のやりくりを確認できる効果もあります。

□フラット35からフラット35への借換え

まず、ライフプラン結果をふまえて毎月の支出額見直しを実施。そのうえで、住宅ローンについては、固定金利のままで金利を引き下げることを目標に、住宅ローンプランを検討しました。幸い、フラット35は取扱金融機関が異なると、フラット35からフラット35への借換えが可能であるため、最もよい条件で借入できる金融機関を探しました。

その結果、現在の年2.98%から、年1.88%へのフラット35へ借換えができる金融機関(モーゲージバンク)を発見。諸費用部分をみても、十分メリットを出せることがわかったため、フラット35からフラット35への借換えを実施したのです。

加えて、借換え後のフラット35については、毎月返済額を現在と同水準に設定。金利が1%以上下がっている分、残りの期間が短縮できるため、金利負担が200万円以上削減できることが判明しました。手持資金を使ってまとまった繰上げ返済をせずとも、金利負担を大幅に圧縮できた好事例です。

□今回のケーススタディのポイント、注意点

今回のケーススタディのポイントは、まずそのお客様が、住宅ローン金利の情報を耳にしたのに加え、繰上げ返済計画ができなかったことを素直に反省し、相談にお越しになった点です。

現時点で、ちゃんと返済できていることから、住宅ローンの見直しにそこまで必要を感じない人は多いと思います。「別に、いま返せているのだから、いいじゃん」と。しかし、今回のケースのように、おもいきってアドバイスを受けることで、よりよい状態で住宅ローンを返済することができるようになることも少なくありません。既に住宅ローンを借り、返済を進めている方は、一度ぜひ客観的にアドバイスを受けてみることをおすすめします。意外な発見があるかもしれませんよ。

そして、フラット35からフラット35への借換えができることを知りえたのもポイントです。同じフラット35でも、取扱金融機関が異なれば借換えが可能であることは、意外に知られていません。今回のお客様も、借換えをすると、フラット35はもう使えないものと考えておられました。住宅ローンの最新情報も含め、やはり、知ることは大切だと思います。

なお、実務的な注意点としては、フラット35は一般の銀行住宅ローンに比べ、その手続きに時間がかかります。今回のケースにおいても、元々の借入先金融機関に対し繰上げ一括返済をするためには、返済希望日の3週間前には申し出が必要であったため、そのぶん予定よりも1カ月、借換えのタイミングが遅れました。

フラット35は、申込時でなく、実行時の金利が適用となりますので、余裕をもった取り組みが必要です。今後借換えを検討される方は、注意してくださいね。

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