発つ鳥、後を濁さず(2)  相続編【2013年 第11回】

【2013年 第11回  発つ鳥、後を濁さず(2)】
自営業者 40歳からのセカンドライフ計画

恩田 雅之(オンダ マサユキ)

「自営業 40歳からのセカンドライフ計画」の第11回目になります。
10回目~12回目までは、「発つ鳥、後を濁さず」というタイトルで、贈与、相続、葬儀とお墓についてみていきます。今回は、相続編になります。

 

 

はじめに

平成25年度税制改正により「相続税の基礎控除及び税率の見直し」、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の見直しが行われました。

今回は、上記の2点と「相続税の財産評価」についてみていきます。

1.「相続税の基礎控除及び税率の見直し」について

適用されるのは、平成27年1月1日以降になり、見直しは、以下の表のとおりです。
1.相続税の基礎控除
夫婦と子供2人の家庭で、夫が亡くなって場合、
改正前は、5,000万円+1,000万円×3人(妻と子2人)=8,000万円
改正後は、3,000万円+600万円×3人(妻と子2人)=4,800万円
となります。40%基礎控除の額が小さくなります。
2.相続税の税率
また、相続税の税率についても、以下の表のように改正されます。

 

 
太字の部分が見直しになる部分になります。富の再分配機能を向上させるために、1億円以上の部分を細分化し、最高税率は50%から55%に見直しされます。

 

今回の見直しでは、「税率の見直し」よりも「基礎控除」の見直しの方が、多くの方への影響は多いと思われます。

2.相続財産の評価について

上記のように「基礎控除」の見直しによって、相続税の納付される方が増加します。
現金や預貯金は、相続財産を計算する時に、100%の評価で課税価格に計上されますが、ゴルフの会員権や上場株式などや土地、家屋については、それぞれ財産評価の仕方が異なります。
1)取引相場のあるゴルフの会員権の評価は、原則、通常の取引価額×70% で評価されます。

 

2)上場株式では、原則①から④のうち最も低い価額で評価されます。

  ①課税時期の最終価額
  ②課税時期に属する月の最終価額の月平均額
  ③課税価額の属する月の前月の最終価額の平均額
  ④課税価額の属する月の前々月の最終価額の月平均額
3)土地については、路線価方式の地域は路線価で評価し、それ以外の地域は固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価します。相続税路線価は、公示価格の80%で計算されますので、実際の取引相場に比べて低く評価されます。

4)自家用家屋については、固定資産税評価額で評価されます。固定資産税評価額は、公示価格の70%程度の評価になります。それぞれ、実勢価格(実際の取引価格)に比べて低い評価になることがわかります。

3.「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」について

居住用の宅地については、だれが取得(相続)するかによっても評価が変わります。
例えば、配偶者が取得し場合は、改正前は、240㎡までは、相続税路線価などから80%減額されました。
改正後は、330㎡まで拡充されます。(平成27年1月1日)以降。
また、それ以外の親族についても、取得、居住、所有など条件は、それぞれ異なりますが、配偶者と同じように80%の減額を受けられる場合があります。

詳しくは、財務省のHPを参照してください。

4.生命保険について

生命保険については、「生命保険契約に関する権利を相続」する場合と「生命保険金を受取る」場合の2つがあります。

 

1)生命保険契約に関する権利とは、被相続人(亡くなられた方)が保険料の全部または一部を負担していた保険契約で、相続開始時にまだ保険事故が発生していない(保険金が支払われていない)生命保険契約についての権利になります。この場合、解約返戻金の額で評価されます。

2)生命保険金を相続人が受取った場合は、保険金の一部が非課税となります。
               「生命保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数」

例として、夫婦と子供2人の家庭で、夫が亡くなって妻が3,000万円の保険金を受け取った場合では、

   3,000万円-(500万円×3人(妻と子2人)=1,500万円が課税財産に計上されます。

5.まとめ

以上、平成25年度税制改正における「相続税の基礎控除及び税率の見直し」と「相続財産の評価」についてみてきました。相続する財産、相続する人によって、相続財産の計算の仕方が変わることを理解し、保有する資産を考えることで、実勢価格に比べて課税評価額を低く抑える効果が期待できます。税理士と相談しながら相続対策を立てるようにしましょう。
相続税は、現金納付が原則になります。事前に、相続財産を計算し相続税の納付が必要なようでしたら、納税分については、預貯金や生命保険金でカバーできるように対策を打っておきましょう。
最後に「相続が争続にならないよう」に、遺言書の作成など、事前準備をしておきましょう。
次回は「葬儀とお墓」についてみていきます。
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