任意後見制度の概要【2014年 第2回】

【2014年 第2回】 任意後見制度の概要  任意後見制度とは?

三次 理加 ⇒プロフィール

人生の最期を自らが望むように準備する「終活」。葬儀や相続について、生前に準備される方が増えているようです。
ただし、生きていても、認知症等により判断能力が低下したり、自らの意思を表示できなくなってしまったりする状態になることもあります。そのような場
合に備えるのが「任意後見制度」です。

任意後見制度とは?

任意後見制度は、「任意後見契約に関する法律」に基づき、将来、判断能力が不十分となった時に備えるための制度です。本人の判断能力があるうちに、将来、自らの判断能力が低下した場合における財産管理や介護サービス締結等の療養看護に関する事務について、信頼できる方に依頼し、引き受けてもらう契約を結びます。この契約を「任意後見契約」といい、依頼するご本人を「委任者」、引き受ける方を「任意後見受任者」といいます。

なお、「任意後見契約」は「公正証書」により締結します。公証人は、登記所に任意後見契約の登記を嘱託します。
その後、本人(=委任者)の判断能力が低下し不十分となった場合、家庭裁判所に「任意後見監督人選任の申立」を行います。申立ができるのは、本人、配偶者、四親等以内の親族、任意後見受任者です。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、任意後見が開始されます。この段階で、「任意後見受任者」は「任意後見人」となり、任意後見契約に基づき、財産管理や介護サービス締結等の療養看護に関する事務を開始します。

なお、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」は、本人に代わって任意後見人を監督し、任意後見人が契約内容を超えた事務を行うことを防止する役目があります。

任意後見は、本人または任意後見人が死亡・破産すると終了します。そのため、たとえば身寄りのない方が同制度を利用する場合、任意後見契約だけではなく、病院の費用清算や葬儀等の死後事務について、別途委任契約を結ぶことを検討することをおすすめします。

なお、任意後見監督人が選任される前であれば、本人または任意後見受任者は、いつでも契約を解除することができます。ただし、公証人の認証が必要です。任意後見監督人が選任された後であれば、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、契約を解除することができます。

任意後見制度の特徴

任意後見制度の特徴は、「自己決定権の尊重」と「本人の保護」にあります。任意後見制度を利用するか否かは、本人の選択によります。また、任意後見人にどのような事務を依頼するかは、契約当事者同士の契約によります。つまり、「任意後見契約」の内容は、本人の意思をあらわしたものであり、任意後見契約に従って事務を行うことは本人の自己決定権を尊重することであるといえます。

また、任意後見制度では、家庭裁判所により任意後見監督人が選任されます。つまり、任意後見監督人を通じて、間接的に家庭裁判所が任意後見人を監督することになります。これにより、本人の保護を図っています。

一般的な「委任契約」との違い

任意後見制度には、多くの公的な目がチェック機能として働いています。まず、契約は「公正証書」により締結されることから公証人のチェックが入ります。次に、前述したように任意後見を開始するためには家庭裁判所に「任意後見監督人選任の申立」が必要であり、任意後見開始後は「任意後見監督人」が任意後見人を監督します。任意後見人に不正行為等がみられた際には、家庭裁判所は任意後見人を解任することができます。

一方、一般的な「委任契約」には、このようなチェック機能はありません。

法定後見と任意後見との違い

 

「任意後見制度」はご本人の意思に基づく「事前的」な契約です。一方、判断能力が不十分となった後に利用する「法定後見制度」は、「事後的」なものであるといえます。また、「任意後見制度」では、本人が任意後見人を選ぶことができます。一方、「法定後見制度」は、成年後見(保佐・補助)人を家庭裁判所が選任します。そのため、本人や親族が希望する通りの成年後見(保佐・補助)人が選任されるとは限りません。

なお、法定後見と任意後見の関係は「任意後見優位の原則」というものがあります。これは自己決定権の尊重によるものです。そのため、原則として、任意後見は法定後見に優先され、また、任意後見と法定後見が併存することはありません。

次回は、「任意後見契約」です。お楽しみに♪

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