投資信託の基礎4 ~リスクについて~ 【2015年 第6回】

【2015年 第6回 投資信託の基礎4 ~リスクについて~】インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託

恩田 雅之(オンダ マサユキ)

投資における「リスク」は危険という意味ではなく、価格を変動させる要因という意味になります。今回は、資産運用に投資信託を活用した場合の主なリスクとその低減方法についてみていきます。

 

 

はじめに

投資信託の主なリスクは、

1.価格変動リスク

2.金利変動リスク

3.インフレリスク

4.信用リスク(デフォルト・リスク)

5.為替リスク

6.カントリーリスク

があります。以下それぞれの内容と影響を受けやすい投資対象等についてみていきます。

主なリスクと影響を受けやすい投資対象

「価格変動リスク」は、その投資信託(以下:ファンド)が投資している株や債券等の銘柄の価額が変動することによって基準価額が変動するリスクです。このリスクは、ファンドの投資対象により変動要因が異なります。

「金利変動リスク」は、主に長期金利の変動により基準価額が変動するリスクです。

長期金利は、一般的に期間10年の国債の利回りとイコールになります。

利回りを重視した運用を行う「債券ファンド」「リートに投資するファンド」が「株式ファンド」に比べ、このリスクの影響が大きくなります。

「インフレリスク」は、物価の上昇と比較して運用利回りが劣ってしまうリスクです。

このリスクを受けやすいファンドは「国内債券ファンド」等、1つの国の債券に投資するファンドになります。

また、一般的に商品への価格転嫁や物価の上昇に伴う賃料の上昇が期待できる「株式ファンド」「リートに投資するファンド」は、逆に物価上昇の影響を受けにくいファンドになります。

「信用リスク」は、国の財政悪化や会社の業績不振等により、債券では利子や元本の支払いが遅れたり支払不能に陥るリスク、株式では株価の評価が極端下がったり、最悪、評価が「ゼロ」になるリスクです。

複数の地域に分散して投資を行っているファンドは、1つの国や地域に投資しているファンドに比べ、このリスクは相対的に低くなります。

 

「為替リスク」は、投資している国の通貨やドル等の主要通貨と円とのレートの関係でファンドの基準価額が変動するリスクです。

このリスクは、「ファンドが投資先の通貨で運用している」「ドル建で運用している」「通貨選択で新興国の通貨を選択している」等、ファンドが通貨に関してどのよう運用スタイルを取っているかにより、リスク度合いが異なります。

「カントリーリスク」は、投資先の国や地域の政情不安や紛争等により基準価額が変動する

リスクです。最近では、ロシアの株式等を投資対象とするファンドにこの影響が出ています。

以上、主な6つリスクの中身と影響を受けやすい「ファンドのジャンル」ついてみてきました。

6つのリスクの中で「価格変動リスク」「金利変動リスク」「為替変動リスク」が起こる頻度が高いリスクなります。

「信用リスク」「カントリーリスク」は、起こる頻度は低いが起きてしまうと基準価額を大きき変動(下落)させる要因となります。

また、インフレリスクについては、通常国ごとにインフレ率や債券等の利回りが異なるので、地域分散の度合い等により起こる頻度は異なります。

主なリスクの低減方法

リスクの低減方法として、分散投資という方法があります。

主な分散方法は、「銘柄の分散」「国や地域の分散」「通貨の分散」「購入するタイミングの分散」になります。以下、それぞれの分散方法についてみていきます。

「銘柄分散」については、個々のファンドにより分散する銘柄数や銘柄が異なっていますが、全てのファンドが行っている分散方法になります。

「国や地域の分散」については、「グローバル」「先進国」「新興国」等を投資対象としているファンドでは行っている分散方法です。

「通貨の分散」についても同じように「グローバル」「先進国」「新興国」等を投資対象として現地通貨で運用しているファンドで行っている分散方法になります。

ファンドの選び方により異なりますが、3つの分散方法はファンドの運用担当者(ファンドマネージャー)が運用する上で行っている分散の方法となります。

「購入するタイミングの分散」については、ファンドの購入者が行う必要のある分散方法になります。ファンドの基準価額は、景気の状況や上記のリスクによって日々変動します。購入するタイミングを分散することで、異なる基準価額で購入することができるようになります。

「ドルコスト平均法」という購入方法は、購入金額と購入時期(月末購入等)を一定にしておくことで異なる基準価額で購入することができ、基準価額が高い場合には口数を少なく、低い場合には多く購入する購入方法になります。それにより、平均の購入単価を下げることが期待できます。長期運用を行う上では、効果の大きい分散方法になります。

「ドルコスト平均法」による購入方法を「積立投資」という形で提供している金融機関もあります。

以上、主なリスクとその低減方法についてみてきました。

次回は「リート(不動産投資信託)」の仕組みや特徴についてみていく予定です。

 

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