岡本英夫のFPウオッチャーだより 第22回 大江英樹さんとの思い出 【2024年1月】

マイアドバイザー® 顧問 岡本英夫 (オカモト ヒデオ)さん による月1回の連載コラムです。
ファイナンシャル・アドバイザー(近代セールス社;2022年春号以降休刊)の初代編集長として、同誌でも寄稿されていたエッセイの続編的な意味合いのあるコラムとなります。

今回は第22回目です。

岡本英夫プロフィール

大江さんとはじめてお会いしたのは2013年5月23日に開催されたWAFP関東の総会での講演会だった

当時の勤務先が法人会員であったことから参加したのだが、例年はその後に行われる名刺交換会から参加していた。
開催案内を見て、大江さんの演題「行動ファイナンスと投資家心理」に興味を抱いてのことだった。

講演を聞いて、その明快な話しぶりと内容に「ただものではないな」と感じた。

講演終了後に名刺交換、その後の名刺交換会では大江さんの周囲には人だかりができ、ほとんど会話することができなかった。

ただ、その光景を見て、大江さんを講師として金融機関の派遣すること、執筆者として雑誌に登場願いたいと考えた。

その年の暮れ、長野県の金融機関から「FPフォローアップ研修」の講師派遣依頼があった

FP資格更新のための継続教育単位を取得するための3日間の研修会を長野と松本の2か所で連続開催する。
1日目が金融資産運用設計、2日目がライフプラン・リタイアメントプランニング、3日目がタックス・相続事業承継。

その1日目をお願いした。

講義時間は昼休みを挟んで9時から17時までの7時間、終了後は松本に移動して翌日も7時間。
講演会なら長くても2時間であり、7時間の講義は知識も精神的体力もいる。

アンケートでの評価が低ければ依頼先からの苦情に結び付く。
後日届いた大江さんのアンケート結果は、予想どおり上々であった。

2015年12月には、月刊「ファイナンシャル・アドバイザー」誌2016年2月号の巻頭インタビュー(FP羅針盤)に登場いただいた

大江さんには、当時東中野にあった本社までご足労いただき、応接室でインタビューを行った。

記事をまとめたのは当時の若手編集者で、私はカメラマンとともに同席した。
その記事の一部を紹介する。

********

起業を成功させるためには、何が重要だと考えていますか?

人脈の広さではないでしょうか・・・。

ただし、私が考える人脈とは、「私がどんな能力を持っていて、どのくらいの仕事ができるのかを理解している人」のことですから、ビジネス交流会などでどんなに名刺交換をしても意味はありません。
人脈を広げるには、自分の専門性・パフォーマンスを披露する機会をどれだけ持てるかがカギになります。

私の場合、勉強会や読書会への参加が有益でした。

(中略)

その場で私は、得意分野である確定拠出年金や行動経済学の話をしました。

するとあるFPの方から「顧客向けセミナーで行動経済学について話してほしい」とのお話をいただいたのです。
そのセミナーの様子がHPにアップされると、(中略)女性FPの会・WAFP関東の方からのご依頼で、総会でゲスト・スピーカーを努めることになったのです。

********

その総会での講演を聞いたわけだが、講演依頼者はどなただったのだろうか・・・。
その方は「大江さんの能力、どれくらいの仕事ができるのか理解できた」方だと思う。
当時のWAFP関東の会長は柳澤美由紀さん、その日の総会で後任の会長となったのが安田まゆみさんだった。
安田さんはご存知だと思う。

筆者は65歳となった2016年3月末で勤務先を退職するのだが、その年の1月9日、お茶の水で開催された大江さんと井戸美枝さんがコラボした「定年セミナー」に参加した

そのときに奥様の加代さんとはじめてお会いしたが、午後から桂文枝師匠の落語を聞きに有楽町ホールへ移動するため、ご挨拶もそこそこに失礼してしまった。

退職後はしばらくご無沙汰していたが、フェイスブックで大江さんの活躍ぶりはフォローしていた。

あるとき、町田市民ホールでの立川志の輔独演会で和服姿の大江さんに偶然お会いした。
また、日本青年館ホールでの立川談春独演会では遠目にその姿を確認したが、そのときはおしゃれなジャケット姿であった。

一昨年、マイアドバイザー®の再出発に当たり、佐藤益弘さんから顧問を御願いされたとき、大江さんも顧問を引き受けられていることを聞いた・・・

その後、大江さんはラジオNIKKEI水曜日午後のキャスターを担当されるのだが、初回の放送をたまたま散歩がてら聞いていてびっくり・・・。
毎週耳を傾けるようになり、楽しみにしていた。

最後にお会いしたのは、札幌でのマイアドバイザー®の総会&懇親会だった。
世阿弥の話に感服したが、それ以上に感心したのがその健康ぶりであった。

健康を害して入院されていると知ったときにも、完治されて活躍されるものだと思っていた。
それが突然の訃報である。
佐藤さんから連絡があったときには心底驚いた。

大江さんとは1歳違いで、私のほうが年上である。
同じ時代を生きてきたが、一足先に旅立たれた。

思うことはたくさんあるが、謹んでご冥福を祈る次第である。

※ 写真は、2023年6月2日 マイアドバイザー®年次総会2024 in 北海道札幌 より

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