マイアドバイザー® 顧問 岡本英夫 (オカモト ヒデオ)さん による月1回の連載コラムです。
ファイナンシャル・アドバイザー(近代セールス社;2022年春号以降休刊)の初代編集長として、同誌でも寄稿されていたエッセイの続編的な意味合いのあるコラムとなります。
岡本 英夫 ⇒ プロフィール
今年の3月で75歳になる。後期高齢者の仲間入りである。2025年の簡易生命表によると75歳男性の平均余命は12.75年、「うーん、あと10年ちょっとか」と何とも言えない気持ちになるが、85歳男性の平均余命は6.31年とある。85歳まで生き延びれば91歳までが余命が伸びるのではないかいうのがこの統計である。そんなことを考えながら、筆者の経験をもとに75歳以上の後期高齢者のFPニーズを考えてみたい。
ライフプランニング(免許返納、旅行、健康維持策)
ライフプランニングやキャッシュフロー分析は後期高齢者にはなじまない。一昨年、昨年と高齢者向けの新NISA講座を地元公民館でおこなったが、後期高齢者に属する参加者は、いたって元気であった。私もそうだが、収入といえば公的年金と個人年金保険、他の収入は退職金などを原資とする利子・配当、譲渡収入である。
自営業者であれば事業収入もあるが、いつまで働けるかには個人差がある。辞め時も考えておかなければならない。悩むのは自動車免許の返納時期である。筆者は一昨年車を手放し免許を返納した。アドバイスとしてはバスや電車で動けるうちのほうがよい。次の車検までというように、時機を決めておくことをすすめてはどうだろうか。
旅行やスポーツなどの趣味も健康であれば持続できるが、後期高齢者ともなると、膝や腰の痛みなども出てくるし、持病をお持ちの方も多い。地域の高齢者仲間と楽しめるグランドゴルフや健康吹き矢などの高齢者サークルに入るなり、囲碁や将棋などで仲間を作るのもよい。筆者は公民館のスポーツ活動に参加しているが、できる範囲で楽しめている。
旅行も、以前は自分で計画を立て航空券や宿泊先も予約していたが、今では添乗員が付き添うツアー旅行のほうが気楽でよいと思うようになった。旅行先も国内で十分である。まだ、尋ねたことのない名所がいくつも残っている。可能な限り、夫婦でおいしい和食や美しい風景を楽しみたいと思っている。
終の棲家
健康であれば現在の住居で暮らせるが、歩行や家事などがきつくなっていくことも考えられる。妻とは将来、サービス付き高齢者住宅等へ入居することで考えが一致している。今すぐというわけではないが、現在の住まいから近い施設が望ましい。今の住居は高齢者施設に入居後もしばらくはそのままにしておき、入居した施設に問題がなければ、貸すなり売却して、その後の住居費等に充当したい。
その後のことは、今は考えていないが「なるようにしかならない」。ただ、情報はほしいので、自分自身で調べると同時に高齢者支援センターの担当者や高齢者住宅・高齢者介護等にくわしい畠中雅子さんのお話を聞けたらと思う。この種の情報提供はこれからのFPも求められる一分野である。
金融資産運用
退職したのは10年前の65歳のときだが、退職金は60歳時にいただいた。投資経験は45年。元々金融資産作りは定期積金、財形貯蓄ではじめたが、それを元手に株式投資をはじめた。NISAが始まった2014年から毎年限度額一杯利用し、2024年からの新NISAに引き継いで成長投資枠、つみたて投資枠とも活用している。1,800万円の新NISA枠が埋まる頃には、再度、限度額は引き上げられるはずだと考えている。
NISA以外に個人向け国債や銀行預金、投資信託、ETFなども活用している。株式投資では生まれ故郷の山口県関連企業である旧山口銀行、旧徳山曹達、旧宇部興産、旧大洋漁業を今の社名になる前から、武田薬品なども保有している。自分自身では山口関連株をまとめて「山口ファンド」と呼んでいる。こうした銘柄選択もありだと思う。
資金運用は楽しみのひとつで、散歩時にはラジオNIKKEIを聞いている。NISA活用や資産運用について講義する機会もあるので情報収集は必要で、学生時代から購読している日経新聞のほかネット情報も活用、旅行費用などの資金が必要な時には売却銘柄の選択にも活用している。これらは体力を必要としないので継続が可能だ。
老後資金作りやNISAなど講義する際には、資金運用が老後を支えると同時に、日々の楽しみになることを伝えていただければと思う。
相続対策
退相続税・相続税対策はともかく、相続関連の悩みといえば父から相続した生まれ故郷の宅地、農地、山林である。宅地は叔父夫婦が管理してくれているが高齢のため、その後をどうするかである。いまさら自分が住むわけにもいかず、空き家となったあとの処分の仕方を考えなければならない。更地化しても売却は難しい場所である。
農地の大部分は篤農家が集まった農業法人に預けているが、そうでない農地は高齢の農家に耕作してもらっている。相続人である妻と息子には宅地・山林も含めて2023年4月に始まった国庫帰属制度があることを伝えているが、制度ができるまでは対処が難しかった。私の名義であるうちは現状のままで、状況に変化があれば対応しなければならない。
あと墓じまいがある。数年前に帰省した時に菩提寺と相談し、寺にある永代供養墓に入れる場合の金額を聞き、資金も準備していたのだが、その住職が亡くなり、別の寺の住職が兼務している。後々のことを考えると、悩ましいところだが、こちらもしばらく様子を見ようと思う。
地元公民館で毎年相続対策についてお話ししているが、同じような悩みをかかえている高齢者は多い。そこで思うことは「相続人である配偶者や子と一緒に参加していただければよいのに」ということだ。被相続人である高齢者が一人で考えても解決には至らないことが多い。FPのみなさんには、そういう機会を作ることを考えていただけたらと思う。
今年度も相続の講義を行うと思うが、募集チラシに「ご夫婦、ご家族でのど参加を歓迎します」という旨を加えたい。なお、講義後に相談時間を設けている。

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