家族が健康である今 “相続” につい て考えてみましょう【2012年 第8回】

【2012年 第8回】家族が健康である今 “相続” につい て考えてみましょう    発生してからでは手遅れになる可能性のある“相続”

合田 菜実子(ゴウダ ナミコ)⇒プロフィール

若いころは“縁が無い”と思っていた“相続”という言葉。両親も自分も年齢を重ねるにつれ、少し身近に感じるようになってきました。発生してからでは手遅れになる可能性のある“相続”について少し考えてみましょう。

 

 

 

 

現在、全国で相続税を納めている人の割合は4%程度となっています。しかし、2010年4月より、自宅の課税評価額を大幅に減らすことが出来る特例である「小規模宅地等の特例」が改正され、自宅相続時の課税評価が厳しくなりました。また、国会において相続税増税も審議されており、将来的には40%以上の人が課税の対象になるとも言われています。“私には関係ない”と思っていた相続税が、将来トラブルや悩みのもとになる可能性があります。

下記は国税局別の課税状況です。相続人の数、課税価格とも圧倒的に東京が多く、次いで大阪となっています。

 

 

 

下記は、国税局別被相続人の数の表です。全国での被相続人の数は49,891人で、そのうち16,147名が東京(32%)に集中しており、続いて大阪8,379人(16.8%)と、都市部に富裕層が多くなっています。
(国税局発表平成22年度版)

課税価格階級毎に見ると、20億円超の被相続人数は、東京が103名(約70%)、大阪が次いで13名(約9%)となっており、被相続人の中でも超富裕層は東京に集中していることが分かりますね。
【国税局別被相続人の数】
最新平成22年 国税庁データより

 

 

 

 

 

 

 

 

関西における“相続の地域性”と言われると難しいですが、京都の老舗のお店などは一般家庭とは違って様々な相続事情があるのではないかと思います。

京都で有名な“某老舗かばん屋さん”での長期に渡る相続トラブルが話題になっています。3代目代表であった会長が亡くなり、事業承継と株式、商標権を巡っての兄弟間で数年間に渡り訴訟が続いているようです。事の発端は、内容が全く異なる遺言が2つ見つかったことなのですが、それぞれが、長男、三男、四男3人の今後を大きく左右する内容となっていたため問題が大きくなってしまったようです。
ここ数年間で、従来からのお店が営業休止したり、兄弟それぞれが別のお店を立ち上げてブランド名が3つに分かれたり、また戻ったりと消費者側から見ると、不可解な状況が続いています。

私自身、このお店の昔ながらのファンで20年以上前から愛用していますが、京都で長年人気のお店のバックに付いたブランドタグ名が相続に関する揉め事が原因で、時期によって変わったり、模倣品などと言われたりするのは残念なことですね。

“個人の相続”においても、少なからず上記と同じような相続トラブルが発生することがあります。最近、多い相談として挙げられるのが、“両親が亡くなってしまい田舎に家と土地があるが、将来的に住む予定が無いのでどうしようか?“というケースです。“老舗会社の相続”程、規模が大きくなくても、また、相続税の課税対象にならなくても、不動産をめぐる兄弟間のトラブルというのは発生します。

☆ご相談の例

①このまま保有する場合 ~

兄弟がいる場合誰が相続するのかという問題、また、相続財産が不動産だけならば、1人が相続し、その財産を相続する代わりに他の相続人に金銭などを支払う“代償分割”が必要になる場合もあります。
不動産を相続すれば固定資産税などの税金を始め、維持費も必要になります。住宅用地の場合は、固定資産税の軽減特例の対象となりますが、長年空き家として放置したり、住宅を解体して更地にしたりした場合は軽減適用外となります。先祖代々からの土地であったり、想い出がつまった実家であったり等、そう簡単に手放せないということもあるでしょう。
ただ、将来的に必要無いと思われる土地であれば、これからどうしていくのが良いか、兄弟間でしっかり話し合う必要があります。

②売却する ~

相続が発生した際、特に必要な土地でもなかったのでそのまま親名義で放置してきたが数年たった今、“売って現金化したい”と思うAさんに対し、想い出の実家だからそのまま置きたい“Bさんという2人の兄弟で意見が割れてしまって先に進めない、というご相談を受けたことがあります。
売らない場合、誰が相続するのか? 共有にするのか?という問題が発生します。
また、いざ売ろうと思っても、売れないケースも考えられます。また、数年空き家だったこともあり隣との境界線引きが難しい、など、様々な問題も浮上してきます。
まずは、兄弟間で良く話し合うこと、売却するにしても土地の売買は金額的にも大きいので、地元の不動産情報などを入手して適正な価格などを調べたり、そのエリアの実情に詳しいFPに相談したりするなど最もよい売却方法をさぐる必要があります。

③賃貸マンションを立てるなど土地を有効活用する~

上手くいけば節税対策になり投資額が大きくても家賃収入などで将来的にプラスにできる可能性はあります。ただ、土地は所有のものでも、建物分のローンを組むことになれば将来長期的に“負債を抱える”という大きなリスクも発生します。また、今家が建っている土地であれば、取り壊し費用などもかかってきますし、兄弟がいる場合は名義をどうするかという問題も発生します。

賃貸経営の場合、ローン金利上昇によるリスク、空室リスク、将来に渡るメンテナンス費用の準備や、自然災害など予測できないような事態が発生した場合の対応など綿密に想定する必要があります。
また、請負会社によっても条件が異なりますので、業者の選択も慎重に行う必要があります。

自分が育った土地、家族で住んでいた家など、不動産に対してはその人その人で思い入れもあるでしょうし、いざ相続が発生しても“売却し現金化して兄弟で山分けして終了”などと簡単に結論を出すのも難しいですよね。

実際、目をそむけたい部分もありますが、いざ“相続”というときに困らないように、家族が健康である今だからこそ、ある程度備え、想定しておくことが大事だと思います。

 

 

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