「北海道の景気の先行きを考える」【2012年 第1回】

【2012年 第1回】「北海道の景気の先行きを考える」 エリア別コラム – 地域:北海道東北

恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒プロフィール

毎年、年始は妻の実家、道南の厚沢部(あっさぶ)で迎えています。厚沢部町は人口4500人の山間の町、じゃがいもメークインの発祥の地になります。最近は、メークインを使った、じゃがいもの焼酎「喜多里」も生産しています。
冬の晴れた夜には、星がきれいに見える町です。ただ、星を真剣に探しているのは札幌から来た私たち夫婦だけです。2012年は、2011年に引き続き不安定な1年になりそうです。
そんな中、1月のテーマは「北海道の景気の先行きを考える」です。

 

 

 

最初に北海道の消費動向をみていきます。

(以下に出てくる数字は、総務省「家計調査」が出典になります。)

平成17年~22年までの全世帯の消費支出は、平成17年~19年まで3年連続で前年を下回り、平成20年~22年まで3年連続で前年を上回っています。昨年(平成23年)は、1月~9月の速報で見た限りでは、前年を下回っています。

次に、全国と北海道の消費傾向を平成22年の費目別構成比の上位5つで比較してみます。全国は、食費(23.3%)、その他の消費支出(22.6%)、交通・通信(13.4%)、教養娯楽(11.0%)、光熱・水道(7.6%)の順になります。
北海道は、その他の消費支出(23.1%)、食料(22.4%)、交通・通信(13.5%)、教養娯楽(10.3%)、光熱・水道(8.9%)の順になります。

北海道は全国に比べて、その他の消費支出と光熱・水道の構成比が高く、食料、教養娯楽の支出が低い傾向にあります。
また、平成17年~22年までの傾向として、全国、北海道とも、交通・通信費と教養娯楽の比率が徐々に上がり、その他の支出が徐々に下がる傾向にあります。

北海道で支出構成比の高い、その他の消費支出の内訳には、理美容や化粧品などが入っています。北海道は、食費よりもおしゃれにお金をかける傾向があることがわかります。
また、寒冷地なので光熱費の比率が高いことも特徴です。

しかし、私の実感としては、札幌のデパートの地下の食料品売り場は、日々ごった返して、化粧品売り場や洋服の売り場はあまり込み合っている事が無い印象があります。その他の消費支出が最も多いというのは意外な感じがしました。

また、私が会社に勤めていたころは、暖房代として石炭手当が冬のボーナス前後に支給されていました。それが暖房以外の消費を刺激していたことを思い出します。最近では、石炭手当を出す企業が減ってきているようで、北海道経済低迷の要因かも知れません。

そして、食料の内訳をみると北海道は、さんま、いか、たらこが多く。全国では、あじ、いわし、たい、ぶりが多いというデータがあり、見事に地産地消しています。これが食料の比率を下げている要因と思われます。

次に、北海道の景気の見通しを「独断と偏見」で予想してみます。

消費支出は人口の増減に左右されます。国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとに将来の北海道の人口推移を表にしてみました。

 

 

 

 

 

 

 

表やグラフでみる限り、北海道の人口は減少傾向にあり、高齢化率も年々高まっていくことがわかります。北海道人だけの消費支出で考えた場合には減少傾向が続きます。それをカバーするために、全体の消費人口を増やすことが必要になります。

そのためには、海外や本州からの旅行者を増やすことが必要です。北海道の景気は、旅行者数の増減によりかなり影響を受けると思います。2012年の国内景気は、まだまだ不安定な状況が続くと考えています。また、円高と震災・原発の影響により、海外からの旅行者、特にアジアからの旅行者数が増加することは、難しい1年かと思います。

しかし、中期的には、2015年開業が予定されている新幹線新函館により、本州に住んでいる中高年の方にとって飛行機よりも北海道旅行をし易い環境が整うと考えています。昨年12月22日に札幌までの延伸も動き出しました。

その時に、北海道全体としてのイメージではなく、函館、札幌、小樽、帯広、釧路など地域ごとの明確なイメージを地産地消の食材やその地域の自然との共生を通して表現できれば、時間に余裕のある中高年層のリピート率が上がり、中期的に北海道経済に良い影響を与えると考えます。

最後に、初参り函館八幡宮に行ってきました。

函館山の麓にあり、石段を上って神社に上がると函館市街を見渡すことができます。21年前に結婚式を挙げた思い出深い神社です。

正月の参拝者は約10万です。札幌の北海道神宮の約73万人には遠く及びませんが、人口規模(札幌190万人 函館 28万人)を考えると、なかなかのものです。

今年、長女が大学3年、就職活動を開始します。次女も大学生になります。経済的には、大変な時期に入りました。我が家が金融危機に陥らないよう、いつもより多いお賽銭を投じ、神頼みをしてきました。

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