池田龍也 の 経済ニュースよもやま話 第5回 経済ニュース10本の柱 「景気動向を見る主な経済指標」 

マイアドバイザー® 池田龍也 (イケダ タツヤ)さん による月1回の連載コラムです。

経済ニュースを見るための10本の柱

シリーズ企画、経済ニュースの取扱説明書。経済ニュースの10本の柱は以下の通りです。(私見もふくめています)

① GDP
② 金融政策
③ 日本の財政
④ 景気動向を見る主な経済指標
⑤ マーケットの動き
⑥ 消費動向
⑦ 貿易
⑧ 企業活動
⑨ 世界経済のポイント
⑩ 高齢化社会の課題と諸問題

今回のテーマは、「景気動向を見る主な経済指標」についてです。

池田龍也プロフィール

経済指標は経済の「人間ドック」

経済指標とは、経済状況を見るための様々な統計数字などの指標のことです。
その国の経済状況が順調なのか、それとも何か問題があるのか、それを知るためのものです。

人間の健康状態になぞらえてみると、我々が健康状態を知るために健康診断や人間ドックのような検査を受けて、血圧、脈拍、血糖値、中性脂肪、尿酸値などの数値を見ながら、判断するのと似ています。

今回は、その主な経済指標をご紹介しながら、ポイントをご説明したいと思います。

「景気ウォッチャー調査」

タクシーの運転手さんとの会話で、
「最近景気どうですか?」
「コロナもちょっとおさまり、人出も外国人観光客もだいぶ戻ってきた感じですね」
というような話をすることがあるかと思います。これも肌で感じる経済の動きです。

実際に「景気ウォッチャー調査」という経済指標が内閣府から毎月発表されています。
全国の百貨店、スーパー、コンビニなどの小売業やレジャー関係で働く人、タクシー運転手さんなど、景気の動きに敏感な職場のおよそ2000人にインタビューして、調査結果を集計・分析しています。

景気の動きを肌で感じられる職場の人たちの実感が折り込まれている上に、生の声も紹介されるのが特徴です。

6月の調査結果

https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0710watcher/watcher1.pdf

景気の動きを知るための主な経済指標

経済状況全体を知るためのおもな経済指標、以下の通りです。

  • GDP(国内総生産)・・・内閣府発表、このシリーズですでにご紹介しています
  • 景気動向指数・・・内閣府発表
  • 日銀短観・・・日本銀行発表

これに加えて、経済状況をとりまとめたものとしては、経済指標ではないのですが、

  • 月例経済報告・・・内閣府発表
  • 日本銀行の展望リポート

などがあります。

「景気動向指数」

<ニュースの紹介>5月の景気動向指数 前月比0.4ポイント下回る 2か月ぶり低下

景気の現状を示す「一致指数」が前月から0.4ポイント低下。
指数の低下は2か月ぶり。
普通乗用車やトラックの生産が減少したほか、アメリカ向けの輸出が前の月を下回った。
景気の先行きを示す「先行指数」は、前の月よりも1.4ポイント上昇した。
(2023年7月7日)

景気動向指数は、産業、金融、労働など、景気に敏感な30項目の景気指標をもとに計算されています。
現状の景気よりも先に動くものを「先行指数」、一致して動くものを「一致指数」、遅れて動くもの「遅行指数」として、それぞれ公表しています。

一致指数は以下の10項目の指数をもとに計算をして算出しています。
「先行指数」も「遅行指数」も別の指数を使って同じように計算しています。

内閣府の発表より

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202305psummary.pdf

この表の10の指数は、ご覧になるとお分かりのように、例えば「有効求人倍率」、経済状況がよくなれば、それに連動して、求人が多くなりますから、経済の動きと一致して動いていくと考えられています。

日銀短観 (にちぎんたんかん)

日銀短観とは、正式には「企業短期経済観測調査」。
日本銀行が年4回(3、6、9、12月)、景気の現状と先行きについて企業に直接アンケート調査をし、その集計結果や分析結果をもとにまとめています。
「TANKAN」として国際的にも知られており、日本経済の動向を知る重要な調査のひとつとです。

具体的には、全国の大手企業と中小企業、製造業と非製造業などで分けて、約1万社以上を対象に、業績や状況、設備投資の状況、雇用などについて実績と今後の見通しを聞いています。
企業の経営判断を調査することで、経済の状況を把握しようというものです。

<ニュースの紹介>

日銀が7月3日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標、大企業製造業の最近の景況感を示す業況判断指数が3月の前回調査から4ポイント上昇のプラス5となり、2021年9月以来、1年9カ月(7四半期)ぶりに改善した。
半導体不足の影響が和らぎ、自動車生産が回復基調にあるほか、収益を圧迫してきた原材料価格の上昇が一服したことが影響した。

もとの日銀の発表資料は17ページありますが、ニュースになるのは、はじめの方の数字です。
1ページの中でも、上の方の拡大したところ、大企業の製造業の指数が5となっており、変化幅は前回より4ポイント増えています。

日銀短観の実際の発表文

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2306.pdf

月例経済報告

景気に関する政府の公式見解として内閣府から毎月発表されています。
経済全般の状況がわかり、個人消費、民間設備投資、住宅建設、公共投資、輸出・輸入、生産、物価、雇用情勢、地域経済、海外経済など、さらには先行きの見通しにも触れています。
基調判断は「改善に足踏みがみられる」「持ち直しの動きがみられる」などの微妙な表現が用いられますが、変化の様子はわかるようになっています。

6月発表の月例経済報告の表紙は以下の通り。

6月発表の月例経済報告

https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2023/0622getsurei/main.pdf

日本銀行の「展望リポート」

日本銀行は、年4回(通常1月、4月、7月、10月)の金融政策決定会合で、先行きの経済・物価見通しなどを点検して、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を発表しています。
実質GDP成長率と消費者物価上昇率の予測を盛り込み、金融政策の考え方を整理しています。

下のグラフは、4月の展望リポートのGDP成長率と、消費者物価指数の今後の見通しも含めた推移です。

4月の展望リポート

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304b.pdf

この他の経済指標

これ以外にも重要な指標はたくさんあります。

例えば、国内総生産(GDP)の大きな要素となっている「消費」、「設備投資」に関連する経済指標も注目されています。

消費関係では、「消費者物価指数」「家計調査」「消費動向調査」などが代表的なものです。

また設備投資については、「機械受注」「日銀短観」などが、主なものとなっています。

いくつかの指標は、このシリーズの別の機会にまた触れさせていただきます。

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