【 2009年 第 9 回 】大変! 仕事中に交通事故! 社会保険
菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒プロフィール
業務中の事故
Aさんは大変気の毒なことになりました。
Aさんの場合は、業務中の事故なので、健康保険は使用できません。健康保険は業務外のケガや病気の場合と定められています。
Aさん(営業担当の一般従業員)は寄り道などもなく、通常の運転で、いつもどおりの仕事をしていました。業務中の災害となりますので、労災保険の対象です。
ただし、問題となるのは、加害者がいること。「第三者行為による災害」といって、この場合は、通常は加害者からの損害賠償が優先されることになります。
損害賠償保険と労災保険の両方からは給付を受けられない
今回は相手方の不注意による事故でした。相手方は、自賠責保険はもちろんのことですが、任意自動車保険に加入していたので、損害賠償保険からAさんは補償を受けることになりました。
場合によっては労災保険から先に給付を受けることもできますが、どちらにしても、損害賠償保険と労災保険、それぞれから二重に給付を受けることはできません。
幸いにもAさんは4ヵ月ほどの休業でまた、職場復帰できることになりました。治療費やその間会社を休んだ休業補償については損害賠償保険から給付を受けました。
労災保険の休業特別支給金
しかし、もうひとつ、Aさんには申請できる給付金があります。労災保険の休業特別支給金です。労災保険の休業補償給付は6割ですが、2割は休業特別支給金として上乗せされます。特別支給金とは社会復帰事業として行われているものです。
この特別支給金は損害賠償金とは調整されることなく受け取れる給付金です。
平均賃金の2割ですが、4ヵ月の休業期間について受け取ることができるので、何かとお金が必要だったAさんはちょっとたすかった気分です。
仕事中の交通事故などあってほしくないことですが、このような制度があることは、意外にわからず、手続きしないままになっていることも多いかもしれません。
手続きについての問い合わせ先は、労働基準監督署です。
「そういえば…」と思い当たる人は請求の時効は2年ですので、早めの問い合わせが必要です。
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