これからの外国為替相場【2009年 第 5 回】

【 2009年 第 5 回 】これからの外国為替相場 資産運用

有田 宏(アリタ ヒロシ)⇒プロフィール

 

主要通貨指数と各国の政策金利の推移

 

 

 

 

 

 

 

前回に引き続き外国為替です。上のグラフは主要通貨(日本円、ユーロ、イギリスポンド)の2008年4月1日を1とした対アメリカドルの指数。
グラフを見ても明らかなとおり、昨年(2008年)9月のリーマン・ブラザースの破綻以来、対ドルでは円は上昇、ユーロ、ポンドは大きく下落したのが見て取れると。変化率を上位から並べると日本円、アメリカドル、ユーロ、イギリスポンドの順になる。

次に下のグラフは各国の政策金利の推移。

 

 

 

 

 


2008年4月1日と2009年4月10日の政策金利を比較したのが次の表。

 

 

2008年4月1日現在での政策金利の高い順はイギリス、ユーロ圏、アメリカ、日本となる。はからずも各通貨の下落率と一致した結果となる。金利平価説(2008年3回目本稿参照)の「金利の高い通貨ほど下落の可能性が高い」という結論と一致した結果となった。尤も実際の為替変動率は金利平価説から導き出された変動をはるかに上回るものとなった。

次に注意していただきたいのが上の二つのグラフの比較。リーマン・ショックの後、各国中央銀行は断続的に政策金利の引き下げを実施したが、為替相場の変動は政策金利の引き下げを契機として動いたわけではない。為替相場は政策金利の引き下げに先行して動いている傾向が読み取れる。

市場では、近い将来の政策金利の引き下げを織り込んで、先んじて大きな相場変動が起き、なおかつ高金利通貨ほど引き下げ幅がより大きくなる可能性が、大きな下落率になってしまったということも考えられる。

日本の経済成長率が高くなれば円高?とも言い切れない

今後の為替の動きを考えるうえで重要なのは各国の経済成長率、物価上昇率、金利などの他に、将来に対し大きな影を投げかけているのが財政赤字。特に為替の場合難しいのが、例えば日本の経済成長率が高くなれば円高か?ということも言い切れないところである。経済成長に伴い輸入が大きく増えたり、物価が上昇することになれば円安方向に動くこともある。

仮に経済成長がそのまま為替相場の上昇に反映するにしても、為替特有の特徴として、そのような一国の経済変動が他国に対してどうなのか、他国と比較した相対的な変動が為替相場に反映される。一国の経済が成長しても他国の成長率がより高ければ、成長率の観点からは為替下落の要因となる。

さらに、今予想されている成長率は今の為替相場に既に反映されているということも言える。問題は将来の実際の成長率が予想されている成長率より上になりそうか、それとも下になりそうか、そのような期待が為替の変動を左右することになる。

日本経済にとり重大な少子高齢化の問題、少子高齢化自体は周知の事実なので今の為替相場に既に反映されているのではないか。問題は少子高齢化が市場の予想より早まるか、遅くなるか、ではないだろうか。

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