自営業は不利、は本当か?【2011年 第6回】

【2011年 第6回】 自営業は不利、は本当か? ~住宅ローン~

奥田 智典(オクダ トモノリ) ⇒プロフィール

住宅ローン借入において、半ば都市伝説のようにいわれるこの話。真偽のほどは如何なものか。実際に住宅ローン審査実務を経験している筆者が、銀行の考え方も踏まえて話をしていきます。

 

 

 

こんにちは。梅雨も半ばとなりました。今年は震災がきっかけとなり日本中で節電に向けた取り組みがなされています。これから暑さが増していきますが、一丸となって、取り組んでまいりましょう。私も、スーパークールビズを実践しています。
さて、今回は住宅購入時によく耳にする、『自営業は不利』というお話について。半ば都市伝説のようによく聞く話なのですが、単なる噂か、それとも…。おそらく銀行窓口で聞くと、そんなことないですよという答えが返ってくると思います。が、実態はほぼその通りです。

□定例安定収入の考え方

実は銀行は住宅ローンの審査をするうえで、「定例(継続)して安定した収入があること」を重要視します。金額は少なくとも、安定した収入があることを大切にするのです。年俸1億円のプロ野球選手でも、住宅ローン審査は通りにいのが実態です。

そして銀行では、どんなに安定した稼ぎのある自営業者でも収入が不安定であるという前提で審査をします。年収の捉え方もサラリーマンよりも厳しい基準となります。具体的にはサラリーマン(給与収入のみ)の場合、年収は総支給額(額面)の数字をそのまま採用します。しかし自営業者の場合は課税所得の金額で判断します。同じ年収500万円でも、サラリーマンと自営業ではローン審査に採用される金額が異なるのです。

特に、青色申告している自営業者の場合、青色申告特別控除も差し引かれてしまいますので、課税所得はその分少なくなります。会計的にはより望ましい形にしているにも関わらず、住宅ローン審査には不利になるなんて…なんだか腑に落ちませんね。

この「年収」の捉え方と、「定例安定収入」の考え方が、自営業者は住宅ローン審査に不利であるという話の根底にあるのです。

□自営業者は、業績の説明も求められる?

サラリーマンの場合、年収は直近の年収を重要視しますが、自営業者の場合は少なくとも過去2年、場合によっては3年の推移を注視されます。たとえ直近の年度の収入が上がっていたとしても、今後もその収入が安定していることを説明できなければ、審査通過が厳しくなります。

私も過去に、住宅ローン審査において数ページにわたる補足説明資料を作成し、保証会社とかけあい、審査をとおした経験があります。そのときは取引先の明細や、今後の業績が安定的に推移する理由など、事細かに説明しました。

もちろんすべての自営業者が厳しいわけではありません。自己資金の多少や世帯収入(奥様の収入合算含む)等で判断は異なります。また、メインバンクと親密なら、全面的に支援してくれる例もあります。銀行取引があるのなら、まずはその取引銀行に伺いをたててみるのも一つでしょう。

□住宅ローンを利用したい自営業者がやるべきこと

ここまでの話で、自営業者はサラリーマンに比べて条件が厳しいのはおわかりいただけたと思います。では、そんな中でいかに確実に住宅ローン審査をクリアするか。そのためにやるべき準備を以下、列記します。

①     本業をがんばる(売上を安定させる)
アタリマエの話ですが、売上を安定させないと、今後も安定して推移しますとは言えません。少なくとも直近2年の実績づくりは必要です。

②     課税所得を200万円以上にする
多くの銀行が、取扱条件として年収200万円以上としています。どんなに売上が大きくても、課税所得が200万円以下になると厳しくなります。

③     本業の借入を、出来るだけ少なくする
多くの銀行では、商売にかかわる借入も、返済負担を見るさいに参考にします。借り入れは少ないにこしたことはありません。カードローンなど論外ですよ。

このほかにも諸々あるのですが、少なくともこの3点は意識してほしいところです。住宅購入を検討されている自営業の方は、審査を意識した仕事と会計を心がけましょう。

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