消費税増税から家計を守ろう!FP的生活防衛のススメ【yahoo!コラム転載 2010年 9月掲載】

 

執筆者名:樗木 裕伸

 

FP的な生活防衛術

 

先の7月に行われた参議院選挙では消費税の増税がにわかに話題となりました。消費税の増税は、家計を直撃しますから有権者の関心がとても高くなりますよね。

今回は、消費税増税は見送られることになりましたが、日本の財政状態を見ると早晩なんらかの増税は避けられそうにありません。消費税増税に備えてできることはどんなことがあるでしょう。節約をして支出を減らせるなら話は簡単ですが、単純な節約では、生活から彩がなくなりますよね。

そこで、FP的発想で、生活防衛を考えてみたいと思います。

でもまず、そもそも消費税はどのような仕組みになっているのか確認から始めてみましょう。

消費税の仕組みはどうなってるの?

 

「おにぎりの国」を使って説明してみましょう。下図を見てください。

 

 

  • まず、農家が米をつくります。とれたお米を「200円」で農協に販売します。代金200円を受け取ると同時に農家は農協から「10円」の消費税を受け取ります。便宜的に農家は米の栽培に材料を仕入れなかったと考えると支払った消費税は「0円」です。したがって農家は消費税を「10円」(=10円-0円)納税します。

 

  • 次に、農協は、農家から仕入れたお米を米屋に「300円」で販売します。代金300円を受け取ると同時に農協は米屋から「15円」の消費税を受け取ります。農協は、米屋から受け取った消費税15円から農家に払った消費税10円を差し引いた「5円」(=15円-10円)を消費税として納税します。

 

  • 同様に、米屋は、農協から仕入れたお米をおにぎり屋に「500円」で販売します。代金500円を受け取ると同時に米屋はおにぎり屋から「25円」の消費税を受け取ります。米屋は、おにぎり屋から受け取った消費税25円から農協に払った消費税15円を差し引いた「10円」(=25円-15円)を消費税として納税します。

 

  • 最後に、おにぎり屋は、握ったおにぎりを消費者に「1,000円」で販売します。代金1,000円を受け取ると同時におにぎり屋は消費者から消費税「50円」を受け取ります。おにぎり屋は、消費者から受け取った消費税50円から米屋に払った消費税25円を差し引いた「25円」(=50円-25円)を消費税として納税します

 

①~④をまとめると、流通段階の業者全体で消費税50円を納付しますが、この50円は、消費者が負担した50円だということがわかります。

消費税は、その名の通り、モノやサービスを消費する人が負担する税金なのです。

 

FP的生活防衛策って?

 

消費税の仕組みがわかったところで、どのように対策をとりましょう。一番簡単な対策は、モノを買わないことですが、無駄が使いをなくすといっても限りがありますよね。

そこでオススメしたい考え方が「手作り」です。ちょっと固い言葉でいうと「完成品」ではなく、流通段階の「半製品」や「原材料」を購入して手作りするということです。

「おにぎりの国」で言うと、農家になることは無理でも、おにぎり屋の代わりに自分でおにぎりを作ってみよう!ということです。

その効果は、

  • おにぎり購入代金1,000円-米購入代金500円=500円・・・節約効果
  • おにぎり分消費税50円-米分消費税25円=25円・・・節税効果

となります。節約効果と節税効果で525円の支出削減ができます。

 

消費税が5%から10%に税率がアップするとその効果は550円となります。

 

多くの商品や製品は、消費者に届けられるまでの流通過程で値段が上がってしまいます。それにつれて消費税も増えます。ですから、ひと手間かけて流通過程を省くことができれば、効果大というわけです。

 

でも実際は、購入するすべての商品や製品を手作りというのは現実的ではないですよね。そこで手作りにかける手間を生きがいや趣味と感じることができるものからはじめてみてはいかがでしょう。

 

趣味や生きがいとなる取組ってどんなもの?

 

趣味や生きがいとして上手に節約につなげていらっしゃる取組をいくつかご紹介します。

 

まずは、食費から。

  • パン・・・パンの手作りは結構大変ですが、ホームベーカリーを使えば大いに手間が省けます。最近はお手ごろな値段で販売されています。食パン1斤400円とすると、作った場合は100円程度でできますので、1回あたり300円節約できる計算です。ホームベーカリーは15,000円ぐらいで買えますから、50回でもとが取れる計算になります。経済的なこともさることながら、出来立てが食べられる、無添加で安全などのメリットが魅力と感じる方も多いのでは。また小麦粉ではなく米粉から作る米粉パンも作れるものも出るようです。小麦粉はそのほとんどを輸入に頼っていますから、将来の世界的食料不足を考えると自給率の高い米を原料としたパンが作れるのはパン好きには助かりますよね。

 

  • 手打ちうどん・・・材料は小麦粉と塩です。生麺100g当り30円程度で出来ます。スーパーなどで1パック(200g)100円程度で売っていますので、3~4割程度の節約です。手打ちうどんは市販のうどんよりおいしく、もちろん無添加ですから安全です。個人的な意見ですが、趣味としても結構楽しめます。

 

次は、旅費・交通費・レジャー費

  • 自転車・・・通勤に使っている人も多いですよね。また週末に遠くまでサイクリングされている方も結構見かけます。経済的効果もさることながら健康づくりの効果も大きいですよね。

 

  • キャンプ・・・自然に囲まれてゆったりとした気分を味わえ、しかもコストが安いというのがキャンプの魅力ですね。本格的なキャンプはちょっと大変で無理という人も車で行けるオートキャンプ場であれば、荷物の持ち運びもなく、面倒は少ないです。衛生面がちょっと、と言う人も多いですが、最近炊事場やトイレもこぎれいなキャンプ場が多く、温泉を併設していたり、近くのホテルや旅館などと入浴の提携している場合も多く、快適に過ごせるところが増えています。関東では、オートキャンプ場1泊5,000円程度が多く、もろもろの費用をいれても1家族10,000円~20,000円程度で楽しめるのはありがたいですよね。

 

  • キャンピングカー・・・最近よく売れているそうです。キャンプ場の所在地に限らずいろんなところを楽しみたいという方には、いいですよね。中古車なら200万円以下でも販売されています。維持費はかかりますが、交通費と宿泊費が節約できるキャンピングカーはまとまった期間旅行に行かれる方には、とても魅力ですよね。

 

その他まだまだいろいろあると思います。

ねらい目はひと手間かけることで大きく効果が上がるものです。ただ、節約率が小さくても利用回数が多ければ、大きな効果が期待できます。

節約、節約というと生活が味気なくなるものですが、趣味や生きがいをひとつ増やすと考えて、ご自身の生活を見直してみてはいかがでしょう。

 

 

 

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