妻と遺族年金【2011年 第11回】

【2011年 第11回】 妻と遺族年金 ~社会保険(労働保険)~

菅野 美和子(スガノ ミワコ) ⇒プロフィール

突然夫が亡くなったら…人はいつどこで、どんな運命がやってくるか、わからないもの。
家族が元気に暮らせるのが一番ですが、働きざかりの夫が死亡したときのことを考えて、リスク対策をしておきましょう。
困ったときに、もっと困ったことにならないための対策です。

 

 

 

妻と幼い子を残し夫が先立つケース

夫が死亡し、妻と幼い子どもが残されたというケースで考えてみましょう。子どもが成人するまでの生活費や教育費をしっかり用意しておきたいケースです。

公的年金からの遺族給付は2階建てになっていて、国民年金からは遺族基礎年金、厚生年年金からは遺族厚生年金が支給されます。
遺族基礎年金は子どものいる妻と子どもが対象となります。妻であっても、子ども(18歳の年度末など一定の子)がいないともらえません。
また、遺族基礎年金は子どもが18歳の誕生日をむかえた年度末までとなりますので、大学へ進学し一番お金がかかるというときに、支給されなくなります。

なお、年金の支給は、保険料をきちんと納付していることが前提です。
未納期間のある人はもらえない場合もありますので、ご注意ください。

サラリーマンの場合

まず、サラリーマンの夫が死亡したら…

遺族基礎年金と遺族厚生年金がもらえます。
遺族基礎年金は子どもがひとりで約100万円。子どもの人数によって決まります。
その上乗せとして遺族厚生年金。厚生年金加入期間や給料・ボーナス等によって金額は決定され、ますが、厚生年金加入期間が短い人は、厚生年金に25年加入していたものとして計算されます。

支給される年金額は人それぞれ。それでも、子ども1人の場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金をあわせて、150万円もあればよい方でしょう。180万円(月に15万円)になるのは、かなりきびしいことです。
確かに遺族年金はまさかのときの生活保障となりますが、それだけでは不足すると考えたほうがよさそうです。

自営業の場合

では、自営業の夫が死亡したら…

妻と幼い子どもというケースでは、受け取れるのは遺族基礎年金のみです。
サラリーマンの夫が退職し、自営業をはじめた後に死亡したら、基本的には遺族基礎年金だけ。
これまでの厚生年金加入期間と国民年金加入期間を合わせて25年以上あれば、厚生年金加入期間に応じた遺族厚生年金が上乗せされます。

若い夫が脱サラ後に亡くなったら、公的遺族給付としては遺族基礎年金だけとなり、これまで加入した厚生年金からはまったく受け取れません。
もちろん、いろいろなケースがあり、病気で退職したあとに死亡したとか、障害厚生年金をもらっている人が死亡したとか、退職後に死亡しても、遺族厚生年金を受け取れることもありますので、具体的には個々のケースで確認する必要があります。

また、厚生年金加入中の死亡であっても、過去の未納がわざわいして、何ももらえないということもあります。
保険料を納付する、納付できないときは免除の手続きをするということが、まさかのときへの備えの基本となりますが、それにしても、公的年金だけでは、きびしい生活が予想されます。
妻も働くことで生活費はカバーできるかと思いますが、様々な事情で思うように働けないとなれば、なおさら、死亡保障も必要です。

公的年金は、なければ困る。しかし、あっても、まだ困る。
それが今の年金の現状でしょう。公的年金があれば安心となるのは、いつのことか。

我が家の場合はどうなるか、まさかのときのライフプランを検討してみることをおすすめします。

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