年上妻は不利? 同じ妻でも加算なし【2014年 第7回】

2014年 第7回 年上妻は不利? 同じ妻でも加算なし 年金ミステリー

菅野 美和子(スガノ ミワコ)プロフィール

 

知人や同僚の間で、お互いの年金額の比較をすることはありませんか。似たような条件なのに、年金額が大きく違うこともあります。「どうして?」と理解に苦しみます。日本の公的年金制度は個人単位ですが、実は夫婦をベースに作られた制度です。そのために年金額に差が生じることもあるのです。

 

AさんとBさん

AさんとBさんは会社の同僚です。同期で入社し、60歳以降も働き続けて、まもなく65歳になります。

ふたりは65歳で退職しますが、その後の年金生活について、お互いに話をすることがありました。すると、どうもわからないことが出てきました。ふたりの年金額に大きな差があるのです。

AさんにもBさんにも妻がいます。Aさんの妻はパートで働いています。夫の扶養の範囲内で働いていて、年収は約100万円。Bさんの妻は専業主婦で、収入はありません。

ふたりは、大学卒業後に入社しているので、厚生年金加入期間は同じ、給料もそれほど違いはありません。ただし、Aさんには単身赴任をした期間が数年あり、その期間は単身赴任手当のためBさんよりも多い給料でした。給料の差が年金額の差となるのであれば、Aさんの年金額が多いはずです。

老齢厚生年金は、加入期間の長さと、給料やボーナスの大きさによって決まる年金です。

年金事務所で65歳からの年金額を調べてみたところ、AさんよりもBさんの年金額が多かったのです。

内訳をみると、Bさんの年金には、配偶者加給年金額が加算されていましたが、Aさんには加算されていません。配偶者加給年金額がふたりの年金差となっていました。

加給年金額とは、年金の家族手当のようなものです。対象となる配偶者や子どもがいれば加算があります。配偶者がいる場合は、特別加算のついた配偶者加給年金額が上乗せされます。

AさんにもBさにも妻がいるのに、なぜ、加算されたり、加算されなかったりするのでしょうか。

Aさんの妻には収入があるからでしょうか。

配偶者加給年金額には収入が関係しますが、その条件とは収入850万円未満であることです。パートで働いている程度であればまったく問題ありません。

配偶者加給年金額は、実は配偶者(このケースでは妻)の年齢が決め手です。

夫が65歳になったときに配偶者加給年金額が加算されますが、加算対象になる妻は65歳未満であることが条件です。

Aさんの妻は1歳年上です。Bさんの妻は5歳年下です。

Aさんが65歳になったとき、すでに妻は65歳以上ですので、Aさんに配偶者加給年金額は加算されません。

Bさんが65歳になったときに、妻はまだ60歳ですので、妻が65歳になるまでの5年間、加算があります。

1年分の加算額は約38万円ですので、Bさんには5年間で約190万円の配偶者加給年金額が支給されることになります。

これまで同じように厚生年金に加入してきたふたりですが、妻の年齢により受取額にこのような差が出るのです。配偶者加給年金額は、妻が65歳になるまでの「配偶者手当」です。65歳になれば自分の老齢基礎年金を受け取れるので、加算は必要ないということですね。

「年下の妻がお得? これでは不公平」という声も聞こえてきますが、年齢によって基準を決めているので、ミステリアスなことが起こるのですね

 

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