給与明細の読み方【2011年 第5回】

【2011年 第5回】 給与明細の読み方 ~社会保険(労働保険)~

菅野 美和子(スガノ ミワコ) ⇒プロフィール

今さらきけない給与明細書のあれこれ 4月から社会人としてスタートを切った人ははじめての給与を手にしましたね。
給与明細書に何が書いてあるのかわかりますか。
ベテラン社員の人も、見るのは実際の支給額だけで、実はよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

今さら聞けない給与明細の読み方をお話しします。

 

給与明細の項目

給与明細には「支給項目」と「控除項目」があります。
「支給項目」とは、給与の内訳ですね。基本給、役職手当、住宅手当、通勤手当など毎月定額のものや、時間外手当など、毎月変動するものがあります。
「控除項目」は給与から引かれるものの内訳です。

欠勤や遅刻早退がない場合は、「欠勤控除」などはありませんが、欠勤や遅刻早退などがあれば、マイナスされることが一般的です。これは就業規則で、欠勤をした場合には欠勤分控除するなどの決まりがあり、その決まりによって控除額が計算されています。
「ノーワーク・ノーペイ」の原則から言えば、欠勤した日について、欠勤控除として引いて問題はありません。

社会保険料

勤怠によるもの以外の控除項目としては、まず、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)と雇用保険料があります。
社会保険料は、保険料の基準となる標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。実際に支払われた支給総額に保険料率を掛けるのではありません。
毎年の標準報酬月額の見直しは、9月です。9月分の保険料は10月に支給される給与から引かれますので、10月に支給される給与から、社会保険料は変更になります。

その他、基本給や手当が大きく変更になった(標準報酬月額が2等級以上変動する)といった場合には、変動があった月から4ヵ月目に保険料も変更されます。
基本的には9月分(10月支給分)から翌年8月までは同じ等級による保険料です。
もちろん、保険料率の改定があれば、保険料は変更になります。

協会けんぽに加入している人の健康保険料率は都道府県別です。これは自分が住んでいる都道府県ではなく、会社が健康保険に加入している都道府県です。
長野県は保険料率が一番低いのですが、長野に住んでいる人でも、本社が東京で、東京で健康保険に加入しているのであれば、東京の保険料率です。

厚生年金基金に加入している場合は、「厚生年金基金保険料」などの名称で、厚生年金と厚生年金基金へ保険料を支払っています。
しかし、合計すると、基金のない会社で厚生年金に加入している人と同率の保険料です。基金に加入していることで、負担が大きくなっているわけではありません。
社会保険料は会社も半分負担していますので、働く人にとっては有利な制度です。

雇用保険料

次に雇用保険料。毎月の総支給額に保険料率を掛けて計算します。残業などで給与に変動がある場合、保険料額は、毎月異なります。通勤手当も含め、給与として支給されたものは保険料対象となります。
ただし、社会保険料のように折半ではなく、会社の負担割合の方が大きくなっています。

64歳以上の人の雇用保険料は免除となります。4月1現在で64歳以上の人は4月以降の雇用保険は必要ありません。免除対象となるので、雇用保険の加入は 継続しているが、保険料の負担はないということになります。間違って引かれている人はありませんか? あるいは引かれていないので、雇用保険に加入してい ないと思っている人もありませんか。

所得税

そして、所得税。所得税を計算するとき、扶養控除申告書を会社へ提出していると、「甲欄」といって税率の軽い方で計算されます。提出しない場合は、「乙欄」といって税率の高い方で計算されます。
扶養家族のあるなしで源泉所得税も異なりますので、人と比べるのはやめておきましょう。
甲欄なのに乙欄で引かれたなどということがあっても、年末調整があるので、損はしません。

住民税

もう一つの税金である、住民税。6月から5月というサイクルで住民税が決定され、控除されます。
会社は市区町村から通知があった金額を引いているので、確定申告が遅れたり、修正申告したという場合は、あとで市区町村から会社へ住民税額の変更通知があります。住民税が高い、おかしいなどの苦情は、会社へ言ってもはじまりません。
このように社会保険料や所得税、住民税は給与から天引きしても問題ありません。しかし、それ以外のものを給与から天引きすることは、勝手にはできないことになっています。


給与明細をみると、社会保険料や税金以外にも、控除されているものがありますね。団体で加入している生命保険料、給食代、書籍の購入費用、旅行積立など、さまざまです。
社会保険料や税金以外のものを給料から天引きする場合は、「労使協定」が必要です。
会社と従業員が協定を結んで、「これは給与から天引きしていいよ」と約束できたものだけを引くことができます。

そのような約束事がないのに、給料から天引きするのは労働基準法違反となります。たとえば、従業員が会社に損害を与えたからといって、協定もなく、従業員の同意もなく、一定の損害額を給与から差し引くというようなことは、労働基準法違反です。

一度、じっくり給与明細を見ませんか。支給総額だけではなく、控除額を見ることによって、社会保険や税金のしくみなど、いろいろなものが見えてくることと思います。

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