【金銭教育その5】金融機関とのつきあいではじまる子どもへの金融教育【2008年 第11回】

【2008年 第11回 【金銭教育その5】金融機関とのつきあいではじまる子どもへの金融教育】地域コラム 近畿

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒ プロフィール

 

 

 

 

 

 

前回の「子どもへの金融教育」を受けて…。
金融機関に子どもの口座を開設してつながりを持つということも、金銭教育のひとつかもしれません。

みなさんは、ご自身を振り返ってみて、金融機関とのつきあいはいつ頃、何がきっかけだったか覚えておられるでしょうか?

私の場合は、母方の母つまり私の祖母でした。
私の生後まもなく難病で闘うこととなった祖母は、成長してから私にこづかいを渡すことができないからその代わりに…と、銀行に私の口座を開いて積立を始めてくれたことでした。
その後、お年玉などのまとまったお金は、母といっしょにこの銀行へ入金しに行きました。
90年代に破綻してしまったアノ銀行…行くたびに、トレードマークのキューピーさんを行員さんがくれました。
洋服の違うキューピー人形が、いつの間にか箱一杯にもなっていたことが記憶に残っています。
(…今思えば、そういうことが経営破綻を招くことになったんじゃないの~という気もしますが、昭和40年代はのどかな時代だったのですねぇ。)
私の成長にともなって、母は銀行の利息がつくしくみを説明してくれたり、半年に一度送られてくる明細書を見せてくれたりしてくれました。
当時(昭和40年代~50年代)の公定歩合の推移を見てみると、今では想像できない水準です。
ザッと平均しても5パーセント程度といったところですから、半年複利で利息がおもしろいように殖えていくようすを見るのは、子どもなりに楽しみのひとつでした。

私の例を挙げてみましたが、このように「親や祖父母にしてもらった思い出」がないという方であっても、自分が子ども達に「してあげる」ことはできるはず。
私は、自分の子どもが生まれたとき、親戚や友達から頂いたお祝い金を、2人それぞれの子ども達の名義で銀行を口座開設して預金しました。
その後も、まだ物心つくまでに頂いたお年玉などは、その口座に入金をしていきました。
子ども達の成長に合わせて、銀行に連れていき、窓口であるいはATMで入金の体験をさせたり、しくみを教えたりするように心がけてきました。

ただ、今の時代は、本当に利息がわずかなので、子ども達には「貯めると殖える」という魅力を体験することはできないのが残念です。
息子が小学校の高学年、娘が小学校の低学年だったときに、「パパ銀行のマネー哲学」(デーヴィッド・オーウェン著)という本をマネして“おかあさん銀行”を作って、こづかいを入金した場合は、預金に対して利息を上乗せするというしくみを、家庭内で一時期取り入れてみたこともあります。

今までなかなか機会がなかったというお父さん、お母さん。チャンスはいつでも作れます。
もうしばらくすると、お正月。「お年玉」のように、子どもが日頃扱う金額以上のまとまった現金を手にする機会が多くなります。
こういう時をぜひ「金融教育」のチャンスととらえて下さい。
ふだん、学校へ通っている時には、窓口が営業している時間帯に子どもと行くことはなかなかできないでしょう。子どもたちの冬休みの終わり頃の平日を利用して、お母さんといっしょに金融機関を訪れてみるのはいかがでしょうか。

子どもの年齢によっては、子ども自身の口座を開設する場合にはまだ早いと考えることもあるでしょう。
そんな場合でも、親の用事で金融機関を訪れる際に、子どもを連れて行くだけでも充分にできることもあります。
例えば、銀行に連れて行って、窓口での大人のやりとりを子どもに見せる。
待っている間に子どもと話す。その中で、銀行はどういうことをする場所なのか、銀行員はどういう仕事をしているのか…正確に話そうと思わなくても、自分がわかる範囲で話すだけでも、子ども達は充分に何かを感じとってくれるでしょう。
子どもの方から、意外な発想で質問も出てくるかもしれません。

便利な時代になって、親の私たちも、窓口でのやりとりをする機会も減ってきました。
それなら、ATMを利用する際に、子どもを連れて行ってできることもあります。
ATMを利用するとき、私が子どもに話すのは「後ろを振り返る余裕を持つこと」。
1つめは、「自分を守るため」。怪しい人が後ろにいないかどうか確かめてほしい。
もう1つは、「後ろの人を気遣うため」。たくさん用事を済ませたくても、後ろに並んで待っている人がいないかどうか思いやりを持ってほしい。

高齢者を狙う「振り込め詐欺」の被害額も増える一方だという、こんな時代。
私の子ども時代のように、銀行はのどかなやりとりをする場所ではなくなってしまっています。
それでも、子ども達は金融機関とのおつきあいを避けて通ることはできないのですから、親子のコミュニケーションの中でできることをやっていくことが大切ではないかと思います。

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