投資信託の基礎7 ~目論見書(もくろみしょ)について~ 【2015年 第9回】

【2015年 第9回 投資信託の基礎7 ~目論見書(もくろみしょ)について~】インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託

恩田 雅之(オンダ マサユキ)

前回までの8回は、投資信託の仕組みやリスク等についてみてきました。
9回目以降は、投資信託の選び方やNISAでの投資信託の活用法についてみていきます。
今回は、「交付目論見書(以下:目論見書)の見方について」になります。

 

 

はじめに

目論見書は、投資信託(以下:ファンド)の内容を説明した冊子です。

記載されている主な内容は「ファンドの基本的な性格」「ファンドの目的・特色」「リスク」「運用実績」「手続き・手数料等」です。

但し、新しく設定されるファンドについては「運用実績」について記載はありません。

また、ファンドの購入にあたっては、事前に販売員(証券外務員)が目論見書の内容を説明する義務がコンプライアンスとして定められています。

以下、それぞれの内容についてみてきます。

ファンドの基本的な性格

目論見書の表紙か次ページ目に以下のような表の形式で基本的な性格の記載がされています。

 

(基本的な性格の記載例)

 

 

 

 

 

 

ファンドによっては、項目数が上記の表より多いものもあります。表の一番下の段の太字がその「ファンドの基本的な性格」を表しています。商品分類と属性区分で同じ名称の項目があり、属性区分の方がより詳しい内容です。

以下、商品分類の箇所から順にみていきます。

「単位型・追加型」では、

ファンドの募集期間や運用期間の確認ができます。

単位型は、募集期間や運用期間を予め決めて設定されるファンドです。

追加型は、いつでも時価で売買できるファンドです。また、追加型ファンドの多くは、運用期間(信託期間)無期限の設定がされています。

 

「投資対象地域」では、

どこの地域に投資するのかの確認ができます。

上記の商品分類では、「海外」に投資することが分かり、属性区分でより詳しく「日本以外にグローバル」に投資することが分かります。

 

「投資対象資産」では、

債券や株式、リート等のどの資産に投資をしているかの確認ができます。

商品分類の項目を見ますと投資対象は「株式」ということが分かります。

また、その投資の方法については、区分属性の「投資対象資産」と「投資形態」の記載されている内容(「その他資産(投資信託証券(株式))」「ファミリーファンド」)から、株式に直接投資するタイプではなく、マザーファンドに投資するタイプであることも分かります。

 

区分属性の「決算頻度」では、

年間の決算回数と分配金の支払回数が分かります。上記のファンドの決算回数は、年1回です。

但し運用状況によって分配金額の上下する場合や分配金が支払われない場合もあります。

 

区分属性の「為替ヘッジ」では、

運用時に為替ヘッジの「あり・なし」が確認でます。

 

以上、上記の2つの表より「ファンドの基本的な性格」を確認することができます。

ファンドの目的・特色

この部分では、より詳しくファンドの運用スタイル等について確認することができます。

特色の部分では、個別の投資対象(株や債券等)をどのように選択しているか等についての説明があります。

投資リスク

ここでは、基準価額の主な変動要因について記載されています。

海外株式に投資するファンドでは「株価変動リスク」「為替変動リスク」「信用リスク」「カントリーリスク」等についての記載があります。

個々のリスク内容については「第6回 投資信託の基礎4」で取り上げていますので、今回は割愛させていただきます。

運用実績

運用を開始しているファンドでは、目論見書に運用実績が記載されています。

記載内容は、基準価額・純資産の推移や分配金の実績、資産の状況等です。

但し、目論見書の場合6か月単位で更新になります。時期によってはデータが古くなっている場合もありますので、最新の運用実績について確認したい場合は、次回取り上げる「月次レポート」を読む必要があります。

手続・手数料等

この部分では、購入時や換金時の手続きや各手数料(購入時手数料・信託報酬・その他費用・手数料)の料率等や分配時・換金(解約)時の税金について記載されています。

まとめ

どのファンドの目論見書(交付目論見書)も「ファンドの性格」「ファンドの目的・特色」「リスクについて」「運用実績」「手続き・手数料」の流れで構成されています。

「はじめに」でも触れましたように、ファンドの購入にあたっては、事前に販売員(証券外務員)が目論見書の内容を説明する義務があります。記載内容がよく分からない場合には、都度確認するようにしましょう。

また、ファンドについてより詳しく確認したい場合には「請求目論見書」という目論見書があります。名前の通り投資家が販売会社等に請求して入手する目論見書です。

以上、目論見書の記載内容についてみてきました。

次回は「運用報告書」と「月次レポート」についてみていきます。

  • コメント: 0

関連記事

  1. 福島復興のシンボルに・・・常磐興産株式会社【2014年 第10回】

  2. 遺言書が二つ出てきた!どうする?どうなる?【2014年 第1回】

  3. 万一に備えて知っておきたい 障害年金 【2016年 第4回】

  4. 感想 問題10 さまざまな金融商品の性質、問題11 積立で利用できる金融商品の特徴【2018年 問題10、問題11】

  5. 初めての確定申告!転勤族妻の知っ得節税術【2015年 第4回】

  6. 財政政策で景気は良くなるのか?【2013年 第11回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。