地方における教育費【2011年 第2回】

【2011年 第2回】 地方における教育費 ~家計コラム 教育費(地方)~

キムラ ミキ  ⇒ プロフィール

幼稚園から高校までにかかる教育費について、一般論と鳥取県におけるケースでは、倍以上の開きがありますが、鳥取県などの地方においては、「教育費は少なくて済む!?」ということなのでしょうか。
その前に、見ておきたいデータが2つほどあります。

 

 

 

一般的な教育費と鳥取県の比較

教育費をテーマに、前回は世間一般的にかかるといわれている教育費と鳥取県の場合を比較してみました。関東においては一般的な進学プランである、幼稚園から高校まで全て私立のコースで教育を受けた場合の学習費総額は約1,600万円。その一方、鳥取県において一般的な進学プランである、私立幼稚園等を卒園後、公立の小中学校を経て、公立または私立高校へ進学するケースにおいては、学習費総額は約650万円~790万円。
つまり、世間一般的にかかるといわれている教育費と鳥取県におけるケースでは、倍以上の開きがあることがわかります。

鳥取県の教育費は少ない?

じゃあ、鳥取県などの地方においては、「教育費は少なくて済む!?」ということなのでしょうか。その前に、見ておきたいデータが2つほどあります。

まず、一つ目のデータは進学率。文部科学省が「学校基本調査」の中で平成20年3月卒業者について調査した進学率について考えてみたいと思います。
中学校卒業後、高校等に進学した割合は、全国平均で97.8%にのぼります。この割合は、各都道府県においてもほぼ同じ。つまり高校等へは、ほとんどの中学生が進学しています。
一方、高校卒業後の進路として大学・短期大学等への進学を選択した者の割合は全国平均では52.8%。首都圏および京阪神では60%を前後の高校生が進学を選択していますが、地方では進学を選択する割合が全国平均を下回っているところが多いようです。ちなみに、鳥取県は43.6%、島根県は45.9%といずれも、全国平均を下回っています。

二つ目のデータは、学校数。平成20年現在、日本全国にある短期大学および大学の学校数は約1,200校で、そのうち、首都圏および京阪神にある学校数は約530校。当然、地方にも短期大学や大学はありますが、鳥取県を見ると短期大学を含めても県内には3校。つまり自宅から通える範囲で学校を選ぼうと思うと、勉強する方向性や内容は大きく絞られることになります。そもそも短期大学および大学等の名前がつけば、どこでも良いという人は稀であるわけで、学びたい内容によっては県外進学を余儀なくされるでしょう。県外進学となれば、生活費用等、学費以外にも大きく費用がかかることになります。

高校後の進学先で費用が大きいことも

確かに、高校までの教育費は都市部および一般論に比較すると低めであると考えることもできる地方における教育費。進学率を考慮すると、高校までの教育費の準備で十分であるケースも少なくないと考えられます。
しかし、一方、地方から高校卒業後に進学を考える場合には、都市部および一般論よりも費用が大きくかかることが想定されるわけです。

進学率がどうあれ、進学プランを高校までと設定するのか、もしくはそれ以上の進学をさせるか、はお子様の状況によって異なってきます。しかし、一般論よりも多額になることが想定される高校卒業以降の教育費を、進学決定後から一朝一夕に準備するということは容易ではありません。
少しでも高校卒業後に進学の可能性があるのであれば、当初から高校卒業後も進学するということを想定した上での資金計画を練っておかれた方が無難であるといえます。

それでは、地方から高校卒業後に進学を考える場合に、いったいどれくらいの費用がかかるのか?次回は、そのテーマについて考えていきたいと思います。

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