学資保険やこども保険をおすすめできな い3つの理由【2013年 第5回】

【2013年 第5回 学資保険やこども保険をおすすめできない3つの理由】
最新ニュース解説。FPとして言わせていただくと…

菱田 雅生 

先日、住友生命が2004年まで販売していたこども保険(商品名:ちびっこライ
フ)について、保険料の払込総額(元本)より受取額が少なくなったことで契
約者が差額分の返還を求める訴訟を起こし、大阪高裁で和解が成立していたと
いうニュースが流れました。どうやら保険会社側が元本割れ部分の返還に応じ
るようです。
これを受けて、今後、学資保険やこども保険に関する訴訟が増えるのかもしれ
ませんが、そもそも筆者は、十数年前から学資保険やこども保険はあまりおす
すめできない商品だと言い続けてきました。
今回は、あらためて学資保険やこども保険をおすすめできない理由をまとめた
いと思います。

 

理由1:利回りが低い

保障を買うためのものである保険商品に貯蓄性を求めること自体がナンセンスだと思いますが、学資保
険やこども保険の利用者(契約者)は、将来の教育資金準備のために加入している人が大半でしょう。
教育資金の貯蓄が第一目的であり、そのオプションとして契約者死亡時の保障などがついているような
商品性ですし、実際にそのような特徴を強調したセールストークが展開されているのが一般的です。
となると、他の金融商品も含めて利回りを比較したうえで、有利だと思われる商品を選択することが重
要になりますが、結論として、学資保険やこども保険の利回りは、相対的に低いと言わざるを得ませ
ん。近年は、保険の利回りともいえる予定利率が低下傾向にありましたので当然ではありますが、利回
りの高いものでも年利1%前後の複利運用に相当する程度です。
いまどき1%前後の利回りが得られるなら十分という意見もあるかもしれませんが、日本国内で最も安
全な商品と言ってもいい日本の国債の利回りが10年もので年0.6%程度、20年もので年1.5%程度です
(平成25年10月30日現在)。一民間保険会社が単独で保証している利回りが、18歳満期や22歳満期とい
う長い期間で、高いところでも年1%前後というのはとても低いといえるでしょう。
予定利率が低いから仕方がないのかというと、それも違います。1990年ごろのように予定利率が5.5~
6%程度の水準だった時代でも、当時は利率が最高で年7.9%の10年満期の国債が発行されていたわけで
すから、手取り利回りで比較してしまうと、圧倒的に国債のほうが利回りは高かったといえるのです。

理由2:信用リスクが高い

仮に、国債の利回りのほうが高いのは、信用リスク(デフォルトリスク)が高いからだと説明できるの
であればよいのですが、残念ながら一民間保険会社が破綻する可能性と日本の国が破綻する可能性を比
較してしまうと、信用リスクが高いのは圧倒的に民間保険会社のほうだとなってしまうでしょう。
それでも、生命保険会社が破綻した場合は、生命保険契約者保護機構によって責任準備金の90%が保護
される仕組みになっていますので、一般企業が発行している社債(その発行企業が破綻した場合には、
投資金額が戻ってきても1、2割程度だといわれます)に比べれば、多少なりとも安全性は高いといえま
すが、そのことだけで国債よりも信用リスクが低いとは言えないでしょう。
だとすると、信用リスクが高いうえに利回りが低いわけですから、貯蓄性のみに着目した場合、わざわ
ざ学資保険やこども保険を利用する理由が見当たらなくなります。やはり、学資保険やこども保険は、
保障がついていないとあまり魅力のない商品になってしまうと言えるわけです。

理由3:保障の必要性が低い

では、その魅力である保障内容はというと、契約者が死亡した場合に以後の保険料の支払いが免除され
るという保障を基本とし、特約を付加することで、子どもの入院給付金が出るものや、一定期間ごとに
お祝い金が出るもの、契約者死亡後に育英年金が出るものなどの保障がついてくるのが一般的です。当

然ながら、特約を付加するほど保険料が高くなりますので、利回りが低下するどころか、払込保険料の
総額(元本)が受取金額の総額を上回ってしまう可能性が高まります。
とはいえ、どうしても保障が必要なのであれば、割高な保険料でない限り、その負担は必要なものと考
えることができます。しかし、学資保険やこども保険についている保障は、本当に必要なのでしょう
か。
確かに、契約者が死亡した場合に保険料負担がなくなって満期学資金などをきちんと受け取ることがで
きるのは魅力的ですが、一般的な契約者である子どもの父親が亡くなった場合は、その他の死亡保障な
どで子どもの教育資金分の保障は確保できているケースが多いかと思われます。
仮に、学資保険やこども保険の保障が欠かせない人がいるとしたら、子どもが生まれるときに、将来の
教育資金分を除いた遺族の生活費を考慮した死亡保障に加入し、それと同時に、教育資金をきちんとカ
バーする学資保険やこども保険に加入したような人でしょう。はたして、そこまできちんとそれぞれの
必要保障額を計算して加入している人はいるのでしょうか。そう考えると、やはり学資保険やこども保
険の保障は、どうしても必要だと考えられる人は非常に少ないと思われます。
そもそも、学資保険やこども保険に加入する理由が、貯蓄性で
はなく保障にあるなら、一般の終身保険や定期保険などと同
様、元本を割り込むかどうか、利回りが高いか低いかなどは、
それほど大きな問題にはならないはずです。保障を買うコスト
として保険料を支払っている意識が高い人ほど、保険は元本割
れするのが当然と思っている人が多いと思われるからです。
したがって、「必要な保障を確保しながら若干の利回りも得ら
れる商品」が学資保険やこども保険だと考えることができれ
ば、それなりにいい商品であるといえます。第一目的を保障の
確保と考えるわけです。しかし、残念ながら、多くの利用者はそれを求めてはいません。
だからこそ、筆者はおすすめできないのです。

 

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