必要な生命保険について考えよう~夫が年下編~【2013年 第8回】

【2013年 第8回 必要な生命保険について考えよう~夫が年下編~】
歳の差カップルのライフプランニング

川崎 由華⇒プロフィール

生命保険の更新時期が来た時には、結婚をしていたり子どもが増えていたりと、保険に加入した時と自身の環境が変わっていることもあるでしょう。現状に合わせて、保険を見直すいいチャンスです。
歳の差カップルのライフプランニングコラムの第8回目は、夫が年下の歳の差夫婦の生命保険はどのように考えていけばいいのかを、事例を挙げてお伝えしたいと思います。

 

 

 

 

~事例~

 

倉田さん一家は、32歳の健太さんと40歳の舞子さん、2歳の愛ちゃんの3人家族。

健太さんは10年働いた会社を脱サラし、SEとして独立開業しています。舞子さんは愛ちゃんを実家に預けてパートとして働き、100万円弱の年収を得て、家計を助けています。

10年前に加入した健太さんの生命保険が更新時期を迎えました。これを機に、夫婦共に保険を見直したいと考えています。

生命保険ついての基本的な考え方は、前回の2013年第7回のコラム「必要な生命保険について考えよう ~夫が年上編~」でお伝えしたとおり、「死亡保障」「医療保障」「老後・貯蓄保障」の大きく3つに分け、どの保障についても公的制度の補填、貯金でまかなえない部分の補填が生命保険であると捉えましょう。

今の健太さんは、10年前に生命保険に加入した時と大きく環境が変わっています。結婚して、舞子さんと愛ちゃんを扶養する立場になっただけではなく、会社員から自営業者になりました。つまり、受けられる公的制度が変わったことを踏まえ、改めて考え直さねばなりません。

◇死亡保障

健太さんに万が一のことがあった場合、厚生年金の加入期間が10年あったとしても、自営業者である現在は国民年金加入者であるため、遺族基礎年金のみの受給となります。遺族基礎年金額は年間約101万円、1ヶ月あたり約84,000円(2013年7月現在)で、支給は愛ちゃんが18歳の3月31日までしかありません。

舞子さんが、遺族基礎年金の受給が終了した時には56歳、愛ちゃんが大学卒業見込みで経済的に自立するであろう22歳の時には60歳、老齢年金受給開始は65歳であることを頭に入れておきます。

これまでの貯金と、舞子さんが今以上に収入を増やせたとしても補填できないであろう、愛ちゃんの教育にかかる費用や、舞子さんと愛ちゃんの生活費は生命保険でまかなう必要があります。

愛ちゃんの大学卒業見込みまではちょうど20年、舞子さんの老齢年金受給まで25年。

例えば、主に生活費の補填として保険期間を25年とした収入保障保険に加入し、愛ちゃんの教育資金を意識して上乗せで10~20年の定期保険をつけて考えても、32歳の健太さんの保険料はそれほど高くないでしょう。

現在の法令では、舞子さんに万が一のことがあった場合に健太さんが受給できる遺族年金はありません。舞子さんも家計を助けていることを考えると、舞子さんも死亡保障が必要に思いますが、父子家庭になったことによる家計の圧縮も考えられることから、保険料の支払いに余裕があれば考えるくらいで良いように思われます。

 

◇医療保障

病気やけがをした時の一番の心配は、医療費だけでなく、働けなくなって収入を得ることができなくなってしまうことです。

パートタイマーの舞子さんには少しながら有給休暇があるものの、もちろん自営業者の健太さんにはありません。健太さんと舞子さんが加入している国民健康保険には、健康保険組合にはある傷病手当金の支給もありません。つまり健太さんは、働けなくなった時点で完全に収入がストップしてしまいます。

最初は貯金でまかなえたとしても、長期入院や長期療養になった場合には、生活費と医療費を支払い続けることが厳しくなるでしょう。

その不安を回避するために、まずは所得補償保険/就業不能保険への加入を検討しましょう。(パートタイマーは加入できない商品もあります)

 

また、国民健康保険にも高額療養費制度があり、同月内で自己負担額の上限80,100円を超えて支払った医療費は1%しか負担しなくてよいものの、例えばがんを患い長期療養になった場合に、毎月この額を捻出していかねばならないことは大きな負担です(4ヶ月目からは自己負担額の上限44,000円となります)。貯金では補えないと思われる部分については、夫婦共に医療保険やがん保険でまかなうことを考えましょう。

 

◇老後・貯蓄保障

老後の収入は、公的年金額と自営業者の健太さんがいつまで働くことができるかによります。倉田さん一家にとって、一家の大黒柱の健太さんが若く、定年のない自営業者であることは、大きな強みです。

 

8歳年上の舞子さんが年金受給開始の65歳の時に健太さんは57歳。この先、舞子さんが厚生年金に加入し続けるなどいくつか条件を満たせば、健太さんは57歳から自身の年金受給開始の65歳までの8年間に加給年金が受給できる可能性もあるなど、まずは公的年金制度を知って、老後資金の見込みを立てます。(老後の見込みを立てるための具体的な年金のお話については、次回以降にお伝えしてきます。)

そこから、何歳までいくらくらいの収入が必要なのか、貯蓄はどのくらいのペースでしていくと良いのか、逆算しておくといいでしょう。

前回もお伝えしたように、運用利回りが低い今の時代に、生命保険を利用して貯蓄していくことは、あまりお勧めできません。コツコツ貯蓄していくと同時に、コツコツ運用していくことで殖やしていくのが理想です。

一家の大黒柱である夫が年下であると、若い分だけ保険料が割安で大きな保障を得ることができます。若いうちに保険に加入しておくことで、健康体割引が使えたり、月々の保険料を安く抑えることができるというメリットがありますが、つい生命保険に過分に加入しすぎる可能性も出てきます。

保険料が安く済む分は貯蓄にまわそうという意識を持つことで、早くから豊かな老後に備えられることが、夫が年下であるご夫婦の強みだと私は考えます。

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