教育資金の上手な準備の方法 【2016年 第10回】

【2016年 第10回 教育資金の上手な準備の方法】がんばる転勤族の妻たちが「お金」をもっと好きになるお話

松原 季恵(マツバラ キエ)⇒プロフィール

 

前回は教育資金に必要な金額を見ていきました。
では、さまざまな支出が多いなか教育資金まで準備するにはどのようにしたら良いのでしょうか。
前もって計画的にしておけば、いざというときに慌てずにすみます。
教育資金の上手な準備の方法をお伝えします。

 

高校までは収入の中から捻出するマネープランをつくる

子どもが生まれるとまるでそれが枕詞のように、次に「学資保険に入ろうか」と考える方がいます。
親としての義務感だったり、自身の親に言われたからだったり、あるいはテレビや雑誌で取り上げられていたからだったり、加入の目的・目標が曖昧なまま、とりあえず申し込みをしてしまった方も少なくないでしょう。
しかし、貯蓄をするときに最も重要なのはその目的や目標を明確にするマネープランを作ることです。

教育資金においては、前回のコラムで紹介したような国公立や私立によってかかる費用のデータを基に貯蓄の目標を立て、子どもと一緒にマネープランを考えていきましょう。
ここでポイントになるのは、単年に大きな資金がかかる大学費用は積立を行いますが、高校まではできる限り月々の収入の範囲内でコントロールできるようにすることです。
夫婦だけの生活のとき、お互いの収入に干渉せず使いたいだけ使っていたような家計であれば、まずは家族としての家計の収支を確認し、今の収入に見合った支出に調整していくところからスタートが必要でしょう。

 

大学費用は子どもが幼い頃からコツコツ貯める

大学費用は一度に大きな資金を必要としますので、前もって準備することが大事です。
いつか必要になるであろう確実な資金ですので、早くから積み立てを行って時間を味方につけましょう。

積み立ての方法としては、代表格として学資保険のほか、短期払いの低解約返戻金型終身保険も活用できます。
その特徴とメリット・デメリットは以下のようになっています。

このように各々特徴がありますが、教育資金を貯めることが目的ですので、保険的な要素というより、払い込んだ保険料がどのくらい増えるか(返戻率)や、予定外の出費に対応できるか(流動性)によって、商品を選ぶと良いです。

ただし今はマイナス金利の影響もあり、以前と比較して保険の利率が下がっています。
このように返戻率が期待できない場合であっても、保険以外に貯める手段はたくさんあります。

例えば財形貯蓄制度を導入している企業にお勤めの場合は一般財形貯蓄、そうでなければ積立定期を利用して、毎月決まった金額を積み立てる仕組みを作ります。
金利がゼロであっても生まれた時から18年間毎月1万4千円積み立てると300万円貯まります。
どのような手段でも構いません、ポイントになるのは教育資金を貯めるという目的で分別管理し、早めにコツコツ貯めることです。

この時、積み立てを長く継続するためには資金の捻出の仕方も工夫しましょう。
例えば、0歳から中学校卒業まで毎月国から支給される児童手当を積み立てます。
すべて積み立てすれば約200万円貯めることができます。
また、毎月の積立は低く抑えながらボーナス時に少し大きめに積み立てを行うと、負担感が出にくいです。
このほか、時間外手当や出張手当を愛する子どもの教育資金として積み立てると、仕事へのやる気まで上げられる方もいるかもしれませんね。

 

ジュニアNISAはプラスαの教育資金に

教育資金の手段の一つとしてジュニアNISAが使われることがあります。
ジュニアNISAとは0歳~19歳の未成年者を対象に年間投資額80万円未満であれば、株や投資信託による値上がり益や配当金に対して課税を免除する仕組みです。
最大5年間の400万円を非課税で投資が可能で18歳になるまで引き出しができないこともあり、大学資金の準備として利用できると注目されています。

通常、投資にかかる税金は利益に対して約20%課税されるため、ジュニアNISAは教育資金を増やすことに役立てることができます。
ただし、預金とは異なりリスクも伴いますので、ジュニアNISAでは私立に行きたい、留学したい、特別な稽古を受けたいなど、プラスαの教育資金の準備としてお勧めです。
長期で積み立てることで時間を分散しリスクをある程度抑える工夫をしていきましょう。

またジュニアNISAは親が管理しますが、子供名義でする投資です。
親子で話し合って投資をすることで、社会に出る前に経済を知るための投資教育としても活用できるのではないでしょうか。

 

転勤族は場所を問わない積み立てと社内制度を活かした捻出を

教育資金準備は長期にわたって行うものです。
一方、転勤族家庭は転居の可能性があり継続して同じ場所に住むことが難しいです。
そのため、場所に関係なく安心して継続できる積み立て方法が望ましいでしょう。
保険やジュニアNISAであれば、コールセンターが充実しネットシステムが整っている金融機関がよいです。
預貯金で積み立てをする場合は全国的に展開している銀行や手数料も安いネット銀行なども利用できます。

資金の捻出においては、転勤族の場合、福利厚生が充実している企業が少なくありませんので、社内制度も活用してみましょう。
例えば最近は、従業員が受けられる福利厚生を選ぶことができる、選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)が増えてきています。
なかには、現金に近い形で助成を受けられるものもあります。
このほか、財形給付制度が導入されている企業であれば7年に1度会社から給付金をもらえる仕組みになっています。
財形貯蓄を行っていることが条件ですので、財形貯蓄での毎月の積み立てにプラスαで増やすことができますね。

 

教育資金は長期的にコツコツ貯めることが重要です。
それには、家族で前もって計画を立て、負担の少ない続けられる貯め方を選びましょう。

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