年代別FP相談40代【2016年 第6回】

【2016年 第6回 年代別FP相談40代】最近のFP相談事情と今後

長谷 剛史 (ハセ タケシ)

第5回では年代別の相談事情とポイントの2回目として、結婚や出産及び住宅購入など人生のイベントが多い30代を取り上げてご紹介しました。
今回は、年代別の相談事情とポイントの3回目として、人生の折り返し地点を迎える40代を取り上げてご紹介したいと思います。
何かと負担が肩にのしかかる年代になります。

(1)40代の悩みや不安とは?

相談者の日常生活での悩みや不安を理解し、その解決策を一緒に考えることがFPに求められています。
前回の30代と同じように、内閣府の「平成27年度国民生活に関する世論調査」から40代の悩みや不安を確認してみましょう。
まずは、悩みや不安を感じている割合は69.7%となっており、年代別で比較すると50代に次いで高めになっています。
40代は、会社では中間管理職になりストレスがたまりやすく、また、家計では住宅ローンや教育資金の負担が重くのしかかり、さらに、両親の介護の心配などが生じてくるからかもしれません。

次に悩みや不安の内容ですが、第1位は「老後の生活設計について」、第2位は「今後の収入や資産の見通しについて」、第3位は「現在の収入や資産について」、第4位が「家族の生活(進学、就職、結婚など)上の問題について」となっています。
老後の生活設計への不安が第1位になり、家族の生活(進学、就職、結婚など)上の問題については第4位ではありますが、年代別での割合は一番多くなっているのが大きな特徴です。
また、40代になると自分の健康や家族の健康を気にする割合が増加するのも1つの特徴と言えるでしょう。

(2)転職や起業のご相談

責任ある仕事に没頭する中で、転職や起業を検討する方がいます。
ただ、現在のお勤め先にいるよりは将来が先行不透明になり、年収が下がっても家族を養うことができるのか?また、脱サラして起業し成功することができるのか?と悩まれる方が多いです。
このような場合、自分自身がやりたいことと家計との両方を考える必要があります。
例えば、転職予定先の年収がある程度わかっているようであれば、ライフプラン=将来計画を作成することにより家族を困らせることがないかどうか確認できますし、また、家計が破綻しないための最低年収を逆算で出すこともできます。
起業でもこの考え方は活かせますが、サラリーマンやOL時代と違い、起業すると社会保障制度が手薄になることは早めに確認することがポイントです。

(3)介護のご相談

一般的に40代のご両親は70代になっているケースが多く、介護が必要な状況になっていることもあります。
勿論、介護状態になったとしても介護費用は公的な介護保険を利用すれば1割負担で済みますし、ご両親に資産があれば取り崩して介護費用に充てることができます。
ただ、ご両親に余力がなければ40代の子ども世代が介護費用を負担せざるを得ないことも想定されます。
実家への仕送りをするような場合には、40代の子ども世代のライフプラン=将来計画に大きな影響が出る可能性がありますので、40代の方からのご相談ではご両親の現状をヒアリングすることは必須だと考えています。

  (4)   実家のご相談

ご両親が亡くなった後、子ども世代が住む予定のない実家をどうすれば良いのかと悩まれる方が増加しています。
売却やリフォームして貸し出すなど考える必要がありますが、何も手を付けずそのままの状態で置いているという方が多いように感じます。
メディアでも空き家問題が取り上げられるケースが増加していますが、実家をきちんと管理しておかないと訴えられるケースも考えられます。
例えば、台風で家の瓦が落ちたところに通行人がいてけがをしたような場合です。すぐに結論は出ないかもしれませんが、実家をどうするのか?を考える第一歩を踏み出すことがとても重要です。

(5)老後への備えとして資産運用のご相談

40代の悩みや不安第1位が「老後の生活設計について」という結果を反映して、老後への備えとして資産運用の考え方や実践の仕方を知りたいというご相談が増加しています。
また、資産運用の好き嫌いに関わらず、お勤め先が確定拠出年金制度を導入し、利用している場合は、資産運用のことを考えざるを得ません。
さらに、NISA(少額投資非課税制度)では、子どもNISAの利用も始まり、関心を持っている方は多いですが、実際にどのような制度で具体的にどうすれば良いのかと悩む方も多いです。

40代の方からの相談事情とポイントは参考になりましたでしょうか?
住宅ローンの借り換えや教育資金のご相談も多いですが、今回は40代の方の特徴を考慮して相談事情をご紹介しました。
また、ポイントとしては、40代は子どもや両親等家族の悩みを抱えているケースが多いので、FPへのお金の相談+人生相談になることが多いという点を挙げることができます。
是非、一人で悩むのではなく、何でも話ができ人生相談もできる一生お付き合いができるFPを見つけて欲しいと思います。

次回は、年代別の相談事情とポイントの7回目として50代以上を取り上げますので楽しみにお待ちくださいね。

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