借入の基本 資金使途別借入 【aunoeコラム転載 2014年 7月掲載】

本コラムは、2012年3月~2015年3月に「au one マネー」にて掲載された マイアドバイザー®連載コラムのバックナンバーになります。
週1回、合計4回で完結するスタイルのコラムを、今回の掲載では、4本分を一括で掲載しています。

今回のコラムの執筆者:樗木裕伸

マイアドバイザー®/優益FPオフィス を通じて対応された業務の権利は、退会時に放棄されているため、マイアドバイザー®(運営者:株式会社優益FPオフィス)に帰属しています。

はじめに

平成26年4月以降、消費増税による消費の落ち込みがあったものの、政府・日銀は、アベノミクス効果による景気回復に強気の姿勢を見せています。
平成27年10月に予定されている消費税10%への引き上げに向けた意気込みを感じます。

景気が上向き、個人消費が伸びて企業の業績が上がってくると資金需要が高まります。
企業はもちろん、個人事業主や消費者も借入を検討する場面がこれから増えてきそうです。

そこで、貸し手である金融機関がどのように考えて貸出を検討するのかを知ることで、積極的な事業展開につなげたり、スムーズな手続きに役立てたりしたいものです。

今回は、資金使途(借りたお金の使い途)に着眼してみていきたいと思います。

資金使途別の借入には、企業や個人事業主が事業用として借入をする事業性資金として、商品の仕入れなどの資金に充てられる「運転資金」、機械などの購入に充てられる「設備資金」があります。
また、個人消費者が活用する借入として、特定目的支払資金として「住宅ローン」「マイカーローン」などと、不特定目的支払資金(消費性資金)として「カードローン」があります。

次回以降、資金使途別借入の金融機関の基本的な考え方を紹介していきたいと思います。

運転資金

「運転資金」とは、企業が事業を継続する上で、継続的に必要になる資金です。主な例に、仕入代金の支払いが挙げられます。

【図】のように、いったん仕入れると現金が商品在庫に変わります。
販売して代金を回収するまで、現金にはなりません。その間、人件費や水道光熱費などの経費は、現金で支払いを求められますので、資金繰りが忙しくなります。
そこで運転資金として借入をすることで、資金繰りが円滑になり、経営にゆとりが生まれます。

運転資金は、【図】にあるように、「現金60円」が仕入を通じて「商品在庫60円」になり、販売を通じて「売掛金(受取手形)100円」になり、代金回収を通じて「現金100円」となって戻ってきます。
そこで、現金60円は、再度仕入資金として使われ、経費30円を支払い、残りの10円が利益となります。

運転資金の特徴は、現金か商品在庫か売掛金かの違いはあっても、いつの時点においても60円という経済価値は、保持されているということです。

したがって、運転資金は、金融機関から見ると貸出しやすい種別と言えます。

建設会社が公共工事を請け負った場合などは、支払が確実な官公庁なので、入金されるまでの「つなぎ資金」として、特に借入しやすく、よく活用されています。

設備資金

設備資金とは、印刷会社が印刷機を購入する場合や運送会社がトラックを購入する場合などが該当します。

この場合、金融機関は、購入した機械やトラックなどを売却して返済してもらおうとは考えていません。
事業のために購入した設備ですから、その企業の事業活動の利益から返済できるかどうかで判断します。

細かく言うと、「(税引後当期純利益+減価償却費)×耐用年数」が設備の購入代金よりも大きいかどうかで判断します。
「税引後当期純利益」とは、税金を納めた後の最終的な利益です。
「減価償却費」とは、設備の購入代金をその設備を使用する期間(耐用年数)に応じて費用として割り振った金額です。

式で表すと、
★収益 - 費用 - 税金 = 税引後当期純利益・・・損益計算書を模式的に表現

現金収支の視点で式を表現し直すと
★収入 - (支出 +減価償却費) - 税金 = 税引後当期純利益

となります。さらに変形すると

★1年間の返済原資
= 収入 - 支出 - 税金 = 税引後当期純利益 + 減価償却費

となります。

設備資金の借入は、企業の業績が判断基準になる分、将来の返済は不確実性が高まります。

そのため、当該設備がどの程度事業に寄与するかを過去の実績などで説得できない場合は、担保の提供を求められることもあります。

したがって前回の運転資金の借入よりもハードルが高いと言えるでしょう。

個人・消費者の場合

個人消費者が活用する借入として、特定目的支払資金として「住宅ローン」「マイカーローン」などと、不特定目的支払資金(消費性資金)として「カードローン」があることは、【第1回】でお話しました。

これらのうち、住宅ローンやマイカーローンは、【第3回】にお話した「設備資金」に近い借入と言えるでしょう。

住宅購入は、家賃の30年、40年分を一括して払ったようなものですし、自家用車の購入は、タクシー代やレンタカー代などの移動手段に対する費用を10年分、一括で払ったようなものです。
ですので、年間の収入に対して妥当な範囲での年間返済額(住宅ローンであれば、年収の20~30%程度)に収まっているかで判断されます。
返済が長期に渡ることや金額が高額であることから、基本的に担保の提供を求められます。

一方、不特定目的の消費性資金については、貸出の判断には、借入総額が年収の3分の1以内(総量規制)というルールが用いられています。
生活費の赤字補てん的な色彩が強いこともあり、その返済の確実性は、他のローンに比べて低いと金融機関には見られています。
そのため、他のローンよりも数倍高い金利が適用されています。

【第1回】から借入の基本として金融機関の貸出の判断基準である資金使途に着目してお話してきました。

どのようなポイントで判断されるのかを知っておくことで、円滑な借入が可能になりますし、さらには「信用」につながっていきます。

不測の事態であわてることがないように、一度、借入も選択肢の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。

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