相続税2015年問題【2014年 第4回】

【2014年 第4回】相続税2015年問題- それぞれの終活をプランすること

山根 裕子プロフィール

 

相続税の申告について来年2015年から大きな変更があるということで「今まで相続税とは無縁だったあなたも相続税について考えましょう」とあちこちでセミナーが開かれています。 昨年まで相続税を納めることになったのは相続全体のうち数%でした。これが今後、都市部では15パーセントとも20パーセントとも言われています。 あらためて、相続税についての基本の考え方と、これを理解しておいた方がよいのはどんなケースかをまとめてみました。

 

「基礎控除」は、法定相続人の人数によって違います。

相続税の計算は次のようになっています。

財産の評価額(A)- 控除額(B)=相続税の課税対象額(C)
課税対象額(C)× 法定相続人構成に応じた税率=相続税

各相続人がどれだけもらったかということでなく、亡くなられた方(被相続人) がどれだけ遺産総額があったかという視点で(A)を集計します。
財産の評価額は預貯金は亡くなられた日の残高ですが、不動産については計算の段階で自宅の場合は減額されるとか、一定面積までの土地については割引されるなどの制度があります。

(A)は時価そのものではありません。そこから(B)の控除額を引きます。

この主な内容が「基礎控除」と呼ばれるもので、法定相続人の人数によって違います。
2014年までは5,000万円+(1,000万円×法定相続人の人数)でした。 相続人が配偶者と子供が2人だとすると8,000万円になります。
(A)-(B)がマイナスになれば、相続税は申告しなくてよいということになります。

今まではフツーの家庭だと(C)がプラスになるケースは少なくて、相続税はひとごとでしたが状況が
変わってきました。

まず、既に変更になっていますが(A)のうち、自宅についての割引計算対象が全ての相続人には使え
ないケースがでてきました。被相続人が住んでいた自宅を相続した人が今後もその人の自宅にする場合
は自宅評価の割引ができますが、よそに住んでいる子供が相続したような場合は割引の対象にならなく
なりました。自宅の割引というのは土地の評価額が一定面積までは8割引きでしたので、これが使えな
いことで(A)の金額が大きくなってしまうケースは結構あります。

次に(B)についての2015年問題です。 今までは前出のとおり、5,000万円+(1,000万円×法定相続人
数)でしたが、2015年からは3,000万円+(600万円×法定相続人数)になります。配偶者と子供2人の
場合8,000万円から4,800万円になるということです。

(A)の金額は首都圏ですと5,000万円から7,000万円というケースが結構あるので、今までは相続税と
は関係なかったのに今後は(C)がプラスになり、相続税と関係してくるご家族は増えてくるので
す。
相続が起きると財産の引継ぎという形で「遺産がもらえる」という感覚がありますが、相続税と関係な
くても不動産の名義を変更するのに費用がかかります。評価額5,000万円程度のご自宅でも登記費用が
30万近くかかります。名義変更の手続きをするのには、戸籍謄本や印鑑証明、不動産の評価証明などを
取得する必要がありますし、なんやかやと費用がかかります。更に算出されてくる相続税はどの程度か
かるかもありますが支出の項目になることには違いありません。

預金は別として、基礎控除の引き下げ減額により、一戸建ての平均的面積の自宅がどこにあるかという
ことで相続税の対象になりそうなエリアは今後格段に拡がります。

首都圏では今までは山手線の内側や世田谷区、杉並区等が自宅を持っているだけで相続税の対象となる
ことを予想されるエリアでしたが、今後は都内では環八辺りまで拡がりますし、横浜、千葉、埼玉でも
主要駅の近辺は対象になります。

大阪市エリアでも、繁華街である梅田、難波を中心とした地域から市内中心部はほぼ対象となります。
名古屋市エリアでは、今までは栄区、名古屋駅と東部の住宅街が対象だったのが地下鉄圏内はほぼ全域
が対象になります。

「配偶者が相続した分の税金はかからない」

相続税の計算でよく知られているルールに「配偶者が相続した分の税金はかからない」というものがあ
ります。かからないといっても無制限ではありませんが、多くの場合は配偶者が相続すればその分につ
いての相続税は免除されます。

目先の相続税ということだけを考えればこれを利用して配偶者が全ての財産を相続することにすれば前
出の課税対象の(C)がプラスになっても相続税はかからないことになります。が果たしてそれでよい
でしょうか。 一家にとっての初めの相続を「一次相続」といいます。年齢順に考えて、資産を持った
お父さんが亡くなった場合を指すことが多いです。

財産のほとんどはご両親で作ってきた財産です。お子さんたちがきちんと独立されていればお父さんの
財産はお母さんが全部引き継いでお母さんが使っていけばよいもの。そうすれば相続税も納めずに済み
ます。ただし、次の相続(二次相続といいます)も少しだけ考えておきましょう。 家を引き継いでい
くお子さんなどがある場合、次の相続の時に発生する税金に少し気持ちを向けてシュミレーションをし
て、一次相続の際の相続の仕方や今後の資産の構成を見なおして行くことも大事なことです。

次回はエンディングノートについてお話いたします。

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