今年の株価は、上昇?下落?【2010年 第12回】

【2010年 第12回 今年の株価は、上昇?下落?】 資産運用に必要ないまどきの経済知識

有田 宏 プロフィール

 

 

 

 

 

  結局2010年の株価は?まだ若干気が早いですが。
2010年1月4日の日経平均10,655円。
年末はまだなのでとりあえず11月20日は10,115円。
次のグラフが同時期のニューヨーク・ダウ平均と比べたものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを見るとアメリカは上下しながらも株価は年初の数字以上に上昇していますが、日本の方はどうも芳しくはない。
11月の日米各金融政策当局の金融緩和、G20サミットを境としてドル安も一段落。
これと軌を一にして日本の株価も10,000円台を回復していますが、それでも年初の数字には届かず。
いわゆる“外国に比べて日本の株価の戻りが悪い”と言われている所以です。
それでは次のグラフをご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これも同時期の日米株価の推移を表していますが最初のグラフとちょっと違います。

 

違いは以下。

①日経平均はドル建て。

  すなわち 日経平均(円)/ドルの為替レート(円) となります。

②ニューヨーク・ダウ平均、ドル建て日経平均それぞれの2010年1月4日の数値を100として、その後の推移を表している。

 

 このようにみると、11月20日の年初からの上昇率は、日本は約6%、アメリカは約5%。
決して日本の株価が低迷しているわけではありません。

 

 +5~6%というのは1年間の株価の変化としては順当なところでしょう。
リーマンショックという大規模な変動の後としてはもっと上昇しても良さそうなものだが、これもショックの傷跡が十分癒えていないことでしょうか。

 

 株価はこの後も順調に回復するかどうか?財政による一時的な止血止めも、これ以上続けることは困難でもあり、また危険でもある。

 経済の自立的な成長にバトンタッチできるかどうか、これが今後の株価を支配していくことになるでしょう。

 

 もっとも、アメリカの株価を円建てにして円換算での株価の推移を見た場合、全く違く結論になります。

 

 特に株価指標は基本的に各国の通貨で表していますので、そのまま比較することは全く無意味というわけではありませんが、判断の過ちを来たす原因になります。比較するためには通貨という物差しを合わせる必要があります。

 

 日本から外国株に投資する場合、その株価がたとえ大きく上昇したとしても、為替がそれ以上に下落していれば、差引では損ということになります。

 

 同様に外国債券投資の場合も、たとえ金利が高くとも為替はどのようになるのか。
為替動向の判断のためには日本と外国のインフレ率がどうなるのか。
最終的には“金利+為替”の変化で収益が決まります。

 

 数字を見る場合、表面の数字だけ追っていただけでは適切な判断を下せません。
数字に対して多方面から加工を加える多角的な見方が必要になります。
結果的に見る角度により全く正反対の結論が得られるかもしれません。
そこから新たな分析が始まり、より的確な判断が導かれることになります。

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