日経新聞の景気指標を活用する 商品市況編【2014年 第6回 】

【2014年 第6回 】日経新聞の景気指標を活用する、商品市況編-統計資料と景気指標を活用した資産運用

恩田 雅之(オンダ マサユキ)プロフィール

 

このコラムは、「統計資料と景気指標を活用した資産運用」というテーマに沿って、6回シリーズで書いています。第6回(最終回)は、「日経新聞の商品市況の活用法」になります。 商品市況は、景気に先行する指標として活用されています。

 

 

 

はじめに

景気の動向を判断する指数は、景気に先行して動く「先行指数」、ほぼ一致して動く「一致指数」、遅れて動く「遅行指数」の3つがあります。
商品市況は「先行指数」に分類されます。先行指数は、資産運用を行っていく上で、将来の見通しを立てるための重要な指数になります。
このコラムでは、国内・海外の総合指数と、代表的な個別商品の指数についてみていきます。
国内の総合指数について
原則、月曜日の日経新聞「景気指標欄」では、内外商品相場の動きを時系列的に確認することができます。国内の商品相場を総合的にみる指数として「日経商品指数 42種」(以下:42種)、「日経商品指数 17種」(以下:17種)があります。
名称に日経とあるとおり、両方とも日本経済新聞社が開発した指数になります。また、景気指標欄には、42種個別の指数も掲載されています。
42種は、鋼材・非鉄金属・繊維・木材・価額・石油製品・紙・食品・その他の9つの商品群に区分されます。17種は、9つの区分の中から、鋼材・非鉄金属・繊維・食品・その他の5つの区分から品目を選択した指数になります。
2つ指数とも、1970年平均を100として、品目ごとにウエート付けをしない方法(幾何平均法)によって算出されます。また、指数を算出するベースを国内企業間取引価格にしています。
42種は、内閣府が発表する景気動向指数の先行指数の1つに採用されています。
海外の総合指数について
海外の総合指数の代表的なものとして「ロイター指数」と「CRB指数」があります。
両指数とも、日経商品指数と異なり品目ごとにウエート付けした加重幾何平均法により指数を算出します。
「ロイター指数」の品目は、小麦・綿花・コーヒー、羊毛、銅、砂糖、ゴム、とうもろこし、米、牛肉、大豆、ココア、すず、落花生、コプラ、亜鉛、鉛の17品目になります。
品目の中で、農畜産品が多いのが特徴になります。
「CRB指数」は、1957年に米国のCRB社により28品目の総合指数としてスタートし、その以降に構成品目の入れ替え等の変更が行われ、2005年の修正後は、19品目(原油、燃料油、無縁ガソリン、天然ガス、とうもろこし、大豆、小麦、綿花、牛、豚、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、ココア、オレ
ンジ・ジュース、砂糖)で指数を算出しています。
エネルギー(原油、燃料油、無縁ガソリン、天然ガス)と鉱工業関連素材(金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル)のウエート付けが高いといった特徴があります。
また、CRB指数は、米国のインフレ率の先行指標として、FRB(連邦準備制度理事会)が注目している指数になります。

代表的な個別指数

代表的な個別商品の指数としては、海外の「NY原油」、国内の「ガソリン」の指数の動きに注目しておきましょう。
「NY原油」や「ガソリン」は、企業の製造コストや一般家庭の消費に影響を与えます。
特にクルマ社会の米国では、今後の個人消費を占う上で、「NY原油」は重要な指数になります。国内の景気を考える上では、地方経済に影響を与える「ガソリン」に注目しましょう。
両指数とも、景気の先行きを見る上で、参考となる指数になります。

最後に

「日経新聞の景気指標を活用する」というテーマで、「日本」、「米国」、「欧州」、「アジア」、「商品市況」について、5回に分けてみてきました。
最終回の「商品市況」は、最も馴染みのない指標かと思いわれます。しかし、景気動向に先行指数として、日本の内閣府や米国FRBが注目している指数になります。資産運用を行う上で、その指数のトレンドをウオッチしておきましょう。
また、第1回で取り上げました「人口統計・推計」は、もっともブレの少ない統計資料になります。長期的な視点で資産運用を考える時には、今後の人口動態を確認しておきましょう。
最後に、1年間お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

  • コメント: 0

関連記事

  1. 各国の金融政策の動向【2011年 第8回】

  2. 長期的な視点での仕事選びと自宅通勤のメリットを活かした効率的な貯蓄を【2006年 第1回】

  3. 海外に行った場合の「海外療養費」ってどんなもの?【2011年 第8回】

  4. 走り屋!?FPです!~自己紹介編 【2012年 第1回】

  5. 債券投資の話・・・意外と使えてプロ投資家も活用【2008年 第1回】

  6. 〔住宅〕データから見る地域の特徴 ~購入すべきか…賃貸続けるべきか…それが問題だ!~【2006年 第1回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。