確定申告の事例 万一災害に遭われたら?(こんなケースは?)【2005年 第2回】

【2005年 第2回 】確定申告の事例 万一災害に遭われたら?(こんなケースは?) 確定申告

松山 智彦⇒プロフィール

 

 

 

 

 

 

まもなく2006年になります。2005年はどんな1年でしたか? 2005年も日本全国で台風、大
雨、地震などの災害により多数の方が被害に遭われています。前回は、万一災害により住宅や
家財に損害を受けた場合に税金面からの救済措置についてお話しました。今回は、いくつかの
ケースを取り上げたいと思います。

○賃貸住宅に住んでいる場合

「一生賃貸!」というお考えの方もおられると思います。もちろん、現在は賃貸住宅に住んで
いても、いつかは「マイホームを」と考えている方もおられると思います。
では、賃貸住宅で住んでいるときに災害に遭われた場合を見ていきましょう。

・家財道具
家財道具は「雑損控除」又は「災害減免法」の対象になります。(対象となる家財道具は、前回の
コラムを参照してください。)
・住居
住居については、大家さんの所有物なので雑損控除等の対象外です。(所有者たる大家さんか
らみれば、規模等で雑損控除等が受けられる場合と、必要経費に算入できる場合がありま
す。)
但し、生活上早急に修繕が必要な場合、その修繕費用は雑損控除の対象にする事ができます。
(家主から費用の支払を受けた分は控除できません)

○実家の両親が被災した場合、仕送りしている子供が被災した場合

実家の両親が被災した場合は、雑損控除等を受ける事ができません。なぜならば、雑損控除
等は災害を受けた家屋や家財に対する損害額を自分の所得から控除して税額を減額するもので
あるからです。
しかし、両親が以下に該当する場合には、雑損控除等を受ける事ができます。これは、仕送
りで生活している子供にも該当します。
資産の所有者が納税者であること、または、
その年の総所得金額等が38万円以下で、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族であ
ること。
換言すると、扶養家族に入っている、仕送りしているなど生活を一にしている親族の資産が
対象になります。

○見舞金を受け取った場合

・個人の場合
個人が受け取る見舞金(会社から渡される見舞金も含みます)については、社会通念上相当と認められる範囲であれば、課税されません。
・企業の場合(見舞金等を支払った場合)
企業が被災した社員に見舞金を渡した場合は、就業規則に従って支給されるなど社会通念上相当と認められる範囲であれば、経費として処理する事ができます。
また、企業が被災した取引先に見舞金を送ったり、売掛金等を免除した場合は、経費にできます。反対に受け取った場合は、収入として計上します。

○罹災証明の受け取り方(平成16年の台風23号における岐阜県高山市の場合)

(URL=http://www.city.takayama.lg.jp/kikaku/typhoon23/index.htm)

○罹災証明書の発行手続き

高山市の場合、証明願いに現場の写真、民生委員の証明書を添付して提出します。
証明願いは、ホームページからのダウンロード、市役所や被災地の町内会長で配布されています。
・罹災証明書発行に必要なもの
1.罹災証明願い
(様式(URL=http://www.city.takayama.lg.jp/kikaku/typhoon23/risai.pdf))
2.災害の状況がわかるような写真(浸水、水没位置などが判明できるもの)
3.民生委員の証明
4.家の間取り図(手書きでもOKだそうです)
5.簡単な状況報告(何時ごろ、どのような状態であったかなど)

これを見ますと民生委員や町内会長という文字が出てきます。
大都市に住んでいる場合は、隣近所との付き合いが少ない方が多数おられるようです。(私もその一人かもしれません。でも挨拶ぐらいはしますよ。)
せめて、町内会長や民生委員が誰でどこに住んでいるかぐらいは知っておいた方がよさそうです。

○その他の減免

確定申告とは関係ありませんが、高山市では以下の減免もあります。
・ 上下水道料、上水道再開栓手数料・下水道受益者負担金などの減免
・ 市営住宅使用料の減免
・ 被災した家財・畳などのごみ処理手数料(但し、リサイクル処理センターへ搬入の事)
・ 一般家庭ごみのシール貼付の免除(「災害」を袋に記入)
もちろん減免された分は、税務上費用とする事はできません。

地方地自体によっては住民税の減免などがありますので、罹災証明書を受ける場合には、窓口で住民税や県税、市町村税などについても尋ねてみましょう。
【2006年1月4日】

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