住宅ローンプラン実践編④ 【変動金利住宅ローンが、相談者のニーズに合致したケース】【2012年 第8回】

【2012年 第8回】住宅ローンプラン実践編④
【変動金利住宅ローンが、相談者のニーズに合致したケース】
– ケース別コラム – 住宅ローン

奥田 知典(オクダ トモノリ)⇒ プロフィール

 

一般論もいいけど、やっぱり個別の事例が知りたい!そんなご要望にお応えして、これまで私が実際に相談を受け、対策をとった、『リアルなケーススタディ』をご紹介していきたいと思います。

 

 

□ご相談内容

岡山市内でマンションから一戸建ての住宅へ住み替えを検討中。住宅ローンを変動金利でいくか、それとも固定金利でいくか、迷っている。おすすめの銀行もふまえ、アドバイスをいただきたい。

□ご相談の背景

このお客様は、夫42歳、妻40歳、長女3歳という3人家族。夫婦共働きかつお子様がおひとりということで、比較的家計には余裕がある家庭です。ただ、ご主人が単身赴任ということもあり、家計支出はやや多め。加えてそれまで住んでいたマンションのローンを6か月前に完済したため、手持資金が殆どなく、新たな借入をするのも不安だということで、相談にお越しになりました。

すでに大手ハウスメーカーで、総額5,000万円の資金計画で話が進む中で、その資金計画の妥当性も含め、コンサルを開始しました。

□ライフプランニングで、お金の流れを確認。住宅、教育、老後の各資金バランスを検証

仮に5,000万円の住宅取得を実現したとして、住宅ローン支払いはもちろんのこと、毎月の生活費、お子様への支出、学資積立、夫婦の老後資金といった人生の総支出額と、給与や退職金、年金など人生の総収入額を計算し、そのお金の流れとバランスをお客様とともに確認しました。

幸い、世帯収入も安定していること、お子さまはおひとりで教育資金も準備の目処がたつことから、5,000万円の資金計画でも老後資金は3,000万円程度は準備できる見込みであることが判明。住宅ローンも60歳で繰上げ返済可能という結果となりました。

□ライフプランの結果をふまえ、住宅ローンプランを決定

ライフプランの結果はおおむね良好だったのですが、不安材料はあります。それは、わずか6か月前に既存の住宅ローンを一括返済したために、手持資金が200万円程度しかなく、今回のマイホームは諸費用も含めたフルローンとなることです。

加えて、当初の5年程度、つまり手持資金が再び貯まるまでの間に生活環境が変わると、影響が大きいということも不安材料でした。

そこで上記2点を解消するため、①出来るだけ、諸費用部分を抑える。特に、当初の資金負担は極力抑える②住宅ローン金利も、出来るだけ当初5年の負担は抑え、5年で確実に手持資金を蓄える。という方針で、銀行と住宅ローンプランの選定に入りました。

その結果、諸費用負担、当初の費用負担が少なく、かつ業界最低水準で変動金利住宅ローンを提供する、某メガバンクを利用することとしました。

相談当初は、固定金利の安全性に魅力を感じておられましたが、ライフプランと今後の返済計画をふまえ、変動金利の借入を決断されたのです。全期間固定金利で借入した場合、当初2年間の収支バランスが若干厳しくなることが予想されたのも、決め手でした。

◇今回のケーススタディのポイント、注意点

私は、将来の金利上昇リスクを考えれば、今のうちに出来るだけ長期間、金利が上がらない安心を買っておくべきだというのが持論です。したがって、あまり変動金利ローンはおすすめしていません。

しかし、それはあくまでも一般論。ライフプラン結果をふまえ、当初の支払い負担を減らし、かつ5~10年以後の収支バランスが安定するのであれば、今回のように変動金利住宅ローンをお勧めすることもあります。

今回の相談者も、ライフプラン相談をしっかり行うことで、安心して変動金利住宅ローンの借入を実現されました。今後の返済計画も明確になり、現在は既に支払いの終えた元のマンションの活用方針が決定。賃貸マンションとして家賃収入を得て、その利益分を今回の住宅ローン繰上げ返済にまわすという計画をすすめるべく、不動産業者を紹介し、入居者を募集し、まもなく入居開始予定です。

単に住宅のことにとどまらず、手持資産の活用、生き方、働き方の相談など、あらゆる相談窓口としてお役立ち出来るのがファイナンシャルプランナー。長期的な視野で、あらゆる可能性を考え、最善の改善策をコーディネートし、その実行をサポートする。

今回のケーススタディは、そんなファイナンシャルプランナーのあるべき姿を考えさせられる内容だと思います。ぜひ、身近なファイナンシャルプランナーを活用し、あんしんして、前を向いて進んでいけるライフプランを実践いただければと、思います。

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