ペット飼育【2010年 第 5 回】

【 2010年 第 5 回 】ペット飼育 マンションの暮らしを快適に

福本 喜保(フクモト ヨシヤス

ペットの役割

ストレス社会の現状、核家族化、少子高齢化、単身生活者等による癒しの要求、子供の情操教育、老夫婦の生活のうるおい等ペットの役割は大きいと言われています。

ペット飼育の問題点

ペット飼育は、人間の感情に深く関わっていることから、ルールを完全に守らせることは不可能と言っても過言ではありません。このようにペットの飼育問題は、個人の感情や生活等に根ざしているだけに一律に解決することのできない難しさがあります。

従って、ルールを規定したり改正する場合には、広報、打ち合わせ等を十分行い居住者の意思がどこにあるのかを良く調査、検討のうえで行うことが大切です。全面禁止がいいのか、制限付きがいいのかは各マンションの状況・環境、居住者の意向により決めていくことになります。

但し、注意しなければならないことは、ペットを飼っていることが規約に違反しているというだけでは、ペットを飼ってはいけないとか、損害賠償を払えという判決をもらうことはできません。ペットの飼育によって具体的に居住者等にどんな被害、迷惑を及ぼしているかが明確でなければ訴えて判決を貰うことは難しいと思われます。

ペットに噛まれて怪我をしたとか、ペットの鳴き声のためノイローゼになったとか、臭いが臭くて社会生活上「我慢の程度」を超えているなどの事実があった場合に初めて飼ってはいけないとか、あるいは損害賠償を払えという判決が下されるのです。このことも念頭においてルール違反に対処することが必要です。

ペット飼育が禁止・制限されている理由

① ペットの嫌いな人がいる。
② ペットが他の居住者に迷惑な行為(噛む・鳴き声)をする。
③ マンションの構造上ペットの飼える状況(排尿・排便)になっていない。
④ ペットから発生する臭い、抜け毛、害虫などの被害がある。

一般的な規約

① 全面的に飼育禁止
② 専有部分内での小動物を飼育することを認める。
例 小鳥及び魚類以外の動物を飼育することを禁止する

一般的な飼育ルール

① バルコニーでハトや野鳥に餌を与えると、他の家の干し物を汚したりするので止める。
② 観賞魚、小鳥以外の動物(犬・猫等)を飼育することはできない。
③ 鳴き声、臭気、抜け毛、餌やフンの飛散などで他人に迷惑をかけない。
④ 野良犬や野良猫には餌を与えない。

一般的なペット飼育細則等

① 管理組合に飼育許可の申請(申請書に一定の書類を添付する)
ア 誓約書
イ 近隣居住者(上下左右)の同意書
ウ 犬の登録、予防注射の証明書

② 飼育条件
ア 一代限りとする飼育条件(写真・名前等を登録)
イ 飼育方法等に条件を付した飼育許可
・種類、大きさ、数等
ウ 飼育方法の制限
・飼育は専有部分に限る
・バルコニー等での餌、排尿、排便、ブラッシング、抜け毛の処理を禁止する。
・共用部分を通行するときには抱きかかえる。
・敷地内、児童公園等でペットを遊ばせるのを禁止する。
・獣医による健康診断を奨励または義務づける。
・去勢、不妊手術を奨励または義務づける。

③ ペット飼育者組織の活用
飼育委員会、ペットクラブ等への加入を義務つけ、ペット飼育者に自主規制を求める。

④ ペットが汚損、破損、障害等を発生させた場合の責任の明確化

⑤ 違反者があった場合の飼育許可の取消

マンション内でのトラブル原因

4大ペット迷惑
1. 無駄吠え騒音
 一緒にいるときはいいペットでも、貴方が留守の間ペットがどんな音を出しているか分かっていますか? 無駄吠えだけじゃなく、足音、ツメ音も要注意です。
2. 抜け毛
 ペットの毛なんて細いし軽いし大丈夫。と思ったら大間違いです。実はペットの苦情ですごく多いのが抜け毛なのです。意外な所まで飛んでいってトラブルを起こします。おこす前に気を付けましょう。
3. うんち・オシッコ
   マンションの共用部分、エレベターや廊下などで粗相してしまうことはありませんか?自分のワンちゃんは大丈夫と思っている人も、しっかりと対策を立てておきましょう。
4. 臭い
   一緒に暮らすうちに気にならなくなってしまうのが、ペットの口臭や体臭、排泄物のニオイなど。自分達は平気でも他人が一番敏感なのは実はこのニオイなのです。十分に気をつけましょう。

マンション居住者には動物が好きな人もいれば嫌いな人もいます。ペット飼育は飼い主の管理状況によって問題となり、クレームに発展します。如何に飼い主が責任を持って管理するかによります。

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