金融商品② 銀行窓口で初めて個人年金保険を買う時【2010年 第 9 回】

【 2010年 第 9 回 】金融商品② 銀行窓口で初めて個人年金保険を買う時 ~消費者力をアップしよう

福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール

現在多くの銀行では、窓口で投資信託のほか個人年金保険や医療保険なども買えるワンストップサービス化が進んでいます。

様々な金融商品が容易に購入できるようになる反面、無防備な消費者がリスクにさらされる機会が増え、中でも個人年金保険については高齢者を中心にトラブルが多く、長年問題視されてきています。

個人年金保険を購入の際、高齢の母に付き添って説明を聞いた娘ともども、「こんなはずではなかった」と後悔するケースも珍しくありません。

銀行窓口ではどのように勧誘されるのか?

購入者は当初より個人年金保険購入の意思を持って窓口を訪れるわけではなく、定期預金が満期になった時や、夫が亡くなり相続手続に銀行を訪れた際、資産運用の窓口へと誘導され勧められることも多いようです。

資産運用の窓口では、主な運用商品として投資信託と個人年金保険を紹介され、客が何ら特定の商品の希望を持っていないような場合、10年以上使う予定のない資金ならばいかがですか?と個人年金保険の購入を勧めてくるパターンがよく見られます。

その後、受取額の決まっている定額タイプと、運用実績に応じて年金受取額や解約返戻金が変動する変額タイプそれぞれの特徴説明がされ、どちらかを選ばせ更に詳しい説明から購入へという流れとなります。

こんなセールストークが話される

国債よりも利回りが良く投資信託よりも安全性が高い、年金原資の最低保証付の商品なら損はしない、保険の安心が得られる、相続発生時の換金が迅速かつ税金面でも有利・・など。

セールストークの裏を考えてみる

国債より利回りが良い場合でも、保険契約時の費用や契約を維持するための費用、年金受取が始まってからかかる費用のことまでトータルで考慮すべきであること、万が一保険会社が破綻した場合には投資信託よりも安全性が高いと言えない可能性もあること、年金原資が最低保証されるには条件があること、将来の税制改正によっては税金面で有利との保証はないことなど・・・様々なコストやリスクを考えてみる必要があるでしょう。 

購入目的をはっきりさせる

・ 公的年金の補完として
・ 公的年金支給までのつなぎとして
・ 元気なうちの10年間を旅行や趣味など楽しみのお金として など、

目的を決めて購入すれば、運用期間が10年の商品が良いのかそれとも5年の商品がよいのか、定額タイプと変額タイプのどちらが良いのか等、商品選びが明確になり、不本意な中途解約による元本割れを避けることにもつながります。

また、本当に保険機能が必要なのか?既に加入の保険との兼ね合いや、そもそもリスクをとって増やす必要性があるのかどうかも考慮したいポイントです。

銀行で買っても契約先は保険会社

銀行の担当者がいい人だから・・とは意外によく耳にする購入のきっかけです。どんなに良い担当者でも長年付き合いがあっても、契約の相手方は保険会社です。銀行による元本保証もなく、銀行の預金保険制度の対象ともなっていませんので注意しましょう。

クーリング・オフについて

投資信託と違い、銀行で契約した個人年金保険は一部事由を除きクーリング・オフ制度が適用される場合がほとんどです。

保険会社発行の契約のしおり等の内容に従い、所定期間内に契約撤回の意思を書面で発送すれば契約は撤回され、払い込んだ金額全額が返還されます。この時、書面の送付先は購入した銀行ではなく保険会社宛になりますので間違えないようにしましょう。

なお、「運用は自己責任」との言葉に縛られすぎて、何らかのトラブルが起きても、悪いのはすべて自分だからと諦めてしまう必要はありません。理不尽な場合は泣き寝入りせずに国民生活センターなどの相談機関も活用してみて下さい。

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