【金銭教育その16】若者の消費者トラブル③子どもが勝手にネットショッピング!親はどうする?~【2009年 第 10 回】

【 2009年 第 10 回 】金銭教育その16若者の消費者トラブル③~子どもが勝手にネットショッピング!親はどうする? こどもとお金

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)プロフィール

前回は、未成年者を保護する強力な規定である「未成年者取消し」も、未成年者の側が相手をだますといった場合など、取消しが認められない場合の例をご紹介しました。

もしも、どんな場合に対しても「あとから取消し可能」を認めてしまったとしたらどんなことになるでしょうか。

たとえば、子どもが自分のこづかいを持って本屋に行き、マンガを買ったとします。
あとから、親が「よくもウチの子にマンガを買わせたわね~!」と子どもが読み終えたマンガを返品することが認められるとしたら…。

本屋さん側からすると、未成年者相手には商売なんてできない…ということになってしまいます。
その結果、子どもたちは、マンガを売ってもらうことはできなくなるでしょうね。

これでは、未成年を保護するためのルールが、かえって不自由を招くことになってしまいます。
そうならないように、民法の中で「未成年者取消し」には一定の例外を認めており、こづかいの範囲内での契約(この例では「マンガを買うという行為」)はその例外の1つです。

通信販売やネットショッピングによる問題

ところが、携帯やインターネットの普及年齢が下がったことによって、通信販売やネットショッピングで、未成年者でも簡単に契約することができるようになったため、さまざまな問題も起こってきています。

「こづかい」の範囲をどうとらえるかということも、家庭により違いが大きいこともあるでしょう。
中高生でも高価なブランド品を手にすることが可能な時代です。中古品であれば、子どもの「こづかい」で買うこともできるでしょう。
大切なのは、“価格”的に「こづかい」の範囲内で買えるようなものかどうかよりも、子どもの“行動”を親がどうとらえるのかということです。

ある中学生が、2万円もするスポーツシューズをネットで購入しました。親には内緒なので、クレジットカードや事前の銀行振込はできないと判断し、「代金引換(代引)」購入という方法を選択。
数日後、玄関のチャイムがなり、応対に出たお母さんは箱を抱えた配達員さんにビックリ!です。
さて、あなたがお母さんの立場ならどうしますか?

いきなりのことで戸惑ってしまうかもしれませんが、玄関先での対応としては「受け取る」か「受け取らない」かのどちらかしかありません。

いくら子どもが勝手に注文したといっても、親としてお店に対して社会的責任を果たすという点からすると、ひとまず商品を受け取るという方法が通常の対応として考えられます。(注1)

子どもと話し合う機会を

ただし、「買う前に話せば『ダメ!』って言うお母さんだって、玄関に配達された商品を見れば、きっと支払ってくれるだろう」という子どもの“思うツボ”にはまってはいけません。

たとえば、「価格が2万円のスポーツシューズは、中学生が使うものとして不つりあいではないか」という「購入した商品」について問題だと思うのであれば、子どもと話し合ってみてはどうでしょうか。
その話し合いの中で、子どもが自ら納得して返品するということになるのか、どうしても欲しいものだからと、親が立て替えた金額を毎月のこづかいから分割払いで返済するということになるのか、あるいはもっと違った展開となるのか…。絶対的な正解というものはないような気がします。

“制裁”とか“バツ”として、親が一方的に「返品する」とか「来月からこづかいナシ」といったショック療法的な方法も考えられます。
ただそういった感情的なやり方は、親も本当に伝えたいことが伝えられなかったり、子どもも反抗して同じようなことを繰り返してしまったりと、かえって望まない関係を招いてしまうかもしれません。

親の世代が子どもの時代にはなかったインターネットというツール。(注2)
この約10年で、急速に普及率が高まりました。
(世帯普及率…平成10年末:11.0%→平成20年末:91.1%、人口普及率…平成10年末:13.4%→平成20年末:75.3%、総務省「通信利用動向調査」より)

それに伴って、日々、技術革新が進む情報機器の数々は、大人でさえうまく使いこなせずに思いもかけぬことが起こることも多いので、中学生や高校生までの時期に、うまく機会をとらえ、子どもとコミュニケーションをする中で、親の考えを伝えていきたいものです。

ところで、同じ未成年者でも、18歳や19歳となると少し事情が違ってきます。
大人でもトラブルの多いネットオークション。さて、18歳や19歳が参加することはそもそも可能なのでしょうか。

(注1)もしも、実際に、子どもが勝手にネット購入した商品を、親として「“教育上”受け取らない」という方法をとるのであれば、子どもの行動によって生じる送料・手数料・損失実費(再販できない食品などの場合)等はきちんと支払う配慮が求められます。
さらに、お店への対処(お店に対して謝罪し、送料等を支払うなど)の場面は、子どもに自分がした行動を認識させるために、あえて子どもの面前で行うことも必要であると思います。

(注2)当初このコラムでは、「子どもが自宅のパソコンを使用してインターネットショッピングをした場合」、つまりインターネットへのアクセスする手段が「パソコン」の場合を想定していました。
が、ネットショップ関係者の方から頂いたメールによって、未成年とネットショッピングに関するさまざまな問題、特に近年はネットにアクセスする「ケータイ(携帯“電話”ではなく、あえて…)」と深く結びついていることを知りました。
インターネットにアクセスできる情報機器であるパソコンと携帯電話等の世帯保有率は、パソコン85.9%に対して携帯電話等95.6%(総務省「通信利用動向調査」より)であるので、携帯電話の普及率の低年齢化と合わせて考えなければならない問題です。

「平成20年通信利用動向調査(世帯編)」の結果(総務省)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR200800_001.pdf

ケータイの普及によるインターネットアクセスへの手軽さ

たとえば、この調査から、「未成年のネットショッピングはパソコンよりも携帯電話によるものが多いこと」がわかります。

13~19歳の未成年でも約50%はパソコンまたは携帯電話からの購入経験があるのです。購入手段は、携帯電話からが、パソコンからの約1.4倍。これは、未成年だけの特徴で、他の年齢層(20歳代以上)ではすべて、パソコンからの購入の方が多くなっています。

インターネットへのアクセスの方法として、パソコンよりも“手軽”だからというのが理由のひとつと考えられますが、そのハードルの低さが、注文・支払い・問い合わせ等の様々な場面でのトラブルを招いています。

情報機器やインターネットを使いこなせない「デジタルデバイド」と呼ばれる格差は、高齢者で特に問題となっていたのですが、60代以上のネット利用率が伸びている一方で、いわゆる“ワーキングプア”などによる雇用や所得の問題が、一部の若年層で「“新たな”デジタルデバイド」を生み、それらのトラブルと関連しているのではないかと考えられるような事態も起こっているようです。

これらについては、今後、場をあらためて記したいと思います。

 

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