【金銭教育その8】「お年玉調査」の結果から~「お年玉」に関して思うこと【2009年 第2回】

【 2009年 第2回 】金銭教育その8「お年玉調査」の結果から~「お年玉」に関して思うこと こどもとお金

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)プロフィール

1月も終わり頃になると、お正月のしめくくりのような恒例行事として、「子どものお年玉調査」の結果が報道されるようです。

ネットで調べてみると、京都と川崎のそれぞれ信用金庫が独自に調査した結果が発表されていましたので、以下に紹介しておきます。

お年玉アンケート調査(京都中央信用金庫)

【お年玉、最大の減少――京都中央信金調べ、2647円減の平均3万6787円】
 2009/01/22配信(日経ネット関西版)

京都中央信用金庫がまとめた小中校生らを対象にした今年の「お年玉アンケート調査」で1人当たりの平均額は3万6787円となり、前年から2647円減った。

バブル崩壊後の1992-93年にかけての2500円を超える過去最大の減少で、同信金では「冬のボーナス支給額の減少がそのままお年玉に影響した」と分析している。

もらったお年玉の額が「増えた」と答えたのは36.6%と4年ぶりに減少した一方、「減った」との回答は17.9%で5年ぶりに増えた。
また、預金残高の調査では平均10万6229円と前年から5109円の増加となり、1998年の調査開始以来最高となった。同信金は「景況が悪く、親が将来を見据えて貯蓄するケースが多い」としている。

お年玉調査は同信金が84年から毎年実施している。今年は1月5-7日に本支店に来店した小中校生ら1172人が対象。

お年玉調査(川崎信用金庫)

【子どもは不況知らず? お年玉1178円アップ/川崎信金調査】
 2009/01/09(カナロコ~神奈川新聞)

川崎信用金庫(川崎市川崎区)は九日、小学生を対象に毎年行っている「お年玉調査」の結果をまとめた。景気後退が深刻化し大人の懐が寒くなる一方、子どもたちが手にしたお年玉の平均合計額は二万五千三百四円で、昨年より千百七十八円(4.8%増)増えた。増加は三年ぶり。

合計額は「二万円以上二万五千円未満」が19.2%で最も多く、「三万円以上四万円未満」(17.9%)が続いた。最高額は十五万八千円だった。
お年玉をくれたのは親せきや祖父母、両親が多く、前年と変わらず平均五・六人からもらっていた。渡されたお年玉一件当たりの平均額は四千四百六十円で、前年より百八十六円アップした。

貯蓄に回す平均額も前年より千七百四十円増えて一万八千九百九十八円だった。28.3%が「全額を貯蓄する」と回答した。使い道は、「ゲームソフト」が十八年連続でトップ。「本・雑誌・まんが」、「おもちゃ・ぬいぐるみ」と続き、前年と変わらなかった。

調査は一九八三年から毎年続けており、今年で二十七回目。今月五、六日の二日間、川崎、横浜市と東京都大田区の小学生六百人を対象に実施、五百六十五人から回答を得た。

同じ年の調査とは思えない異なる印象

これらの記事、まずタイトルだけを見ると、同じ年の調査とは思えないほど違った印象を受けます。
でも、平均の額そのものは、「最大の減少」という京都の方が、「不況知らずでアップ」という川崎よりも1万円以上も高いのです。

お金に対する感覚というのは、そもそも家庭ごと、あるいは、配偶者の実家や親戚ごとに、かなり個人差があるものです。また、もう少し視点を広げてみると、地域差というものとなって現れるように思います。

ですから、こういった調査の結果については、平均の金額に目を奪われすぎない方がよいのではないかと思います。

お年玉には親類関係への配慮も

「お年玉」の語源は、古来の風習であった年神さまに奉納された鏡餅をお下がりとして分け与えた神事からきていると言われています。

今ではすっかり、「お金をポチ袋に入れて、子どもに与えるもの」というのが当たり前の姿となっています。
子どもたちにとってはもらってうれしい「臨時のこづかい」でしょうが、大人にとっては「親類関係の配慮としてのやりとり」という側面が、時には頭を悩ませる問題となることも多いですね。

そのため、「お年玉の“相場”を知りたい」という大人側の事情もあって、このようなお年玉の調査結果が毎年発表されるのかもしれません。

 結婚して初めてのお正月に、相手の実家の金銭感覚との違いを感じたことがある方は多いと思います。出産して、子どもを育てていく過程で、この「お年玉」のやりとりをしていく中で、そういったことを感じる場面はさらに増えるでしょう。

ライフスタイルの多様化や、少子高齢化ということを、案外、こういった場面で実感するケースも多いのではないでしょうか。

 「ウチの子どもたちは、高校生を筆頭に3人。でも、義弟の子どもはまだ幼稚園で1人っ子。いつももらいすぎで悪いわ~」というケース。その逆パターンもありますね。
両方が同程度の出費となるよう、親がこっそり“事前の取引”をすることでうまく調整している場合もあるようです。ただし、親どうしの日頃の関係によっては、余計なトラブルのもととなることも…。

また、未婚の兄弟姉妹がいるケース。リッチなシングルライフを楽しんでいて、かわいい甥や姪を喜ばせたい一心で、高額なお年玉をはずんでくれる場合もあるようです。これは、おじいちゃん・おばあちゃんにもよくあること。

子どもの正しい金銭感覚を育てる意味においてはマイナスの場合もあるので、“その場限りの笑顔”ではなく、長い目でみて子どもたちを見守り育てるために、子どもの年齢にふさわしい金額を下さるとありがたいですね。

それから。結婚していてもお子さんがいない兄弟姉妹の夫婦とのやりとりをする場合は、相手に対する思いやりや気遣いということを忘れずにいたいものです。
自分たちにはお子さんがいないからこそ、身内の子どもの喜ぶ顔を…とお年玉を下さる場合もあるでしょう。

 その一方で、様々な事情により、お正月で子どもとやりとりをするのがつらいという場合もあるでしょう。子どもが主役の習慣によって、相手を傷つけることのないようにしたいものです。

「お年玉」というと「金額」や「使い道」ばかりに目が行きがちですが、親子で「マナー」や「相手への思いやり」などをふり返ることにも目を配ることができたら…と思います。

                        

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