これからの人生をより良く生きるために~それぞれのエンディングノート【2011年 第24回】

【2011年 第24回】 これからの人生をより良く生きるために~それぞれのエンディングノート “終わり”ではない「エンデングート」

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒ プロフィール

思いついたことを、思い立ったときに、肩肘張らずに自分のあらゆることを書き留めておくスペースを持ちませんか?

 

 

 

スティーブ・ジョブズ氏

今年の10月、米国アップル社の創業者・スティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。

生前の偉業については、新聞やテレビその他の報道でも取り上げられてご存知だと思いますが、たくさんの語録も残しています。とりわけ有名なのは、2005年に米国スタンフォード大学の卒業式で行われた祝賀スピーチ。

氏は、2004年に余命半年という医師からのガン宣告を受けて一度は絶望したものの、たまたま手術が可能なすい臓ガンだったことによって回復することができ、このスピーチはその一年後に行われたものです。
このスピーチの中でそのことに触れ、「人生でもっとも死に近づいた瞬間」と表現し、さらに「この先何十年かはこんな経験はないものと願いたい」とも言っています。

しかし、残念ながらこのスピーチから6年後にこの世を去ってしまうこととなりました。
ガンと闘い続けながら、結果的には人生の最後となった6年の間にも、次々と世界中の人々を魅了し続ける業績を残し続けることができた氏のことばには説得力というか本物のエネルギーを感じます。

 “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.

Remembering that I’ll be dead soon is the most important thing I’ve ever encountered to help me make the big choices in life, because almost everything–all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure–these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important. Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose.

「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」。それに対する答えが“NO”の日が幾日も続くと、そろそろ何かを変える必要があるなと、そう悟るわけです。

自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思うこと。これは私がこれまで人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す最も大きな手掛かりとなってくれました。何故なら、ありとあらゆる物事はほとんど全て…外部からの期待の全て、己のプライドの全て、屈辱や挫折に対する恐怖の全て…こういったものは我々が死んだ瞬間に全て、きれいサッパリ消え去っていく以外ないものだからです。そして後に残されるのは本当に大事なことだけ。自分もいつかは死ぬ。そのことを思い起こせば自分が何か失ってしまうんじゃないかという思考の落とし穴は回避できるし、これは私の知る限り最善の防御策です。

「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら」と自分に問いかけて毎日毎日を大切に生きる、そんな生き方はなかなかできませんが、どこかに留めておきたい…そんな風に思っています。

 

終わり”ではないエンディングノート

<終わり”ではないエンディングノート>と題して、2010年から2年にわたって書かせて頂きました。
その間、いわゆる「エンディングノート」と呼ばれるものが新聞やメディアでも取り上げられる機会も増え、関心を持たれる方も多くなったのではないでしょうか。

書店や文具店等に足を運んで、「まずは一冊買ってみるか…」と購入された方もあるかもしれません。あるいは店先でザッと見て、「これなら自作のノートでもいいかな」と購入はしなかった方もあるでしょう。どこかのセミナーの資料でたまたまもらったという方もあるかもしれません。

大切なのは、ノートを持っているかどうかではなく、ノートに何かを書いたかどうか。
思いはあったとしても、なかなか書き始めるのがむずかしかったり、書き始めてはみたけれど埋まらなかったりするものです。
思いついたことを、思い立ったときに、肩肘張らずに自分のあらゆることを書き留めておくスペース。

そんな「あなたの大切な一冊」をぜひ始めてみてはいかがでしょうか。

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