昔のお葬式はすごかった?【2011年 第8回】

【2011年 第8回】 昔のお葬式はすごかった? ~ウチの家計簿、武士の家計簿~

西谷 由美子(ニシタニユミコ)⇒ プロフィール

先祖を敬う気持ちはわかりますが、今と比べるとお葬式やらその後の法事やら、こりゃ大変ですね。

 

 

 

 

 

葬儀のしきたり

8月といえばお盆です。あ、関東では7月に終わられた方もいらっしゃるでしょうが。最近祖母と同居を始めた私は、祖母の代理で全然知らないお宅に「初盆のご挨拶」に伺わされております。とはいえ、知らないお宅だから決まり文句の「静かなお盆でございます。」の口上を述べて、お参りしたら即退散、というそれほど高度な社交術は要求されない、気楽なものではあります。

さて、こういうしきたりは昔からのもの。江戸の昔は想像するに、このようなおつきあいがさぞ濃密だったことでしょう。ということで「武士の家計簿」の猪山家では・・・

江戸時代の葬祭費事情

家計簿上すぐに確認できたことは、毎月の生活費として計上されている1800文とは別に、「仏様花代」として毎月200文が計上されていること。ウチなんて夏場は3日に一度、庭先の花をチョキチョキ切って来て花瓶に挿しているだけなんですが。銀200文=9520円。3日に1度千円の花を用意・・・ですか。さすが金沢、さぞ豪華なことでしょうと想像できます。

さらに1年間ではお寺様への御包みが銀45.9匁=約18万円になるそうです。勝手に想像するに盆暮れ祥月命日に6万円ずつ?町人に比べて武家のお宅は格式を重んずるといいますが、みなさんのお宅と比べていかがですか?

次に、現代でも負担が大きいとされるお葬式。よく200万円はかかる、お寺への戒名料が負担、などという声が聞かれますよね。こちらについて武家の猪山家では、中村雅俊さん演じたおじい様のご葬儀費用、四十九日までの総額で銀809.5匁(ただし香典収入が461匁あり)の出費。おお、323万8千円となります!

棺、衣装、飾りの花等の品を用意して、僧侶へのお布施、お参りに来られた方々への振る舞い料理、それから葬儀のお手伝いに雇った人の人件費も。振る舞い料理は其々70人近い人数分。にしてもやはり大きいですね。

それに比べて町に暮らす庶民の世界、「播磨屋中井家永代帳」に残る裕福な商家のご隠居さんの葬儀について。8人の僧侶へのお布施が金1両2分(45万円)、その他の葬儀費用が4両2分(135万円)。200万円を切っています。猪山家に合わせるにはここに初七日、四十九日の費用が入るので・・・裕福なお宅でたくさんの親戚が集まり、お坊さんも複数の方が来られるのなら、猪山家に近い金額になりそうですね。

長屋に暮らす八つぁん、熊さんの場合は、お坊さんもお1人、集う方もご近所、長屋の顔なじみくらい。であれば2分の1から3分の1の費用で済むかも、と想像しちゃいました。

よく新聞のチラシでみかける、「会員になって毎月掛け金を支払っておけば、80万円の葬儀一式の代金が35万円に(料理、引物は別)」という現代の金額と、そう違和感のない数字になってきたような気がするのは私だけでしょうか。

回忌はいつまで?

さて、庶民の費用的には、現在とそうかけ離れていないような数字でしたが、「武士の家計簿」を読んで、私が少し引いてしまったこと(笑)。皆様の地方では、回忌はいつまでなさいます?一回忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十五回忌、三十三、、、ああ、疲れました。最近はここらで打ち止め、ということが多いと聞きましたが、私は大分前に父方の祖母、母方の祖父の五十回忌の経験があります。現代のように70歳~80歳代でお亡くなりになったら、五十回忌の頃には生前を知る者がこの世にいないことになりそうですね。けれど、ご当主様の場合は百回忌まで行うのが武士の家のしきたりなんだそうです!

なるほど、盛大な法事がこのように営々と続いていくのなら、猪山家のように借り入れがかさんでいくのは無理もないことでしょう。現代に生きる私たちは「見栄を張っても仕方ない」と伝統や習慣を端折ってしまうことも可能ですが、厳然とした身分制度のあった時代のこと。そういうわけにもいかず、さぞや大変だったことでしょう。レトロな時代に憧れる私ですが、消臭剤や虫除けスプレーがないこと、そして省略することが許されない昔ながらのしきたり、これらはちょっと憧れの対象か外させて欲しいと思ってしまいます。

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