知っておきたい労働基準法の豆知識【2011年 第5回】

【2011年 第5回】 知っておきたい労働基準法の豆知識 ~社会保険(健康保険)~

マイアドバイザー®事務局 優益FPオフィス 

前回のコラムで、災害の際に注意すべき労災保険と雇用保険の保険給付についてお話していますが、今回、ちょっと触れておきたいのは、労働基準法についてです。
「労働基準法」なんて難しい!と思われるかもしれませんが、ちょっとお付き合いくださいね。
知っていると知らないでは大違い!!ですから。

え!?出勤したのに、賃金なし?

今回の東日本大震災で、クローズアップされた大きな問題の一つが、計画停電ですが、停電の期間中、休業した会社も多かったのではないかと思います。
ただ、従業員を雇っている立場からすると、例えば、朝の9時から12時、16時から20時までなど、一日の何度かを停電にされると、いったん出勤させながらも、しばらく休憩させて働かせるのかなど、迷う場面は多々ありました。

ここで、厚生労働省からの通達をご紹介しておきます。
「計画停電に伴って、停電の時間中を休業とする場合、休業手当を支払わなくても労働基準法違反にならないと考えられます」
いかがでしょうか。
どういう意味かお分かりになりますか。

労働基準法の休業手当。覚えておきましょう。

出勤してきた従業員に「もうこなくていいよ」これは、非常にひどい話です。
労働基準法の中には、「使用者の責めに帰すべき休業については、
休業手当を支払わなければならない」という規定があります。

この休業手当は、平均賃金の6割となっています。(平均賃金:原則的に支給する日から遡って3カ月の平均の賃金の額)この6割という金額は、計画停電の時間中については従業員に補償しなくていいよと肯定されてしまっています。
これが、前段でご紹介した通達の意味です。
計画停電で会社が休業になったのは、会社のせいじゃないんだから、従業員を「休ませるための手当」は払わなくってもいいよということを言っているのです。

会社の就業規則を確認しておこう

ここまでで、ご説明したのは、原則です。ひょっとして、会社の就業規則や労使慣行、労働契約などに、「使用者の責めに帰すべき休業だけでなく、天変地変などの不可抗力の場合も、休業時間中の手当を支払います」と書いてあれば、今回のような計画停電で休業手当を支払わないことは、不利益変更となってしまい、「違法」とみなされます。
どうでしょうか。

少し難しかったかもしれません。

普通に働いていると、会社がしてくれることに、あまり疑問は抱くことはないと思いますので、今回のコラムでご紹介させていただきました。
会社の就業規則や労働契約など、実際にちゃんと確認することも、あまりないでしょう。でも、規程があるかないか、労働契約の中に一文をいれるかどうかによって、損をするか得をするかの分かれ道となってしまうのです。
私が、社会保険労務士やファイナンシャルプランナーの資格を取ったのも、いろいろな損得を知ったからです。

当たり前の日常にも、ぜひ疑問を持って過ごしてくださいね。

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