田舎暮らしのホントのトコロ 「目的を考えてみよう」【2008年 第2回】

【2008年 第2回 田舎暮らしのホントのトコロ 「目的を考えてみよう」】地域コラム 中国・四国

キムラ ミキ

 

 

 

 

 

 

本文大学進学のために、地元鳥取県から上京してきた当時は、人混みの中にいることが、なんだか「東京にいる!」ということを実感できるような気がして、あえて人混みの中に出かけてワクワクしていましたが、10年もたつと、最近は人・人・人で溢れる様子に辟易としていたり、特に急いでいるときに、タラタラと歩いている人や不意に立ち止まる人に前方をふさがれると、ついイラっときてしまったりしている自分がいます。

一方、大都市部の生活を離れた、実家の窓からは夜空には満点の星がきらめいていますし、街中をドライブしているだけで、伯耆富士と呼ば

れる大山(だいせん)の悠然とした姿が目に飛び込んできます。
電車社会ではなく、車社会であるということも影響はしていると思いますが、人混みのストレスを感じることなく、街中をゆったりと歩ける気持ちのゆとりも感じます。

ずっとその場所に住んでいれば、きっと当たり前の日常風景だったりすることが、東京の喧騒を知っているからこそ、色鮮やかに、新鮮な風景として感じられ
その姿を求めて、田舎暮しをしたいと考える人が増えているのかもしれませんね。

さて、今回のテーマは、田舎暮しの目的を考えてみよう!ということです。目的というと、堅く考えてしまわれる方も多いかもしれませんが、つまりは、田舎暮しで何がしたいかを考えてみようということです。

ただ、田舎暮し…と一口にいっても、「田舎」のイメージが十人十色であるように、田舎暮しでしたいことにも、例えば、「アウトドアライフを満喫したい!」とか、「自然散策をしたい!」とか、「自給自足を楽しみたい」とか…まだまだ他にも多くの人それぞれのイメージがあるでしょう。

ただ、「改めて目的を認識する」だけでは足りないんです。ここで大切なのは、その目的、つまり田舎暮しでしたいことがイメージ先行の目的になっていないかを、きちんと見極めておかなくてはならないということです。

そんなの当然じゃないか!と思われる方も多いかと思いますが、実際、イメージ先行で田舎暮しをスタートさせたものの、現実とのギャップが大きく、結局元の生活に戻ることにした…なんてことも多々あります。

例えば、大都市部で長年サラリーマンとして勤めてきた人が、自然の中で暮らしたいと思って、イメージ先行で山村での生活を始めたらどうなるでしょうか。

自給自足という言葉からイメージされる、山村には大都市部では、当然のように利用できた携帯電話が通じないエリアだったり、コンビニまで車で行かなければいけない距離だったり、そもそも市街地まで車で30分以上かかったり、なんてこともあり得る話です。
今まで、利便性の高いエリアでの生活に慣れていた人が、その生活に慣れるまでには時間を要するのではないでしょうか?

また、アウトドアライフを満喫したいと考えるのであれば、大都市近郊でのハイキングやキャンプや、旅行会社等が企画するエコツアーなどでも楽しむことはできますよね。

総務省も「交流移住のススメ」というサイトでは、以下の4つの田舎暮しを提案しています。

・短期滞在型(ちょこっと田舎暮し)
・長期滞在型(のんびり田舎暮し)
・ほぼ定住型(どっぷり田舎暮し)
・往来型(行ったり来たり田舎暮し)

田舎暮しをしたいと思ったその目的は、果たして総務省のいう「どっぷり田舎暮し」でなければ、実現しえないものなのでしょうか?また、実際に「どっぷり田舎暮し」を実行に移さなければ、イメージとのギャップは全く見えないものなのでしょうか。

また少し話はそれますが、田舎暮しを一人でするのか、誰かパートナーと一緒にするのか、ということも大きなポイントです。自分は猛烈に田舎暮しをしたいと思っていても、一緒にその生活をスタートさせたいと考えているパートナーもそう考えているとは限りません。
仮に、パートナーの賛同が得られているにしても、そのイメージする生活が同じであるとは限らないということは、田舎のイメージが十人十色であれば当然のことですよね。

田舎暮しがイメージ先行でないのかどうなのか、また、パートナーと一緒に田舎暮しをすると考えるなら、その意思は共通しているのか、など確かめるためにも、各地で催されている田舎暮し体験などを利用して、まずは、目的が田舎暮しでなければ実現できないものなのかどうか、また「どっぷり田舎暮し」でなければならないものなのかどうか、楽しみながら一つひとつ確認していくことが重要です。
計画を立てるのはそれからでも遅くはありません。

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