今日もIt’s書!⑨ ~資産運用に向けて―-投資信託ってどうよ!?~【2008年 第9回】

【2008年 第9回 今日もIt’s書!⑨ ~資産運用に向けて―-投資信託ってどうよ!?~】地域コラム 九州・沖縄

平川 すみこ(ヒラカワ スミコ)⇒ プロフィール

 

 

 

 

著者の藤沢久美さんは日本初の投資信託評価会社を立ち上げた方で、現在は金融審議会委員や投資信託協会理事等を務められる、まさに投資信託の第一人者ともいえる女性。
そんな藤沢さんが手がけた投資信託による運用の王道を書き綴ったといえるような本です。
資産運用の基本から具体的な投資信託選びまで、わかりやすい語り口の中に、投資信託に対する熱い想いと真摯な姿勢を感じることができます。

私たちの資産というのは何もお金には限りません。
自分自身のキャリアや人間関係、スキル等といったものも資産です。
資産が潤沢になれば将来の価値や利益を増やしていくことができます。
一方私たちの時間には限りがあります。
そのため、自分自身が時間をかけて取り組まなければならないものに時間を費やすことが大切で、人任せにできるものは任せてしまったほうが効率的だといえます。

お金の運用は人任せにできるものです。
というのも、一般的に私たちにとってお金とは自分の生活や豊かな将来と自己実現へ向けての手段となるべきもので、お金を増やすこと自体が目的ではないはずです。
であれば、資産運用が得意な人、つまりプロに任せることができれば、時間は効率化できます。

それが具現化したものが投資信託なのだと藤沢さんは語ります。
“早く始める。手間をかけず、時間をかけて成長を待つ。
投資信託を活用すれば、効率的に資産形成、資産運用ができる。”と。

もちろん、投資信託を活用するにあたっては、そのしくみを十分理解するとともに、経済や景気の動向にも関心を寄せ、いかに自分の資産を育ててくれるプロに任せるかといった投資信託選びも重要になってきます。
そこは、始めのうちは時間を取ることになりますが、資産運用の基本がわかるようになって経験も培ってくれば、あとはちょっとした時間で資産配分の見直しなどを行えるようになるでしょう。
また、自分で延々と悩み続けないでも、その都度プロ(金融機関や投信アドバイザー、金融商品仲介業者等)に相談してもいいのです。

本書では、お金を運用する際の心得や知っておきたいセオリーから、相場(情報)の見方、ファンドの選び方までが、実際に藤沢さんの体験も交えながらわかりやすく書かれています。
また、投資信託に対して一般的に勘違いされていることなどが指摘されていますので、投資信託の本来のあり方から、どのようにファンドを選び活用すべきかがすんなりと理解できてしまいます。

私も仕事柄、資産運用や投資信託について話をする機会があります。
そこでよく話をさせていただくのが、資産運用は、目先の利益ではなく、中長期で安定して増やすことが目的なので、分散と長期投資が大切だということ。
では、どういう分散をして、どのくらいの期間で運用すればいいのか。
これには決まった解答があるわけではありません。資産運用はひとりひとり環境や考え方によって違うものだからです。
ですから、資産運用の目的や、リターン、運用期間等から勘案した資産配分(ポートフォリオ)については自分自身で決めていただく必要がありますが、具体的にどの銘柄を買ってどういったタイミングで売買するのかまでを常に判断していくための知識や時間は多くの方にはないでしょう。
(投資が好きで銘柄選びや売買が楽しい!自分でやりたいという方は別ですが・・・)
また、一人の資金では資産を分散するというのも限られてきます。

そこで、やはり有効なのが投資信託なのですが、日本で販売されている公募型の投資信託で実に3,000本以上の商品があります。
そのひとつひとつがすべて異なる運用方法ですし、販売手数料や信託報酬といったコストも違います。
自分にあった投資信託はどれなのか、実はそれを選びだすのも大変といえるでしょう。

本書では、ファンドの選び方、買ってはいけないファンドの見分け方なども指南されるとともに、積立購入が可能で手数料も比較的安いおすすめのファンドデータ(2008年3月現在)も19本掲載されています。

これから投資信託で資産運用を始めようかと考えている方にはすぐに役立つ内容ですし、すでに投資信託を保有されている方にも、改めて資産配分や商品選択などを見直せる本です。
本書を通じて、運用の正しい知識と考え方を身につけ、自分にあった投資信託選ぶことで、上手に効率的に資産運用していきませんか?

『投資信託主義 ―時間と資産の正しい法則』(藤沢久美著、角川oneテーマ21)
本の紹介URL:http://www.bk1.jp/product/03002338

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