まずはどのくらい知ってる?介護保険の基礎知識【2014年 第1回】

2014年 第1回 まずはどのくらい知ってる?介護保険の基礎知識

西谷 由美子(ニシタニ ユミコ)⇒プロフィール

 

 

日本に住んでいれば、一定の年齢になると自動的に加入する介護保険ですが、まずは知っているはずの事、もう一度おさらいしてみましょう。

皆様、明けましておめでとうございます。年末年始に「攻殻機動隊」というアニメ(人間が「電脳化」、「義体化」した近未来、生身の人間でなくなるとパーツ交換によって老化も防げるという内容を含む作品)にすっかりハマってしまった私ですが、現実の世界はまだまだそんな事はありませんよね。

幸か不幸か生まれた時からの四世代同居。お年寄りの生活、年齢とともにどう身体が衰えていくのか、には人並みの知識のある私ですが、まだまだ年金保険料払ってる年齢なのに腰が痛い、腕が上がらない、等の衰えを自分自身で感じるようになり、私も歳を取ったら介護保険のお世話になるんだ、というイメージが具体的なものになってきました。

さて、介護保険。40歳未満であれば「2号被保険者」として保険料負担しませんので、若い方には身近に感じる事が少ないのではないでしょうか。「お年寄りがヘルパーさんに身の回りのお世話をしてもらう、アレね。」「お世話をしてもらうには、要介護度数が低いとダメなんでしょう?」等の認識がある程度、かもしれませんね。

それではまず、介護保険の仕組みをおさらいしてみましょう。今回は誰がどのくらい負担しているのか、を中心に。

2000年から開始の介護保険は、主にドイツの制度をモデルとしたと言われていますが、家族がお年寄りの面倒を見るのが当然という従来の考え方から、特定の人に負担が集中しすぎるのを防いで社会全体でお世話する、という方向に転換したものですね。

まず、40歳から被保険者として保険に加入し、健康保険と同じ様に保険料を負担します。介護サービスが受けられるのは原則65歳からの1号被保険者ですが、介護が必要となる原因によっては40~64歳の2号被保険者も介護サービスを受けられる場合もあります。

介護サービスが必要と感じた場合、その程度がどの位かの判定を受ける必要があり、現在は必要とされる介護程度の高い順に要介護度5から1、要支援度2と1の全部で7段階の判定が降りた場合、自分の選んだサービスを事業者から受けることができます。但し、判定された段階に応じて受けられる種類、またその回数等に上限があります。

利用した場合の負担額は医療とよく似た仕組みで、事業者は本来の料金の1割を利用者から、残りの9割を保険から受け取る形になります。今後の制度改革により、収入・資産の多い方は2割負担となるかもしれません。

この関係をまとめると下の図の通りです。制度が発足してからは直接あるいは間接的に(祖母、叔母、両親、配偶者)介護保険の利用を経験した身からは、利用料金にしろ器具のレンタル料金にしろ、とてもありがたい負担感(自前でやると、この10倍!)でした。

 

 

 

 

 

介護保険の図(執筆者作成)

しかし高齢化が進むという事は、元気で介護保険を利用しないお年寄りが劇的に増加しない事には投入される税金、負担する保険料、利用者の自己負担の増加は避けられませんね。「社会保障制度の抜本的見直し」が言われる昨今ですが、他人事ではありません、老後の事はわからないからと、無関心でいるのではなく、国民全体にかかわる事ですから、より良い改革とはどのようなものかと国民全体で考える必要があると思われますね。

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