岡本英夫のFPウオッチャーだより 第41回 信金・信組にアプローチできないか

マイアドバイザー® 顧問 岡本英夫 (オカモト ヒデオ)さん による月1回の連載コラムです。
ファイナンシャル・アドバイザー(近代セールス社;2022年春号以降休刊)の初代編集長として、同誌でも寄稿されていたエッセイの続編的な意味合いのあるコラムとなります。

岡本 英夫 ⇒ プロフィール

地域経済を支える信用金庫

信用金庫は信用金庫法に基づく金融機関で、地域の中小企業やそこに働く従業員、住民を対象に金融業務をおこなっている。

上部機関として地方ごとに信用金庫協会(東京都信用金庫協会、関東信用金庫協会など)があり、全国組織として全国信用金庫協会がある。
また信金のセントラルバンク信金中金は有力な市場参加者(機関投資家)でもある。

信金のFP展開は、各信用金庫が採用する通信教育、庫内の集合研修のほか、きんざいが主催する「FPカレッジ」が担ってきた。
研修科目は、対個人顧客向けの融資(住宅ローン、教育ローン)、年金獲得、資金運用関連知識と、中小企業向けの財務知識、制度融資、不動産活用、相続・事業承継対策、複利厚生対策が中心となる。

FP教育の対象者は、FP専担者養成(FPカレッジ等への派遣)を除けば、渉外・窓口担当者が中心で、顧客のライフプランアドバイスにはFP知識が欠かせないという考え方が根本にある。

近代セールス社はこの観点から信用金庫のFP教育に携わってきたが、東京都信用金庫協会でおこなってきた「得意先担当者勉強会」はその代表的なものである。

東京都信用金庫協会「得意先担当者勉強会」「しんきん情報玉手箱」

「得意先担当者勉強会」は1985年10月に始まった。
主催は東京都信用金庫協会、共催が近代セールス社で、月1回木曜日に開催。
第1講義が「マーケットを読むキーワード」、第2講義「顧客の話題・顧客の悩み」、第3講義「生活と消費のポイントレッスン」、第4講義「トクする税金の知識」で、それぞれのテーマに則した演題と講師を派遣してきた。

マイアドバイザーのメンバーで中にも、この講座に講師として携わった人は多い。
記憶にある人もいるはずだ。

また、講義の内容は「しんきん情報玉手箱」と題する小冊子にまとめられ、東京都信用金庫協会から全国の信用金庫に配布される。
この小冊子のコラムに携わった会員も多い。
佐藤事務局長に執筆者紹介をお願いしていたからだ。

また、個別の信金のFP研修にも携わった。
八王子信金(現多摩信金)、大阪市信金(現大阪シティ信金)、川崎信金がそうだが、単発の研修会では全国に講師を派遣していた。

現在は、AFP・CFP®対応を採用している信金も増えたが、受検対策は職員の自助努力に委ねているところが多い。

概して職員は優秀なので多くの合格者を輩出している。

信用組合のFP対応

信用組合は中小企業等協同組合法に基づく金融機関で、地域信用組合(大東京信用組合、長野県信用組合など)、業域信用組合(文化産業信用組合、東京証券信用組合など)、職域信用組合(警視庁職員信用組合、朝日新聞信用組合など)の3つの形態がある。

近代セールス社は出版・印刷・製本の業域信用組合である文化産業信用組合の組合員でもあった。

筆者が携わったのは、地域信用組合では長野県信用組合、職域信用組合では警視庁信用組合、東京都庁信用組合などだが、いずれも財形貯蓄の残高の多い信組で、住宅ローンや教育ローンの取り扱いも多く、退職金・年金関連にも強かったが、生活基盤の安定した公務員が組合員であることからメガバンクの攻勢にさらされていた。

また、全国信用組合中央協会で「信用組合のFP対応」のタイトルで1泊2日の研修会をおこなったことがある。
講師を深田晶恵さんと筆者でつとめたが、30組合ほどの研修担当者が受講された。
懇親会で毎日新聞信用組合の担当者と懇意になり、組合内で研修会の話も出たが、本部の了承が得られずに立ち消えとなったのは残念だった。

個人的には、医師信用組合(神奈川県など各地にある)などにもアプローチしたかったのだが、営業ルートがわからず断念した。
バブル崩壊以降の金融危機の中で多くの信用組合が破綻したり、合併を繰り返したことも対応が難しかった理由である。

一般にはなじみのない業界だが、ルートが見つかれば、挑戦してほしい業界である。

内向きな金融機関だが、FPに対するニーズはある

信用金庫、信用組合は地域や職域に根を張る金融機関であり、個別金融機関のほか地方協会や全国協会が情報提供や研修を担当している。
そのためか、FP資格を有し日本FP協会やきんざいに登録していても、地方支部の研修会などに参加する人は少ない。

独立FPや個人のFPから見れば、縁遠い存在だと思う。
それでも銀行・信用金庫出身のFPであれば、信用組合の業務や顧客層は想像がつくはずである。

前回述べたJAや前々回の郵便局、それに労働金庫も含めて、縁があればFP資格取得研修や顧客向け相談会などのアプローチをおこなってみたらいかがだろうか。
金利ある時代となった現在、ニーズは掘り起こせると思う。

また、信金、信組に限らず銀行等金融機関のFP教育は、専担者養成を除いて金融マンのスキルアップのためであり、商品販売はともかく顧客層の相談に乗るためのものではない。
FP資格は取得しても、その知識を活用することは少ないし、経営側もそこまで期待してはいないという側面もある。

独立系FPの入り込む余地はあるはずだ。

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